気になる人
オーナーチェンジ物件は危険ってほんと?
オーナーチェンジ物件のデメリットや注意点をおしえて
今回の記事は、こんな人に向けて書いています。
ご紹介内容はあくまで個人の見解と運用実績であり、正確性や安全性を保障するものではありません。また情報提供のみを目的としており、投資、法務、税務その他のアドバイスを意図しているわけでもありません。当サイトに掲載された内容によって生じた損害等の一切の責任を負いかねますのでご了承ください。詳細はこちら
私は15年間、中古ワンルームマンション投資をしてきました。
その物件選びで、必ず守ってきたのが「入居中の貸借人がいるオーナーチェンジ物件は購入しない」こと。
オーナーチェンジ物件は、一か八かのリスクが多く、見えない危険がいっぱい。
もちろん、絶対に購入しちゃだめというわけではありませんが、見逃せないチェックポイントがたくさんあるのです。
そこで今回は、実際に私がオーナーチェンジ物件を避ける理由を徹底解説!
さらに、購入する際のチェックポイントと注意点もまとめてみました。
▼本記事の内容
オーナーチェンジ物件を実際に私が避けた理由
オーナーチェンジ物件を購入する時の注意点
オーナーチェンジ物件とは?
オーナーチェンジ物件とは、その名のとおり不動産の所有者(オーナー)兼貸主が変更され、旧所有者から権利と義務を引き継ぐ物件のこと。
所有者が変わるだけなので、入居者はそのまま住み続けますし、契約内容もそのまま残ります。
オーナーチェンジ物件
=不動産の所有者(オーナー)兼貸主が変更される物件
=旧所有者から新所有者へ権利と義務が引き継がれるが、入居者や賃貸契約自体は変更されない
新オーナーが旧オーナーから引き継ぐものの例は、以下のとおり。
【新オーナーが旧オーナーから引き継ぐ義務と権利一覧】
・建物を入居者に使わせる義務
・建物の修繕をする義務
・入居者の退去時に敷金を返還する義務
・入居者に賃貸料を支払ってもらう権利
・契約終了時の建物を返還してもらう権利
・契約終了時に入居者に原状回復してもらう権利 など
オーナーチェンジ物件って、ただ契約書の名前を替えるだけってわけじゃないんだよね。
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オーナーチェンジ物件は危険?実際に私が避けた理由
冒頭でお話したように、私はこれまでに入居中の貸借人がいるオーナーチェンジ物件は購入したことがありません。
購入候補物件にオーナーチェンジ物件が入ってくることはあります。
でも結局、今までは最後の最後で選ばなかったなぁ…
注意さえすれば、オーナーチェンジ物件を購入するのももちろんあり。
でも、空室物件よりはリスクが多いので、どんなリスクがあるか知っておくことが大事です。
実際に私が避けた理由を具体的な体験談を元に整理してみましょう。
入居者がサクラ(詐欺)の場合がある
家賃滞納など問題がある入居者でも追い出せない
室内状況を確認できない(瑕疵あり物件)
家賃が相場と違っても変えられない
リノベーションや建て替えが難しい
オーナーチェンジ物件の利回りは実際とは異なる
一つずつ見ていきましょう。
入居者がサクラ(詐欺)の場合がある
オーナーチェンジ物件が危険なのは、売主が物件を売却しやすくするために、一時的に空き部屋に入居者を入れ、満室を偽装する入居者偽装詐欺ができてしまうからです。
さすがに中古ワンルームマンションではあまり聞かないけど、地方の1棟アパート経営などではオーナーが見に来ないのをいいことに、仲介業者とグルでやられることが多いようです…。
売買契約後から数か月経つと、入居者が次々と退去し、結局だれもいなくなってしまうのだとか。
これはかなり悪質…。
でも、その一方で、悪意がないケースも。
意図していなくても、売り出し時の入居者が契約完了時に退去することもあり得ます。
不動産売買の契約締結までには、ローン審査や各書類の申請など、数か月かかるのであたりまえと言えば、あたりまえ。
不動産投資初心者は、入居者が付くかどうかが心配で、つい「入居中」の物件の中から購入する物件を探してしまいがちですが、それはあまり意味がないことを念頭においておきましょう。
むしろ「空室」物件のほうが、私は安心かも。希望すれば室内を見せてもらえるしね。笑
空室物件は、これから入居者を募集するため、不動産オーナーがOKを出してはじめて入居者が付きます。
あまりないケースではありますが、入居を希望する人にリスクや危険性を感じる場合、入居を断ることができるのは大きなメリットでしょう。
とはいえ、今までにお断りしたことはないけど…。でも、入居者の年齢、性別、職業や年収、保証人などのチェックができるので安心感はあるよね。
家賃滞納など問題がある入居者でも追い出せない
売買契約&賃貸借契約を結んでしまったら、オーナー(貸主)からは簡単に契約解除ができません。
オーナー(貸主)から契約解除をするためには、「正当事由」が必要です。
建物の賃貸人による第26条第1項の通知又は賃貸借の解約の申入れは、建物の賃貸人及び賃借人が建物の使用を必要とする事情のほか、建物の賃貸借に関する従前の経過、建物の利用状況及び建物の現況並びに建物の賃貸人が建物の明渡しの条件として、又は建物の明渡しと引換えに建物の賃借人に対して財産上の給付をする旨の申出をした場合におけるその申出を考慮して、正当の事由があると認められる場合でなければ、することができない。
引用:借地借家法28条
なにが正当事由に該当するかの判断は、裁判でも意見が分かれ、とても難しいこと。
ただこれまでの判例を見ると、かなり差し迫った理由があり、なおかつ立ち退き料の用意があるなどのケースでないかぎりは、認めてもらえません。
・差し迫った自己使用の必要性がある
・建物の取り壊しが不可避である
例えば、室内をゴミ屋敷にしていたり、騒音を立てて近所の住民に迷惑行為を働いているなどの軽微な迷惑行為や家賃滞納を1~2か月したぐらいの理由では、なかなか追い出せないのが実情です。
立ち退き料を払えば必ず出て行ってもらえるというわけではなく、差し迫った理由があって初めて認められます。
実際に私も約15年の不動産オーナー経験の中で、軽い入居者トラブルはいくつか経験しています。
入居者が退去する際に「敷金を返さないと出て行かない」と言いだし、退去が予定よりも遅れて、次の入居者の募集及び室内清掃や内装作業が遅れ、空室期間を延ばさずを得ない時がありました。
実際に金銭面の損失は出ていますが、それを理由にムリヤリ退去させるようなことはできませんでした。
困った人はいるもので…本当に焦りました…。家賃滞納の経験はないけど、募集できないのも本当に困る…!部屋はかなり汚れていて、内装工事も大変でした…。
自分で入居審査をOKした場合でもそういう事件は起こるわけですから、オーナーチェンジ物件はなおさら心配。
そもそも前オーナーが物件を売りたい原因が入居者である可能性もあり得るのです。
室内状況を確認できない(瑕疵あり物件)
オーナーチェンジ物件は入居者がいるため、物件の購入前に室内状況を確認することはできません。
あたりまえといえば、あたりまえ?
通常、その物件を借りている人が退去する場合、借りている人には原状回復義務が発生します。
原状回復義務
=借主が契約終了後に、借りた部屋を借りた時の状態に戻して返還する義務
=入居時から壊れていたものに関しては、借主に復旧の義務はない
そのため、基本的には退去時に元に戻して返してくれることになります。
空室物件の場合は、元に戻して返してくれた状態であり、その後前オーナーによって清掃やリフォーム等が行われているケースもあり、重要な瑕疵(かし)があったとしても、見える化されている場合がほどんどです。
瑕疵(かし)=物件の傷や欠点など
希望すれば室内を見学することもできるので、大きな不安がない状態で購入できます。
一方、オーナーチェンジ物件は、物件購入時にすでに入居者がいるので、物件に重要な瑕疵(かし)があっても気が付けないというデメリットがあります。
よくあるのは、水回りの老朽化や壁や床の劣化・傷などですが、その住人が退去した後にかなり大がかりな修繕費用・リフォーム費用が必要になるとしても、その状況に購入段階で気が付くことはできません。
わたしは、空室物件を購入する時は必ず現地に行き、中身を見せてもらうようにしています。
瑕疵のあるなしだけじゃなくて、意外なところに段差や柱があることも。
これは家具が配置しずらくて以外と使いずらい物件かもなぁと思って、購入を辞めたケースもありました。
室内チェックでわかることって、意外と多いです。
家賃が相場と違っても変えられない
オーナーチェンジ物件では、良くも悪くも現在の入居者の賃料や契約内容がそのまま引き継がれます。
特に1人の住人が長く住んでいる場合、同じ地域の相場家賃から家賃価格が離れてしまうケースがあります。
家賃をあげることができる相場環境であっても、家賃や契約期間などを変更するには、入居者の同意が必要です。
建物の借賃の増額について当事者間に協議が調わないときは、その請求を受けた者は、増額を正当とする裁判が確定するまでは、相当と認める額の建物の借賃を支払うことをもって足りる。
引用:借地借家法32条1項2項
1人の住人が長く住んでくれるのは安心感がありますが、キャッシュフローの改善チャンスを逃すことにもなるし、室内の老朽化がどんどん進んでしまうリスクもあるので一概にいいこととは言えないんだよね…。
空室物件の場合は、その時改めて現在の市場環境を加味した契約内容に変更することが可能です。
自分でルールを決められるという点では、とても安心感があります。
リノベーションや建て替えが難しい
リノベーションや建て替えについては、オーナーチェンジ物件の場合は難しいと考えるのが基本です。
特に最近は立地のよい場所にある中古マンションのリノベーションが流行っていますが、前述したようにオーナー側から入居者を追い出すことはできません。
もし不動産経営の方針が物件を安く購入し、リノベーションを実施して、賃料をあげて入居者を付ける目的なのであれば、空室物件を探す必要があります。
【よくあるリノベーション物件の流れ】
1:空室物件を安く購入する
2:リノベーションを実施する
3:賃料をあげて入居募集をする
オーナーチェンジ物件を買ってしまった場合は、その入居者が退去するタイミングまで待つ必要があります。
オーナーチェンジ物件の利回りは実際とは異なる
オーナーチェンジ物件の募集要項に書かれた利回りは、実際とは異なることが多いので注意が必要です。
空室物件の場合は、賃料が発生していないため、あえて利回りがかかれることは少なく、書いてあったとしても「満室想定」などの条件が一緒に書かれています。
しかし、入居中のオーナーチェンジ物件の場合、その条件があいまいに設定されていることも多く、利回りだけを信用して購入してしまうと、実際と大きくずれてしまいます。
不動産売買サイトの検索条件などでは、利回りを条件に探すこともできますが、それだけを条件に探そうとすることに大きな意味はありません。
アナログかもしれないけど、わたしはやっぱり、実際の不動産物件を足を使って確認しに行きたいです。笑 不動産は大きな買い物だからね。
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オーナーチェンジ物件を購入するメリット
オーナーチェンジ物件には独特のリスクがあるものの、メリットもしっかり存在します。
新規入居者募集コスト&リフォーム代がかからない
相場より安く物件を購入できることがある
不動産投資ローンが比較的通りやすい
一つずつ見ていきましょう。
新規入居者募集コスト&リフォーム代がかからない
通常、入居者退去から次の入居者が決まるまでには、新規入居者募集コストや清掃、内装、修繕費などのリフォーム代がかかります。
すでに入居者が入居中のオーナーチェンジ物件は、その費用が一切かかりません。
退室が決まると、実際に管理会社の担当から、こんなお知らせが送られてくるよ。
入居者募集費用
=入居者退去から次の入居者が決まるまでにかかる費用のこと
=広告宣伝費、清掃費、内装や修繕費など
実際に私が持っている中古ワンルームマンションで、前回かかった入居者募集費用は以下のとおり。
必要費用 | 金額 |
---|---|
業務委託費&募集広告費 | 80,000円 |
内装修繕費 | 64,900円 |
↓内装修繕費の内訳↓ | |
クリーニング(1K・1R) | 24,000円 |
浴室鏡鱗取り | 2,000円 |
各所排水簡易洗浄 | 4,000円 |
床ワックス | 4,000円 |
室外機移動(配管延長作業込み) | 25,000円 |
この時は敷金償却費で内装&修繕費はまかなえたので、実質かかったのは業務委託費&募集広告費だけでした。とはいえ…まぁまぁの出費です。
これらの新規入居者募集の費用、リフォームや内装費が一切発生せず、最初から家賃収入があるのがオーナーチェンジ物件の大きなメリットです。
基本的には家賃発生日から日割り計算された家賃が得られるので、引き渡し日からすぐに収益が発生します。
相場より安く物件を購入できることがある
オーナーチェンジ物件は、それ以外の物件と比べると相場より安く査定され、お買い得価格で購入できる場合があります。
なぜなら、現移住者がいることで、今後発生する内装費用&修繕費用分の金額分が値下げされるから。
オーナーチェンジ物件の場合、買主が室内を見て、内装を点検し、納得した上で購入することができません。
しかし、現入居者が退去する際に必ず発生する内装費用&修繕費用は、新オーナーが支払うことは購入する段階で決まります。
投資用不動産の場合は、物件自体の収益力を加味した「収益還元法」で不動産価格を計算されるため、今後発生する費用を加味して少し安く計算されることがあるのです。
もちろんその物件によって、査定条件は大きく異なります。必ず安く購入できるというわけじゃないよ。
特にランドセット物件と呼ばれる、新築直後の収益物件はどちらにしろ高く見積もられるケースが多くなります。
ランドセット物件
=土地と新築賃貸住宅がセットで販売される不動産投資物件のこと
不動産投資ローンが比較的通りやすい
オーナーチェンジ物件の場合、購入直後から収益が発生するため、不動産投資ローンが比較的通りやすいというメリットがあります。
空室物件の場合は、銀行やローン会社からみれば、いつ収益が発生するのかわかりにくいというデメリットがあります。
この人にお金を貸しても、しばらく収益がないんじゃちゃんと返せるの?…って思われてしまう…ってことです。
しかし、オーナーチェンジ物件であればその心配はありません。
とはいえ、実際に不動産投資ローンが下りるかどうかは、本人の返済能力や返済履歴など幅広く加味して検討されるため、そこまで大きな影響があるかは、金融機関によって異なります。
【不動産投資ローンの確認事項】
①返済能力
②借入理由
③返済履歴
④担保
返済に不安があるのにローンが借りれてしまうのも個人的には問題だと思うので、あくまで自分の身の丈にあったローンの組み方をするのがおすすめです。
かぼちゃの馬車事件のようなケースもありますからね…。
かぼちゃの馬車事件
=スマートデイズ運用の女性専用シェアハウス「かぼちゃの馬車(1棟1億円以上)を住宅ローンで購入した不動産オーナーたちが、スマートデイズの経営破綻により、借金を抱えてしまった事件
=自己破産を選択せざるをえない投資家が続出し、社会問題にまで発展した
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オーナーチェンジ物件を購入する際の注意点
オーナーチェンジ物件を購入する際は、それ以外の物件を購入する時よりもさらに注意が必要です。
気を付けるべきポイントは、以下のとおり。
売主の情報や売却理由を調べる
入居者情報と契約内容を確認する
現在の家賃と周辺相場を見比べる
大規模修繕やリフォームの履歴を確認する
瑕疵担保責任をできる限り長く設定する
新設された契約不適合責任を知っておく
自分の足で物件の周辺を見に行く
一つずつ見ていきましょう。
売主の情報や売却理由を調べる
オーナーチェンジ物件を購入する際に必ずチェックしたいのは、売主の売却理由です。
不動産経営が上手くいっていれば、売らなくても問題がないハズ。
売ろうとしているということは、その不動産物件自体か、その売主に何かしらの売却理由があるはずです。
売主に売却理由があるならいいのですが、不動産物件自体に売却理由がある場合は危険です…
購入OKの例:オーナーチェンジ物件の売却理由
・売主の事情で、遠方に引っ越しするため(管理ができなくなる)
・売主の事情で、まとまったお金が必要になったから
・売主の事情で、ローンの返済ができなくなったから
・売主の事情で、高齢になって不動産管理ができなくなったから
購入NGの例:オーナーチェンジ物件の売却理由
・空室率が上がり、不動産経営が難しくなったから
・家賃収入の減少が顕著で、売却益で利益を出そうとしているから
・入居者トラブルで、管理コストがかかりすぎているから
・物件の老朽化により、修繕費やリフォームに大きなコストがかかるから
売却理由を調べるためには、まず登記簿謄本を取得するのがおすすめです。
登記簿謄本の権利部(甲区欄)を見ると、誰がいつ、どのような目的でその不動産を取得したのかがわかります。
さらに前所有者がどの銀行から融資を受けていたのかも確認することができます。
注意物件1:所有者がコロコロ変わっている物件
物件の所有者が変わる時には、何かしらの理由があります。
所有者自体の問題で物件を手放しているのであればよいのですが、中には物件が粗悪であるがゆえの所有者移転であるケースも考えられます。
中には大規模修繕が高額で、修繕から逃げるために所有者が変わっているケースもあるみたい…よく見ておいて損はない項目です。
注意物件2:所有者が高金利な融資先から融資を受けている物件
高金利な融資先から融資を受けている場合は、所有者が金銭的に余裕がなかったことが考えられるため、通常必要な修繕が行われていない可能性があります。修繕履歴も併せて、念のためチェックが必要です。
購入後すぐに大規模修繕が必要だったとか…結構きついですよね…。
問題なし物件1:売却理由が相続の物件
売却理由が相続の場合は、基本的には相続税の納税のための売却であることが一般的です。この場合は、物件自体の瑕疵というよりは、所有者側の事情で売却されている可能性が高くなります。
相続税を支払おうとすると、所持資産の売却が必要になるケースも多いです。
問題なし物件2:所有者が新築からずっと所有していた物件
地主が新築からずっと変わらず持っていたような物件は、基本的にはお金がある中で運用されているケースが多いため、定期的に修繕を行ってきた優良物件であるケースが多いです。
全部が全部そうではないけど、コロコロ所有者が変わる物件と比べれば、かなり信頼性が高い物件に見えますね…。
また、売主関連で言えば、購入時に必ず敷金を引き継いでおくことも忘れずに。
現入居者から売主が預かっている敷金があり、その敷金を使って、入居者が退去する際の部屋の修繕費用に充てるのが通常です。
もし修繕が発生しなければ返金が必要になるため、必ず確認しておきましょう。
入居者情報と契約内容を確認する
オーナーチェンジ物件の危険度を測るために、必ず入居者情報と契約内容も確認しておきましょう。
具体的に確認する項目は、以下のとおり。
現在の入居状況
賃料の設定
家賃の入金状況と過去のトラブル有無
保証人の有無 など
いつから契約しているか、契約期間はどれくらいか、家賃滞納はないか、過去にトラブルはないか等を確認し、不安材料がないかどうかをチェックします。
特に賃料と入金周りは、キャッシュフローに大きく影響するので、しっかり確認することが必要です。
さらにトラブルを起こしたり契約違反を行ったりする入居者がいないかどうかも確認したいところ…。
比較的入居期間が長く、確実に家賃の入金ができている入居者は安心できます。
現在の家賃と周辺相場を見比べる
入居者が長く住んでいる場合に注意が必要なのが、現在の家賃と周辺相場のかい離です。
わたしも入居者が変わる度に、家賃相場の変化を確認していますが、10年以上不動産経営をしていると、結構変わります。
物件は古くなっているはずなのに、家賃はインフレのせいかどんどん上がっていくことも。
まずは、物件のレントロールを取り寄せて、実際の賃料を確認し、さらに類似する物件の相場を調べましょう。
レントロール
=賃貸条件の一覧表
=借主の氏名、利用用途、賃貸面積、原契約日、契約期間、賃料、共益費、賃料単価、駐車場使用料等が一覧でまとめられている
近隣の類似物件の家賃相場は、賃貸ポータルサイトや近隣の不動産会社などで調べることができます。
かい離が大きい場合は、もう一度キャッシュフローの見直しを行いましょう。
賃料単価の低い部屋=現入居者が住んでいる限り、家賃があげられないリスク・危険性あり
賃料単価の高い部屋=現入居者が退去した後に家賃が下がるリスク・危険性あり
期待する収益が得られない場合は購入を見送る判断をするのも大事なことです。
大規模修繕やリフォームの履歴を確認する
オーナーチェンジ物件の場合は、大規模修繕やリフォームの履歴を必ずチェックしましょう。
管理会社に相談して、リフォームやメンテナンスの履歴を取り寄せます。
特に大規模修繕が何度も見送られている物件は、購入と同時に大きなお金がかかってしまい、長期にわたって赤字経営になる可能性を秘めています。
また管理状態が悪い場合、適切な大規模修繕が行われていないこともあります。
建物の損傷が激しくなっているにも関わらず放置された状態の物件もあるので、10年~15年に1回は大規模修繕が必要になることを念頭に置いておきましょう。
管理会社が変わると、急に修繕積立金が増えるケースもあるので、修繕積立金が少なすぎる物件も購入しずらいですね…。
瑕疵担保責任をできる限り長い期間に設定する
オーナーチェンジ物件では特に、瑕疵担保責任をできる限り長い期間に設定することが必要です。
瑕疵担保責任
=物件に隠れた瑕疵(かし)があった場合に、売主がその瑕疵の責任を負う
瑕疵担保責任の期間は、契約内容によって異なります。
特にオーナーチェンジ物件の場合、内見できないことから隠れた瑕疵(かし)を見つけるまでに時間がかかる可能性があります。
物件の売却価格の交渉と同じように、瑕疵担保責任の期間についても適切な期間を双方で話し合う必要があります。
買主側としては、安易に契約期間を短く設定することはやめましょう。
「瑕疵担保責任」という言葉は、2020年4月の民法改正で使われなくなりました。代わりに「契約不適合責任」という言葉が使われています。
新設された契約不適合責任を知っておく
2020年4月の民法改正で「契約不適合責任」の項目が追加されました。
契約不適合責任とは、売買契約において不備があった場合に売主が買主に対して負う責任を指します。
第566条
売主が種類又は品質に関して契約の内容に適合しない目的物を買主に引き渡した場合において、買主がその不適合を知った時から1年以内にその旨を売主に通知しないときは、買主は、その不適合を理由として、履行の追完の請求、代金の減額の請求、損害賠償の請求及び契約の解除をすることができない。ただし、売主が引渡しの時にその不適合を知り、又は重大な過失によって知らなかったときは、この限りでない。
引用:民法第566条
故意ではなく過失もない状態に限って法定責任が問われていた瑕疵担保責任と違い、故意や過失のあるなしに関わらず、契約書に書かれている内容に合致しているかどうかが問題になりました。
例えば、屋根に穴があいていて雨漏りが発生している場合、契約書に「屋根に穴があいていて雨漏りが発生している」ことが明記されていれば、前所有者の責任は問われません。
契約書に書いてある=知っている状態で購入している…ということになります。契約書をきちんと理解する必要性が増した法律だと言えそう…。専門家への相談も必要になりそうです。
【契約不適合責任の概要】
法的性質 | 債務不履行責任 |
適用対象 | 契約内容に適合していない場合 |
適用の範囲 | 契約履行時までに発生した契約不適合部分 |
買主の権利 | 契約解除・損害賠償請求 追完請求・代金減額請求 |
損害賠償の範囲 | 信頼利益・履行利益 |
期間 | 契約不適合を知ってから1年以内に売主に通知 |
自分の足で物件の周辺を見に行く
オーナーチェンジ物件は室内を確認することはできませんが、物件まで自分の足で歩いていき、周辺情報の確認をすることは可能です。
不動産物件はとても大きな買い物なので、そのぐらいはしてみてもイイと思います。わたしは必ず現地調査しに行くよ。
不動産経営をする上で重要なのは、やはりそこに住みたいと思えるかどうかです。
物件を購入する際は、入居希望者の気持ちになって住みやすい立地や環境かどうかを確認しに行きましょう。
実際に物件まで足を運んでみると、紙面上ではわからなかったことに気が付くことも多いです。
実際に自分の足で歩いてみて、こんなにイメージが変わったことがあるよ。
駅から2分以内の駅近物件
【確認前のイメージ】駅から近すぎて音がうるさそう?
【確認後のイメージ】ほぼ直結で家に帰宅。電車は地下でほぼ無音、警察署があり治安がよい
駅から5分以内の駅近物件
【確認前のイメージ】利便性が高く、人気の駅近物件?
【確認後のイメージ】5分間のうちのほとんどが大きな上り坂。利便性が低い
駅から10分かかる大通りに面した物件
【確認前のイメージ】大型トラックなどの通行が多く排気ガス等で洗濯物が干しにくそう?
【確認後のイメージ】10分間商店街を歩くとすぐに到着。ほとんど距離は感じず、利便性が高い
また建物自体も実際に見てみると、イメージが大きく変わることが多いです。
特にわかりやすいのが管理会社の質。
外装や共用階段、エントランス、住人の共有スペース、掲示板などを見ると、その建物の管理状況を想像することができます。
掲示板には、建物内や建物周囲で問題になっていることや住民への注意点が書かれていることが多いので、どんな問題が起こっているのかがわかります。
「早朝のベル音にご注意ください」「深夜に楽器を弾かないでください」「ゴミの収集日以外にゴミを出さないでください」などの注意事項が張られている場合は、騒音やごみ収集に関する苦情が出ていることが予想できます。
不動産は高額な買い物なのでリアルな現場を見てからじゃないとやっぱり購入しにくいです。私はポスト前のごみ箱がぐちゃぐちゃであふれているのをみて、購入を見送ったこともあります…。笑
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まとめ:オーナーチェンジ物件は危険?実際に私が避けた理由
オーナーチェンジ物件は、そのすべてが危険というわけではありません。
でも、実際のところ、私がこれまでに買った物件はすべて、売主自体が不動産会社の「売主物件」で、入居者がおらず、希望すれば部屋の中を見せてもらえる物件になりました。
特に強く意識したわけではないけど、結果的にそうなったのは、不動産会社が仲介をする「仲介物件」で別にオーナーの方がいて、さらに入居者もいるとなると不確定要素が多く、リスクが高いのは事実だからです。
オーナーチェンジ物件が危険と言われる主な理由は、以下のとおり。
入居者がサクラ(詐欺)の場合がある
家賃滞納など問題がある入居者でも追い出せない
室内状況を確認できない(瑕疵あり物件)
家賃が相場と違っても変えられない
リノベーションや建て替えが難しい
オーナーチェンジ物件の利回りは実際とは異なる
もしどうしてもオーナーチェンジ物件でお気に入りを見つけたら、以下の点に注意して、慎重に購入手続きを進めるのがおすすめです。
売主の情報や売却理由を調べる
入居者情報と契約内容を確認する
現在の家賃と周辺相場を見比べる
大規模修繕やリフォームの履歴を確認する
瑕疵担保責任をできる限り長く設定する
新設された契約不適合責任を知っておく
自分の足で物件の周辺を見に行く
参考になればうれしいです。
それでは今日もまめまめたのしい一日を。
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