
初心者
節約して少し貯金ができたんだけど、
住宅ローンの繰り上げ返済ってしたほうがいいのかなぁ…
繰り上げ返済を先延ばしにして投資する選択肢もある?
って思っている人いませんか?
現金の使い道は本当に大切です。
どんな使い方をするかによって、数年後の資産が大きく変わってしまうから。
今回は
・繰り上げ返済とは?
・繰り上げ返済しないほうがいい理由
・繰り上げ返済をするタイミング
についてまとめてみたいと思います。
繰り上げ返済とは?
住宅を購入する際は、多くの人が組む住宅ローン・不動産投資ローン。
これらの住宅系ローンは、他人からお金を借りることになるので、ある意味「借金」のようなもの。
「なるべく早く完済したい!」「早く借金から解放されたい!」
と思うがあまり、とにかく早く繰り上げ返済をしようとする人も多いですよね。
わたしも昔はそのタイプでした。
しかし、本当に繰り上げ返済がベストアンサーなのか?
そこは、じっくりしっかり考えなくてはいけません。わたしの場合は、今のところ繰り上げ返済よりも投資を優先しています。
とはいえ、繰り上げ返済とひとことに言っても、いろんな方法があります。
まずは、繰り上げ返済とはなにかから少しおさらいしてみましょう。
繰り上げ返済の仕組み
繰り上げ返済とは、毎月支払っているローンの返済額とは別に、まとまったお金を一気に返済して、返済額を減らすことを言います。
繰り上げ返済
=毎月支払っているローンの返済額とは別に、まとまったお金を一気に返済して、総支払額を減らすこと
大きな返済額を減らしたり、時期を短縮することで、支払う予定の利息分が減ります。
これが結果的に、総支払額を減らすことにつながります。
繰り上げ返済の種類
繰り上げ返済には、大きく分けて2つの種類があります。
①期間短縮型
②返済額軽減型
繰り上げ返済の2つの種類について詳しくみてみましょう。
期間短縮型
「期間短縮型」は、返済期間を短縮する方法です。
繰り上げ返済で一定の金額を先に支払い、返済期間を短くします。
月々の返済金額は変わりません。しかし、期間が短縮されることで利息の軽減効果が高くなります。
期間短縮型
=毎月の返済額は変わらない
=残りの返済期間が短縮される
=将来の支払利息の減少額が大きい
ここからは、ひとつずつ簡単に解説していきましょう。
返済額軽減型
「返済額軽減型」は、毎月の返済額を軽減する方法です。
繰り上げ返済で一定の金額を先に支払い、月々の返済額を減らします。
返済期間は変わりません。毎月の負担が減りますが、「期間短縮型」と比較すると将来の利息の軽減効果は劣ります。
返済額軽減型
=毎月の返済額が軽減する
=残りの返済期間は変わらない
=将来の支払利息の減少額が小さい
一般的には、利息の軽減効果が高い「期間短縮型」の繰り上げ返済のほうがメリットが大きいといわれています。

繰り上げ返済するとしたら、やっぱり期間短縮型のほうがお得な気がしますよね。
繰り上げ返済のメリット
繰り上げ返済のメリットは、利息分を減らすことで、結果的に総支払額を効率的に減らすことができることです。
総支払額を減らすことができる
手持ちの現金が多くなくても、わたしたちは不動産投資やマイホームの購入ができます。
これは、住宅ローンを組むことで長期的に支払わないといけないお金を分散することができるから。
しかし、そのメリットを受ける代わりに私たちは利息分を追加で支払うことになるのです。
公開!わたしの返済実績表
ここで実際にわたしが購入した区分マンションの返済実績表の一部を大公開!
【返済実績表から一部抜粋】
返済額:39,544 円
元金:24,891円
利息:14,653 円
年利率:2.000%
この数字が、実際にある区分マンションの返済実績表に書かれた金額です。2020年1月のものになります。
返済実績表からみる利息の割合
返済実績表をみると、毎月4万円程度の返済額があるうちの、2万5000円程度が元金で、1万5000円程度が利息です。
元金と利息を%にしてみましょう。
元金:約63%
利息:約47%

結構多いって感じます?でもこれ、年利率2%なので、これでもそんなに多くはない時期なんです。変動利息なので昔はもうちょっと多かったの。
繰り上げ返済の本質的な意味
繰り上げ返済の期間短縮型で支払い期間を短くするとどうなるでしょうか?
今払っている支払額のうちの5割弱に値する利息を、将来的に一定の年数分節約することができます。
その節約金を「ほかの用途」に回せます。
①資産運用して増やすことができる
②教育資金として使用することができる
③家のリフォーム代に使える
④予定しない出費に備える準備金にできる
⑤旅行資金にできる など
将来的に節約金をどんなことに使うかは、自由に決められます。
しかし忘れちゃいけないのは、今です。
今現在、繰り上げ返済をするために多くの現金を使っていること。
現金を使って、将来的に節約できたのは良いのですが、今現在使える現金は手元から消えています。
ここが繰り上げ返済の本質的な意味です。
現在のお金を使って、将来のお金を増やす
繰り上げ返済のデメリット
単純に「今お金が余っているから先に返しちゃおう」という理由でで繰り上げ返済をしようとしている人がいたら、もう一度考えてみてください。
なぜなら、もしかしたら「時間の価値」が頭の中から抜けているかもしれないから。
繰り上げ返済の本質的な意味
=現在のお金を使って、将来のお金を増やす
繰り上げ返済をするということは、現在のお金を使って、将来のお金を増やすことになります。
すなわち、現在できることができなくなるということです。
①今しかできない「旅行」
歳をとったらバックパッカー旅行なんて行きたくないかもしれません。
②今しかできない「教育」
子どもの教育ができるのは、子どもが子どもでいてくれる時だけです。自分の教育もそうです。今やりたい勉強は、10年後にやりたいと思えないかもしれません。
③今しかできない「投資」
投資はタイミングを味方につけて波に乗ることがとても重要です。そしてその波は自分では起こせません。いい波がきているのに気がついているにも関わらず、乗れないのはとてももったいないことです。
繰り上げ返済のデメリットは、「今しかできない」を逃してしまう可能性があること。
時間の価値を考えたうえで、自分らしいお金の使い方をすることがなによりも重要です。
繰り上げ返済をしないほうがいい理由
ここからは一般的に繰り上げ返済をしない理由を具体的に挙げてみましょう。
「今しかできない」を逃してしまう可能性はもちろんのこと、住宅ローンの仕組みやタイミング的に金銭的に損をしてしまう可能性もあります。
理由① 資産運用や投資に回したほうが得だから
繰り上げ返済をしないほうがいい理由の一つ目は、「資産運用や投資に回したほうが得だから」です。
投資による利益(利回り)は、どの投資方法を選ぶか、またどの時期に投資するかによって大きく変わります。
投資には値動きがあって、その傾向を読むのはプロの投資家でも難しいことです。
しかし長期投資であれば、利回りが安定してくるのは誰もが知っています。
例えば、S&Pダウ・ジョーンズ・インデックスLLCが公表している米国の代表的な株価指数「S&P500」。
GoogleファイナンスのS&P 500の終値の推移(5年間)を見ると、106%増で約2倍になっています。

もし、繰り上げ返済をするお金で米国のS&P 500連動型の投資信託を購入していたら、そのお金は2倍以上になっていることがわかります。
繰り上げ返済分の増加額シミュレーション
実際にわたしの区分マンションのローン返済額を元に、5年間に支払う予定の利息879,180円分でS&P 500連動型の投資信託を購入したケースを計算すると…1,817,265円になりました。
1年分の利息:14,653 円/月×12か月×5年=879,180円
同じ額のS&P500連動型投資信託を購入した場合:
879,180円+(879,180円×106.70%)=1,817,265円
もちろん実際の繰り上げ返済は、もっと複雑に計算されるので、実際とは異なります。
しかし、繰り上げ返済をしないで投資をすると、繰り上げ返済する場合よりも得をするケースがあり得ることがわかります。
とはいえ、投資はお金が減るリスクもありますし、確実にお金を増やす方法とは言えません。
確実に借金を減らすことができる繰り上げ返済とは、全く違う性質のものなので、注意が必要です。

理由② 低金利時代だから
繰り上げ返済をしないほうがいい理由の二つ目は、「低金利時代だから」です。
超低金利時代と言われて久しい日本。
預貯金でお金を増やすのは困難な時代ではありますが、住宅ローンや不動産投資ローンの金利が低いため、お金を借りやすい時代であるとも言えます。
お金を借りても利子が低いので、繰り上げ返済をすることによるメリットは高金利時代に比べると多くありません。
例えば、わかりやすいのは住宅金融支援機構のフラット35の15年~20年の最頻金利が年1.210%です。
これは最低水準に近いレベルです。
金利は、今お金を使って繰り上げ返済をする意味が薄れている原因のひとつだといえそうです。
理由③ 団体信用生命保険の保証期間が短くなるから
繰り上げ返済をしないほうがいい理由の三つ目は、「団体信用生命保険の保証期間が短くなるから」です。
住宅ローン・不動産投資ローンを組む時は、ほとんどの場合、団体信用生命保険に入ります。
団体信用生命保険とは、契約者がローンの支払いが困難で保障が受けられるようになった時に、保険会社が代わりにローンの支払いをしてくれる制度のこと。
団体信用生命保険
=契約者の代わりに保険会社が代わりにローンの支払いをしてくれる制度
生命保険の代わりにもなるので、不動産購入者のメリットのひとつですが、住宅ローンを完済すると当たり前ですが保証は失われてしまいます。
理由④ 住宅ローン減税の効果が薄くなるから
繰り上げ返済をしないほうがいい理由の四つ目は、「住宅ローン減税の効果が薄くなるから」です。
不動産投資ローンではなく、住宅ローンに限られますが、新築住宅を取得した人は一定の節税効果が得られます。
住宅ローン減税
=住宅ローンで新築住宅を取得する時に金利負担の軽減をはかるための制度
=控除期間は10年、控除率は1%
しかし、繰り上げ返済によってローン残高を減らしてしまうと、それは、住宅ローン控除の効果を低下させることにつながります。
また、返済期間短縮型で繰り上げ返済をした場合は、返済期間が10年未満になると控除が受けられなくなるので注意が必要です。

ちなみに2022年度以降の住宅ローン減税は縮小されることが決まっていて、控除率は0.7%になる予定です。時代によって変わるので、制度の変更を追っていく必要はあるよね。
理由⑤ 繰り上げ返済に手数料がかかる金融機関もあるから
繰り上げ返済をしないほうがいい理由の五つ目は、「繰り上げ返済に手数料がかかる金融機関もあるから」です。
繰り上げ返済は誰もが可能な権利かと思いきや、金融機関によっては手数料がかかる場合があります。
手数料分を考えると、思っていたよりはメリットが少なくなる可能性もあるので注意が必要です。
繰り上げ返済をするタイミング
このように繰り上げ返済には、メリットがあればデメリットもあります。
タイミングを間違えると、大きな損が生まれてしまうので、メリットとデメリットを理解した上で、自分にとって良い方法を選びましょう。
繰り上げ返済はこんな時なら、メリットが大きい可能性があります。
タイミング① 高金利時代に突入したとき/投資環境が悪くなった時
低金利時代が終わり、高金利時代がきたら、それは繰り上げ返済をするタイミングかもしれません。
投資などの他の手段で増える金利よりも不動産投資ローン・住宅ローンの金利が高くなるときは、詳細なシミュレーションをする必要があります。
また投資による利回りが低い時にも一度繰り上げ返済を検討してみてもよいかもしれません。
タイミング② 団体信用生命保険のメリットを感じなくなった時
団体信用生命保険は生命保険のかわりにもなり、自分が死んだあとの家族を守ってくれる制度ではありますが、もともと一人暮らしの場合はあまり意味がないと考える人もいるかもしれません。
高度障害状態が制度に含まれるので、生命保険としての役割以外にもメリットはありますが、他の保険との兼ね合いで必要性を感じない人は、繰り上げ返済を検討するタイミングかもしれません。
タイミング③ 住宅ローン控除が利用できなくなる時
不動産投資ローンではなく、住宅ローンの場合のみですが、控除期間終了後に繰り上げ返済するという方も多くいらっしゃいます。
無理のない範囲で繰り上げ返済をして、利息分はなるべく支払わないようにしていく方が多いようです。
タイミング④ お金が余っている時
お金が余っていて、貯金も投資額も十分にあり、これ以上投資する必要がない場合は、繰り上げ返済をしてすっきりしましょう。

うらやましい状況だな~。笑 わたしもそうなるようにがんばります!笑
まとめ ~繰り上げ返済しないほうがいい理由~
繰り上げ返済とは、毎月支払っているローンの返済額とは別に、まとまったお金を一気に返済して、返済額を減らすことを言います。
繰り上げ返済
=毎月支払っているローンの返済額とは別に、まとまったお金を一気に返済して、総支払額を減らすこと
一見、なるべく早く借金を返したほうがよいと思えるのですが、今は超低金利時代。無理して繰り上げ返済をしても、思ったよりもメリットが感じられない人も多い可能性があります。
繰り上げ返済の本質的な意味は、現在のお金を使って、将来のお金を増やすこと。
繰り上げ返済の本質的な意味
=現在のお金を使って、将来のお金を増やす
すこーし今を犠牲にしている感も否めないのです。
今自分がやりたいこと、やるべきこと、今しかできないことを念頭において、将来の自分が後悔しないように上手にお金を使いましょう。
お金の使い方はプロのファイナンシャルプランナーに相談してみるのもひとつの手です。
参考にしてみてね。