
返済中の人
大学生の時に借りた奨学金が返せそうなぐらい貯金ができました!でもこれって繰り上げ返済したほうがいいの?繰り上げ返済による、メリットとデメリットが知りたいです。
今回は、こんな疑問にお答えします。
▼本記事の内容
・奨学金とは?
・奨学金繰り上げ返済のメリットとデメリット
・奨学金を繰り上げ返済するかどうか決める時のポイント
わたしも大学時代にお世話になった、日本学生支援機構(旧:日本育英会)の奨学金。
毎月コツコツ返して、30代の時に完済することができました(*´▽`*)
実はわたしも、かなり前に日本学生支援機構から借りた奨学金の全額を返せるぐらいの貯金はできていたのですが、金額にして毎月約1万円(利子なし)をずっと払い続けることを決め、繰り上げ返済はしませんでした。
なぜなら…そのほうがわたしにとっては、メリットが大きかったからです。
あなたは、本当に奨学金の繰り上げ返済したほうがいい人ですか?
もしかしたら、わたしのように奨学金の繰り上げ返済はいらない人なのかも?
奨学金の繰り上げ返済は、いつでもできます。
奨学金の繰り上げ返済のメリットとデメリットを知ってからでも、遅くありません。
今回は、わたしの経験談も踏まえながら、奨学金の繰り上げ返済をすることによるメリットとデメリットをまとめてみたいと思います。
奨学金とは?
奨学金とは、高等学校以上の学生を対象に学費用に貸与されるお金のことを言います。
奨学金
=高等学校以上の学生を対象に学費用に貸与されるお金のこと
=返還義務がある「貸与奨学金」と返還義務がない「給付奨学金」があり、また
「貸与奨学金」には利子がつかない「第一種奨学金」と利子の付く「第二種奨学金」がある。
財源は国費で、一定の基準で選考されます。
奨学金が借りられることが決まったら、手続きをして、毎月分割でコツコツ返済し、学業終了後20年以内に返済することが必要とされています。
今現在は、奨学金関連のことはすべて独立行政法人「日本学生支援機構」が管理していますが、わたしが大学生のころは「日本育英会」という団体名が管理していました。
わたしの時代は奨学金を借りると、「奨学金手帳」という手帳をもらいます。
奨学金手帳の中には、日本育英会法の第1条が…!
第1条
日本育英会は、優れた学生及び生徒であって経済的理由により修学に困難があるものに対し、学費の貸与等を行うことにより、国家及び社会に有為な人材の育成に資するとともに教育の機会均等に寄与することを目的とする

いやぁ、優れた学生だって。ほめられてる?笑 ほんとありがたい制度です。わたしは貧乏だったので、奨学金制度がなければ大学に通うことができませんでした。感謝しかありません。
経験談:枝豆が借りた奨学金と返済状況
わたしが借りたのは、無利子の「第一種奨学金」です。
わたしの場合は、繰り上げ返済はせずにひたすら毎月返済し続けていました。
こちらが借りた時にもらった「第一種奨学生手帳」です。

これもらったとき、かなり不安になったものです。w

うわぁ…とうとうわたし、借金してしまった。コワイコワイコワイ…どうしよう…本当に大丈夫なのだろうか。社会人になったとたんに返済義務を負うのってプレッシャーエグい…(´;ω;`)
…と思いながらも、わたしの場合は必死にアルバイトとして、大学在学中に奨学金を全額返せるぐらいの貯金を作ることができました。(プレッシャーを感じたのがかえって良かったのかもしれません。笑)
当時、もらった「第一種奨学生手帳」の中に書かれている内容をご紹介すると、以下のとおり。
貸与見込み額:1,470,000円
返還回数:156回
割賦月額:9,423円
年利:(空欄)

奨学金手帳には、いくら借りて、いくらずつ返すなど、奨学金を借りた条件の詳細が書かれています。毎月1万円弱を156回ということは…13年間か…。毎月返還し続けていたと考えると長いですね~。無事に払い終わってよかった!(*´▽`*)
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奨学金の種類
現在、奨学金には大きく分けて、2種類があります。
①給付奨学金
②貸与奨学金
ひとつひとつ見ていきましょう。
給付奨学金とは?
給付奨学金は、返済がいらない奨学金です。
返済がいらない奨学金は、学力基準と収入基準、そして資産基準を満たす学生が応募できます。
学力はもちろん、経済状況についても一定の基準があり、受給の条件は厳しくなります。
【学力基準 ※一部抜粋】
・全履修科目の評定平均値が、5段階評価で3.5以上であること
・.将来、社会で自立し、及び活躍する目標をもって、進学しようとする大学等における学修意欲を有すること
【収入基準 ※一部抜粋】
・第1区分
あなたと生計維持者の支給額算定基準額の合計が100円未満であること
・第2区分
あなたと生計維持者の支給額算定基準額の合計が100円以上25,600円未満であること
・第3区分
あなたと生計維持者の支給額算定基準額の合計が25,600円以上51,300円未満であること
※詳細は、日本学生支援機構のホームページをご確認ください。

生計維持者とは、その家計の世帯主さんのことです。ご両親とか…ご親戚とかが普通かな?
貸与奨学金とは?
貸与奨学金は、返済が必要な奨学金です。
返済が必要な奨学金は、利子の付かない「第一種奨学金」と、利子の付く「第二種奨学金」があります。
こちらも学力はもちろん、経済状況についても一定の基準がありますが、経済状況については給付奨学金と比べると受給の条件はゆるくなります。
貸与奨学金の利息
貸与奨学金のうち、「第二種奨学金」については、借入額に対し利息が発生します。
貸与利率は入学年度によって異なります。
平成19年4月以降は、「利率固定方式」と「利率見直し方式」の2種類から自分で利率を選ぶ事になります。
利率固定方式
=貸与終了時に決定した利率が、返還完了まで適用
=市場金利が変動しても変わらない
利率見直し方式
=貸与終了時に決定した利率を、5年ごとに見直し
=市場金利が変動すると変わる
令和3年度の4月の貸与利率(年利%)は、以下のとおり。
基本月額
利率固定方式:0.268%
利率見直し方式:0.003%
増額部分
利率固定方式:0.468%
利率見直し方式:0.203%
利率見直し方式のほうが大きく下回っています。 どちらの方式を選んでも、利率の上限は年利3%という決まりがあります。
基本的に利息がない「第一種奨学金」の場合は、そもそも利子がないので、繰り上げ返済をしてもあまりメリットはありません。
しかし、利子がある「第二種奨学金」の場合は、状況によっては繰り上げ返済を検討する意味があります。利子の分の支払いが必要なくなるからです。
奨学金を繰り上げ返済する方法
奨学金には、繰り上げ返済ができる、「繰上返還申込み」という制度があります。
制度① 繰上返還申込み
繰り上げ返済の手続きはかんたんで、インターネットサービスの「スカラネット・パーソナル」から申しこむことができます。
繰上返還申込み
=パソコンやスマートフォンから「スカラネット・パーソナル」というサービスを通じて申し込み可能。
=全額返済、一部返済など返済の仕方は自分で選ぶことができる
奨学金には、「繰上返還申込み」以外にもいろんな制度があります。
①毎月の返済額を減額する「減額返還制度」
②返還を待ってもらう「返還期限猶予」
ひとつずつ見ていきましょう。
制度② 減額返還制度
奨学金は経済的理由などの事情がある場合、毎月の返済額を減額することができます。
減額返還制度
=月々の返済額を2分の1もしくは3分の1へ変更できる制度
「災害、傷病、その他経済的理由により奨学金の返還が困難であること」という条件がありますが、返済額を減額することが可能です。
しかし、減額返還制度を利用すると、返済完了までの期間が長くなることに対しては注意が必要です。
制度③ 返還期限猶予
奨学金の毎月の返済額は支払いが難しい場合は、返済の猶予をすることも可能です。
災害、傷病、経済困難、失業などの返還が難しくなった事情がある場合は、申し込みをして、審査を受けます。
ただし承認されない場合は返還を継続する必要があります。
奨学金を繰り上げ返済するメリット
奨学金を繰り上げ返済するメリットは、以下の3点です。
メリット① 総返済額が減る
メリット② 報奨金がもらえる人もいる(いた)
メリット③ 借金がなくなってすっきりする
ひとつづつ見ていきましょう。
メリット① 総返済額が減る
奨学金を繰り上げ返済するメリットの1つ目は、「総返済額が減る」ことです。
日本学生支援機構の第二種奨学金には、未返済の奨学金に金利がかかっています。
奨学金を繰り上げ返済すると、返還回数と返還期間が減るので、その分の利息を減らすことができます。
第二種奨学金の金利は、0.2%程度とかなり低額なので大きなメリットになるか迷う方も多いと思いますが、減る金額があることは確かです。
この総返済額が減るメリットに関しては、、主に「第二種奨学金」の場合です。
返還の必要がない給付奨学金や、利子がつかない「第一種奨学金」は返済額が減るメリットはありません。
メリット② 報奨金がもらえる人もいる
奨学金を繰り上げ返済するメリットの2つ目は、「報奨金がもらえる人もいる(いた)」ことです。
平成17年度(2005年度)に廃止されてしまった制度ですが、昔は繰り上げ返済をすると報奨金がもらえる制度がありました。
独立行政法人日本学生支援機構が発表する業務方法書によると、報奨金の内容は以下のとおり。
第4条
要返還者等(要返還者等のうち,要返還者が平成16年度に機構と貸与契約を締結した者に限る。)が第一種奨学金に係る最終の割賦金の返還期日の4年前までに第一種奨学金の返還未済額の全部を一時に返還したときは,その者に対し,当該返還により繰上返還したこととなる第一種奨学金に係る割賦金の金額につき5パーセントの割合で計算した金額を報奨金として支払うものとする。ただし,返還を開始した日の翌日から起算して7年以上(返還の期限を猶予されている期間を除く。)経過した後に返還未済額の全部を一時に返還したときに支払う報奨金は,当該返還により繰上返還したこととなる第一種奨学金に係る割賦金の金額につき3パーセントの割合で計算した金額とする。
引用:独立行政法人日本学生支援機構 業務方法書より
https://www.jasso.go.jp/about/disclosure/kitei/__icsFiles/afieldfile/2021/07/14/gyoumuhouhousyo.pdf
整理すると、報奨金制度は以下のとおり。
報奨金
=「第一種奨学金」の返済者のみが対象
=平成16年度(2004年度)までに貸与開始している返済者が対象
=条件は、最終返還期日の4年以上前に一括返還を行うこと

なくなってしまって残念…この制度があれば、「第一種奨学金」の方にとってはある程度メリットがあったと言えそうです。
メリット③ 借金がなくなってすっきりする
奨学金を繰り上げ返済するメリットの3つ目は、「借金がなくなってすっきりする」です。
奨学金の種類に関わらず、みんなが思うであろうメリットとして、「すっきりする」があります。笑
人によって奨学金を借りていることへのプレッシャーの感じ方はさまざまだと思いますが、毎月コツコツ支払うことに対して、ライフプランを立てにくく感じたり、もやっとし続けている人もいるかもしれません。
そんな心の負担を感じるなら、繰り上げ返済をさっさとしてしまってすっきりするのもひとつの手です。
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奨学金の繰り上げ返済シミュレーション
メリット①でお話した、総返済額が減るという項目について、念のためシミュレーションしておきましょう。
奨学金の金利はとても低いので、他の金融ローンなどと比べるとかなりメリットは小さいものになります。
枝豆の貸与額の場合
例として、わたしの貸与額で計算してみます。
貸与額:1470,000円
返還回数:156回
返還期間:13年
割賦月額:9,423円(年間113,076円)
返済期間の最後の5年分の565,380円を返済開始から3年後に繰り上げ返済したとして、以下に計算してみます。
①利息0.1%の場合
短縮期間:5年
利息軽減額:565円
②利息0.2%の場合
短縮期間:5年
返還額:565,380円(年間113,076円×5年)
利息軽減額:1,130円
そもそも奨学金はかなり金利が低い制度なので、あまり経済的な効果が高いとは言えません。
単純計算でも100万円を一括で繰り上げ返済をした場合、0.1%の金利では1,000円にしかなりません。

メリットと言えばメリットだけど、もし0.1~0.2%程度以上の他の投資先があるなら、返済を急がないほうが経済的にはメリットが大きいですよね。
奨学金を繰り上げ返済するデメリット
ここからは奨学金を繰り上げ返済するデメリットをまとめてみましょう。
繰り上げ返済することによるデメリットなんてないと考える人もいるかもしれません。
しかし、それは違います。メリットがあれば、必ず隠れたデメリットがあります。
デメリット① 手元の現金が減り、チャンスを逃す
奨学金を繰り上げ返済するデメリットの1つ目は、「手元の現金が減り、チャンスを逃す」ことです。
奨学金を繰り上げ返済すると、当たり前ですが手元の現金が減ります。
若いうちは自己投資をたくさんしたほうが良い時期なので、手元の現金はとても貴重です。
何かしらの経験を得るための資金にすることが出来るお金を手放してしまうことになります。
・留学資金
・専門学校に通う資金
・投資を勉強するための資金 など
枝豆の場合:奨学金として貯めた貯金の使い道
わたしは借りた奨学金は、毎月決まった額を13年支払って、繰り上げ返済は一度もしませんでした。
しかし、全くお金を貯めていなかったわけではなく、奨学金を返せるお金を手元に持ったまま違う事に使いつつ、毎月決まった額を支払っていました。
私が貯めたお金を使ってしたことの一部はこちらです。
・カナダに留学した(留学資金)
・韓国に留学した(留学資金)
・投資用中古マンションを購入した(頭金) など
これらのことをやりながら、奨学金は毎月コツコツ1万円を支払っていました。もし繰り上げ返済を選んでしまったら、これらの経験ができず、今のわたしはなかったと思います。
お金の使い道は、きちんと考えて、自分にとっていちばんよい選択をしてください。
奨学金に関するよくある質問Q&A
最後に、よく心配される奨学金に対する疑問について、わたしの経験談からお答えしてみましょう。
質問① 奨学金を返済中はローンが組めないってホント?
A.いいえ、組めます。
わたしは、奨学金を返済中に投資用の中古マンションを購入しています。
ローン審査の時に通帳のコピーなどは提出しているので、もしかしたらその項目によって奨学金の返済中であることは見えたかもしれませんが、それが理由で不動産投資ローンが組めないということはありませんでした。
実際にわたしは、奨学金の返済中に不動産を購入しています。
※もちろん他の理由も含めたうえで、返済額が多い場合に多少考慮されることはあるかもしれません。私の場合は、当時奨学金の返済以外のローンは組んでおらず、なにかしらの延滞金等も一切ありませんでした。
質問② 奨学金を返済中は結婚に不利?
A.いいえ、わたしは返済中に結婚してます。離婚しちゃったけどね。笑
これはもちろん各家庭によると思いますが、私の場合は奨学金と結婚は一切関係ありませんでした。
最近は、奨学金の利用率も増えていて、夫婦で返済中という場合も多いと思いますので結婚に不利という感覚はありませんが、毎月いくらか確実に引き落とされるものなので、今後の夫婦生活で負担になるとお考えになるようであれば、先に支払うというのもありなのかも?しれません。
まとめ ~奨学金繰り上げ返済のメリット・デメリット~
奨学金は、経済的理由によって修学できない人に対して、学費の貸与をしてくれる制度です。
奨学金を繰り上げ返済するメリットは以下のとおり。
メリット① 総返済額が減る(利子分が減る)
メリット② 報奨金がもらえる人もいる
メリット③ 借金がなくなってすっきりする
デメリット① 手元の現金が減り、チャンスを逃す
しかし、実際のところ、奨学金の利子はかなり低く、年利0.1~0.2%程度であるため、経済的なメリットは多くありません。
心理的に借金を抱えるプレッシャーを感じない人であれば、繰り上げ返済をしないという選択もおすすめです。
繰り上げ返済をする予定のお金は、他の年利率が高い投資に回したり、さまざまな経験をするための自己投資にお金を使うほうが有益になる可能性は高そうです。
実際に本ブログの管理人の枝豆も奨学金の繰り上げ返済はしておらず、その間に海外留学や投資用中古マンションの購入をしたことで、たくさんの人生勉強や経験ができました。
奨学金の繰り上げ返済をするかしないかは、意外と人生に大きな影響をもたらします。メリットもデメリットもあるので、自分の人生を考えた上で、ぜひ最適な選択をしてください。
参考にしてみてね。
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