全米株式に投資するなら、楽天VTIとS&P500連動型インデックスファンド、どっちがいい?
両方買うのはアリなの?
こんな疑問を持ったことはありませんか?
今回は、投資歴15年のコツコツ投資家が「楽天VTI」と「S&P500連動型インデックスファンド」を徹底比較!
どっちに投資すべきか、両方投資するのもアリなのかをじっくり検証します。
▼本記事の内容
楽天VTIとS&P500はどっちがいい?
両方買うのはアリ?
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楽天VTIとeMAXIS Slim 米国株式(S&P500)を比較してみた!
楽天VTIとS&P500に連動するインデックスファンド(投資信託)は、とても似ています。
両方とも米国株に投資するという意味では一緒です。てか、楽天VTIがS&P500連動型のファンドだと誤解している人も多いよね。
しかし、厳密に言えば似ているのは「米国株式市場への投資」という点だけで、投資対象は違います。
ここでは、楽天VTIとS&P500に連動するインデックスファンドの中から人気の「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」を例に、2つのファンドを比較してみましょう。
どちらも米国株式インデックスファンドのひとつ
楽天VTIとeMAXIS Slim 米国株式(S&P500)は、どちらも米国株式市場に投資するインデックスファンドです。
しかし、ざっくりいうと、楽天VTIはアメリカ全部をまるっと購入できる「全米株式型」であり、eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)はアメリカ市場のうちの大型株500社を購入できる「S&P500型」である点が異なります。
楽天VTI=全米株式
eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)=全米大型株式
似ているようで違うのは、この投資範囲の違いによるものです。
一覧で比較すると、以下のとおり。(2024年1月現在)
比較項目 | 楽天VTI | eMAXIS Slim 米国株式(S&P500) |
---|---|---|
連動対象 | CRSP USトータル・ マーケット・インデックス | S&P500指数 |
銘柄数 | 3,723 | 503 |
投資対象 | 大型株・中型株・小型株 | 大型株 |
信託報酬 | 0.162% | 0.09372% |
実質コスト | 0.18582% | 0.10436% |
純資産総額 | 1兆2,983億円 | 3兆4,075億円 |
設定日 | 2017年9月29日 | 2018年07月03日 |
運用会社 | 楽天投信投資顧問 | 三菱UFJアセット マネジメント |
どちらもつみたてNISA対象!非課税口座で運用可能
楽天VTIとeMAXIS Slim 米国株式(S&P500)は、どちらも新NISAのつみたて投資枠で投資することが可能です。
非課税口座での運用が可能ってことね。利益がでても税金がかかりません。
コツコツ長期的に資産形成を目指す投資家にとって、税制上のメリットを享受しながら、米国株式市場へ投資ができるのは、とてもうれしいことです。
大きな違いは連動指数!銘柄数や投資範囲の違いとは?
となると、大した違いじゃなさそうだけど…
いや、どうかなぁ…。これを大した違いではないととるかどうかは、その投資家さん次第かも…。
楽天VTIとeMAXIS Slim 米国株式(S&P500)の最も大きな違いは、それぞれが連動する指数にあります。
楽天VTIは、「CRSP USトータル・マーケット・インデックス」に連動することを目指す投資信託です。
米国株式市場全体をカバーするので、大型企業だけでなく、中小型企業も投資範囲だよ。
一方、eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)は、有名かつ人気の「S&P500指数」に連動し、米国の大型株500銘柄に投資することで、米国株式市場の約80%をカバーしています。
500社に限定することで、不安定な中小企業を排除しながら、市場の主要な動きを捉えることができると言われているよ。
一覧にしてまとめると、以下のとおり。
比較項目 | CRSP USトータル マーケット・インデックス | S&P500 |
---|---|---|
構成銘柄数 | 約3900社 | 約500社 |
米国市場のカバー率 | 約100% | 約80% |
構成銘柄の規模 | 大型株・中型株・小型株 | 大型株 |
分散性 | 高い | 低い |
採用基準の厳しさ | 上場しているかどうかだけ | 上場はもちろん、 黒字&流動性の高さが必要 |
S&P500の採用基準は、すべて公開されているわけではないのですが、かなり厳しいことで有名です。
その一部は、以下のとおり。
【S&P500の採用基準】
・エコノミストやアナリストから構成される指数委員会が選定
・時価総額53億ドル以上
・流動性が高く、浮動株が発行済株式総数の50%以上
・四半期連続で黒字の利益を維持 など
赤字企業はそもそも入れてもらえないし、赤字転落すると排除されるので投資家は安心です。
一方の楽天VTIは、米国株式のほぼ全てを網羅する「CRSP USトータルマーケットインデックス」への連動を目指すインデックスファンド。
S&P500とは違って安定性はないものの、急に大きく伸びる中小型株も含んでいるので、米国市場全体が大きく伸びると予想している投資家にとっては、とても期待しやすい投資先となっています。
S&P500とCRSP USトータルマーケットインデックスは、上昇タイミングが異なります。
チャートで2つの指数の値動きを見てみると…こんな感じ。
引用:Googleファイナンス
ぱっとみすごく似てるけど…よーくみてみると、アウトパフォームする時期がずれているんですよね。
2021年の米国経済の上昇期後半は、CRSP USトータルマーケットインデックスのほうが強かった一方で、2022年の停滞期やここ数年の上昇は大型企業が市場を引っ張ってくれている印象があります。
上昇初期は大型株がぐんぐんひっぱって、そのあと中小企業も一緒に伸びていく…って考えると想像しやすいですね。
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楽天VTIとS&P500を両方買うのはアリ?
うーん…どっちを買ったいいかわかんない…この際、楽天VTIとS&P500に連動するインデックスファンド、両方買うのはアリ?
そうだなー。パフォーマンスなどを具体的に比較して見ましょう。
パフォーマンス比較!VTI(全米株式)とIVV(S&P500)
米国大型株と小型株を含む全米株式の2種類のパフォーマンスを比較してみましょう。
ETFでいえば「VOO」と「VTI」になると思います。
VOO=米国大型株(eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)など)
VTI=小型株を含む全米株式(楽天VTIなど)
VTI(全米株式)とIVV(S&P500)は、それぞれ異なる市場セグメントをカバーするインデックスファンドです。
しかし、正直市場の80%は被っているので、パフォーマンスが大きく異なるとは言えません。
チャートで見てみると、以下のとおり。
引用:Googleファイナンス
ここ5年のパフォーマンスを比較すると、VOOが81%UP、VTIが76%UPとVOOに軍配が上がります。
しかし、これはあくまでここ5年の話で、将来的にどちらがアウトパフォームするかはわかりません。
たしかに若干は違うけど、この2つに投資するなら値動きの違う他の投資対象に投資するほうがよいかも…。
全米株式インデックスとS&P500の相関係数は?
全米株式インデックスとS&P500はどのくらい似ているのかを測る指標に相関係数があります。
相関係数は、二つの投資商品がどの程度同じ方向に動くかを示します。
高い相関係数は、市場の動きに対して類似した反応を示すことを意味し、低い相関係数は、それぞれが異なる市場動向に反応することを示唆します。
投資信託会社バンガード・グループの創業者兼元会長のボーグル氏の著書「インデックス投資は勝者のゲーム」によると、S&P500と全米株式インデックスの相関係数はなんと驚異の0.99です。
相関係数は1が同じなので、0.99は「ほぼ同じ」という意味になります。
さらに言うと、S&P500と日本を除いた全世界株や先進国株の相関係数も0.97以上とのことなので、今はアメリカが世界を牽引し、アメリカ大型株500社が世界の動きを作っていると言っても過言ではないことがわかります。
先ず、「全世界株(日本除)」、「先進国株」、「S&P500」は、何れの2つを取っても相関係数が0.97以上であり、非常に相関関係が強い。
相関係数0.99なら、全米株式インデックスとS&P500はどちらかにしたほうが効率的な投資ができそう…
とはいえ、もうすでに購入した投資信託をどちらかに移す必要があるかどうかは別問題です。
特定口座でこれまでに購入した分を売却すると、利益のうち20.315%は課税されてしまいます。
私は、すでに購入しちゃったものは、後で方針が変わってもほったらかしがち…これも好みによるかな?w
S&P500連動型インデックスファンドのベンチマークとの乖離
全米株式インデックスとS&P500が似ているのは分かったけど、そもそも楽天VTIやeMAXIS Slim 米国株式(S&P500)があまり指数と連動していない…ってことはない?
いちお指数との乖離がないかも見ておこっか。
S&P500連動型インデックスファンドのパフォーマンスを評価する際には、ベンチマークとの乖離を考慮することも重要です。
乖離は、ファンドの実際のパフォーマンスがベンチマークからどの程度離れているかを示します。この乖離を分析することで、ファンドの運用効率やコストの影響を理解することができます。
ベンチマークとの乖離率:0.2%
eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)運用報告書全体版によると、ベンチマークとの乖離率は0.2%です。
これはかなり忠実に指数に連動していると考えていいんじゃないかな?
CRSP USトータル連動型インデックスファンドのベンチマークとの乖離
同様に、CRSP USトータル・マーケット・インデックスに連動する楽天VTIのベンチマークとの乖離率もみてみましょう。
ベンチマークとの乖離率:△0.4%
楽天VTIも大きなずれはなさそうです。
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総経費率比較!楽天VTIとeMAXIS Slim 米国株式(S&P500)
証券会社の該当投資信託のページを見ると、必ず書いてあるコストと言えば、以下の3つ。
購入時手数料=代金とは別に販売会社に支払う購入手数料。
運用管理費用(信託報酬)=投資信託を管理運用してもらうための手数料。
信託財産留保額=換金時に換金代金から差し引かれ、投資信託に残す財産。
しかし、実は投資信託にかかるコストはそれだけではありません。
購入前には確認できない隠れたコストがあって、運用報告書をチェックしないとわからないの。
実際に楽天VTIとeMAXIS Slim 米国株式(S&P500)の運用報告書をチェックしてみると、総コストは以下のとおり。
比較項目 | 楽天VTI | eMAXIS Slim 米国株式(S&P500) |
---|---|---|
総経費率 | 0.17% | 0.11% |
https://www.am.mufg.jp/pdf/zenunyou/253266/253266_20230425.pdf
https://www.rakuten-sec.co.jp/web/fund/scr/common/display.asp
でも、この総経費率はあくまで現時点のもの。
毎回変更される数字なので、定期的にチェックしていく必要があります。
2024年現在では、eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)の勝ち!
結論!VTI(全米株式)とIVV(S&P500)はどちらか一方でOK
最終的に、VTIとIVVのどちらか一方を選択するか、あるいは両方を組み合わせるかは、投資家の目標やリスク許容度によって異なります。
両ファンドは異なる市場セグメントに焦点を当てているため、投資家は自身の投資戦略に合わせて適切な選択をすることが求められます。
その一方で、楽天VTIとS&P500を両方買ったところで、同じファンドを買うのと大差ないことがわかりました。
その理由は連動している指数の相関係数が0.99と非常に高く、さらに指数との乖離率もそこまで大きくないからです。
個人的にはどちらか一方、好みに合うほうを購入すれば十分かなと思います。
【S&P500連動型のおすすめファンド】
(S&P500)eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)
(S&P500)SBI・V・S&P500インデックス
【CRSP USトータル連動型のおすすめファンド】
(CRSP USトータル)楽天・全米株式インデックス(楽天・VTI)
(CRSP USトータル)SBI・V・全米株式インデックス
他にも変わり種としては、以下のような指数に連動した商品もあるよ。
【その他指数連動型のおすすめファンド】
(MSCI USA インベスタブル)eMAXIS Slim 全米株式
(Solactive GBS United States 500)ニッセイS米国株式500インデックス
よっぽどの変わり種が好きというわけでなければ、eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)や楽天・全米株式インデックス(楽天・VTI)、第二候補としてはSBI・V・S&P500インデックス、SBI・V・全米株式インデックスがおすすめです。
特に経費率が低く抑えらていると賞賛され、人気があるのはeMAXIS Slim 米国株式(S&P500)。
ランキング常連の優良な投資信託ですが、定期的に目論見書や運用報告書をみて、自分の考え方に合う投資信託を購入するのがおすすめです。
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まとめ:楽天VTIとS&P500はどっちがいい?両方買うのはアリ?
楽天VTIとS&P500はどっちがいいかという疑問については、その人その人の考え方によって、結論が異なることがわかりました。
大きな違いは米国大型株への投資に絞るか、もしくは小型~中型にも投資をするかどうか。
比較項目 | 楽天VTI | eMAXIS Slim 米国株式(S&P500) |
---|---|---|
連動対象 | CRSP USトータル・ マーケット・インデックス | S&P500指数 |
銘柄数 | 3,723 | 503 |
投資対象 | 大型株・中型株・小型株 | 大型株 |
信託報酬 | 0.162% | 0.09372% |
実質コスト | 0.18582% | 0.10436% |
純資産総額 | 1兆2,983億円 | 3兆4,075億円 |
設定日 | 2017年9月29日 | 2018年07月03日 |
運用会社 | 楽天投信投資顧問 | 三菱UFJアセット マネジメント |
S&P500の選定基準は高く、赤字企業が含まれないというメリットはありますが、逆に伸びしろの多い中小企業が急に育っても利益を得ることができません。
もし、米国の中小企業に期待したいと思うなら、約3000社に分散投資できる楽天VTIのほうが気になるハズです。
一方で、両方買うという選択肢はアリなのかについては、難しいところ。
結局のところ、楽天VTIとS&P500連動型インデックスファンドは、相関係数が0.99とほとんど同じだと考えることもできそうです。
限られた資産をこの2つに分けるのであれば、ほぼ分けないのと同じ。
そうなるとどうせなら新興国株、債券、金など、ぜんぜん違う動きをすることが期待できる金融商品に資産を投下するほうがよいと考える人もいらっしゃるでしょう。
私は分けるなら分ける、分けないなら分けないとはっきりしてるほうが好き。そのため、S&P500に決めてがっつり積立投資しています。みなさんはどっち?笑
将来のことは誰にもわからないので、正解はありません。
大事なのは自分が納得できるストーリーに合った投資先を選ぶこと。
それでは今日もコツコツたのしい一日を。
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