
会社で財形貯蓄制度を利用しているんだけど、「オワコンだ」「やめたほうがいい」って言われたの。これってほんと? 今さら言われても…わたし、どうしたらいいの?
今回は、こんな疑問にお答えします。
▼本記事の内容
・財形貯蓄制度とは?
・財形貯蓄制度はやめたほうがいい理由
・財形貯蓄制度をやめてやるならおすすめの方法3選
財形貯蓄制度は、勤務先の福利厚生制度としてポピュラーな制度です。
給与天引きで強制的に貯金されるから放置しておくだけでどんどんお金が貯まると言われ、大人気だった時代もありました。
しかし、最近はそのメリットがなくなり、むしろデメリットが多くなってしまったとのウワサ。
「財形貯蓄制度はやめたほうがいい」という専門家も次々と出てきています。

とはいえ、別に財形貯蓄制度が改悪されたわけじゃないのよ。変わったのはむしろ、わたしたちの市場です。金融市場が激変していることと、かなり関係が深いんだな~。天引きなのはやっぱりありがたいんだけどね。
金融市場が大きく変わったせいで、財形貯蓄制度は、現代に生きるわたしたちに合わないやめたほうがいい制度になってしまいました。
今回は、そんな時代に取り残されつつある、財形貯蓄制度について詳しく解説します。
財形貯蓄制度はやめたほうがいい理由
財形貯蓄制度が、「オワコンだ」「やめたほうがいい」と言われる理由は、大きく分けると3つあります。
やめたほうがいい理由① 利子の非課税制度の意味がなくなったから
財形貯蓄制度はやめたほうがいいと言われる理由の1つ目は、「利子の非課税制度の意味がなくなった」ことです。
そもそも財形貯蓄制度のいちばんのメリットは、利子の非課税制度でした。
ここで言う「利子」は金融機関の定期預金や貯金に預けたお金につく「利子」のことを言います。
金融機関の定期預金や貯金に預けたお金につく「利子」が時代の流れによって大きく減り、財形貯蓄制度の大きなメリットのひとつだった、「利子の非課税制度」の意味がほとんどなくなってしまいました。
メリットがなくなっただけならよいのですが、財形貯蓄制度を使っていると給料から自動的にお金が天引きされてしまうので、他の効率的にお金を増やすことができる方法を使うことができません。

もともとは給料から天引きされるのが、画期的ですばらしい!ぐらいに喜ばれていたのに、それが逆に機会損失になると言われるようになっています。w たしかになぁ…残念だけど、ほんとそうなのよ。
財形貯蓄制度ができた1970年代から1990年代は、金融機関の定期預金・貯金には今では考えられないほど利子がついていました。
金融機関の定期預金(1年)の金利:年利6% →約12年で預けたお金が2倍になる水準
郵便貯金の定額貯金(3年)の金利:年利6~8%
日本銀行の統計によると、定期預金(1年)の金利は1991年ごろまでは年利6.08%でした。
また、郵便貯金の定額貯金3年以上の利回りの推移を見ると1974年には8%、1990年でも6.33%です。
年利6%とは、約12年でお金が倍になる水準です。
一方、現在の金利は1%以下です。2000年以降急激に下がっていた金利ですが、2016年には日本銀行がマイナス金利政策を実施、また続けて10年物国債利回りをゼロ%で推移する金融政策も実施することになりました。
預金金利はほぼゼロ%になり、公社債投資信託は元本割れ。結局、財形貯蓄制度の利子の非課税は、そもそも利子がほとんどないために意味がなくなってしまったのです。
定額預金の金利が0.002%の場合、100万円を1年間預けたとしても利子は20円で、非課税として恩恵を受けられる金額は4円程度です。

長い時を経て、現在の金融市場ではもっと効率的にお金を増やす方法が増えました。さすがに4円のために100万円をすすんで預けたいと思う人は少ないよね…。わたしはちょっと…うーん、やっぱりやだな~。笑
やめたほうがいい理由② 退職すると財形貯蓄制度を継続できないから
財形貯蓄制度はやめたほうがいいと言われる理由の2つ目は、「退職すると財形貯蓄制度を継続できない」ことです。
昔は、終身雇用が一般的で、ひとつの会社に入社したらそのまま定年まで働く人がたくさんいました。退職するのは定年の60歳の方がほとんどです。
そのため、財形貯蓄制度も60歳までそのままという方がほとんどでした。

財形貯蓄制度は、退職する60歳までほったらかしで、継続的に給料から天引きされていきました。特に途中で悩むこともなく、知らぬ間にどんどん増えていったのです。ザ・シンプルだよね。利子が多いって最高だな~笑
しかし、最近は数年で退職します。年功序列・終身雇用の時代は終わり、転職はもちろん当たり前ですし、フリーランスとして自由な働き方をする方も増えました。
財形貯蓄制度は、退職した後に次の転職先の会社が導入しているかどうか次第で、引き続き給料からの天引きによる財形貯蓄制度が続けられるかが変わります。
福利厚生は企業ごとに決められているので、転職先が財形貯蓄制度を導入していないと、従業員は継続して財形貯蓄制度を利用できません。
財形貯蓄制度が始まったばかりの時は、とても人気が高かった年金補助制度でしたが、終身雇用が一般的ではなくなってくると、利用できる人は限定的になります。
企業も進んで導入するケースが減り、金融市場の変化も伴って、財形貯蓄制度は使われにくい制度になっていきました。
やめたほうがいい理由③ 財形貯蓄制度は不便で利用者が減っているから
財形貯蓄制度はやめたほうがいいと言われる理由の3つ目は、「財形貯蓄制度は不便で利用者が減っているから」です。
実際に、財形貯蓄制度を利用している事業者の数の推移を見てみましょう。
以下は厚生労働省が発表している「財形制度をめぐる状況について」という資料の「貯蓄制度の事業所導⼊割合の推移」です。

新しい転職先に財形貯蓄制度がなかった場合、財形貯蓄の切り替え猶予期間を過ぎたら財形貯蓄制度は強制的に解約されます。
この強制解約は、目的外の払い出しに該当してしまうため、非課税措置の対象となりません。
財形貯蓄の引き継ぎには2年間の猶予期間があるので、その間にまた財形貯蓄制度を導入している会社に入社すれば継続して財形貯蓄制度を利用できますが、財形貯蓄制度のために就職先を選ぶ人は多くないでしょう。

転職先を決めるときに、「あ、ここ財形貯蓄制度があるから、面接受けよう!」とはならないよねw 財形貯蓄制度を導入している会社がどんどん減っているので、こんなことしてたら受けられる会社が少なくなっちゃう…笑
財形貯蓄制度は一度積み立てを始めたら、途中で他の制度や用途に切替えることができないと言う点で、不便だと考える方は多いようです。
特にこれからは、人によって働き方が大きく変わるので、財形貯蓄制度も生まれ変わることが求められています。
\財形貯蓄制度の罠に気がつける自分になる!と思ったらお金の勉強をはじめよう(*´▽`*)/
財形貯蓄制度とは?
ここまでは、財形貯蓄制度はやめたほうがよい理由を整理してみました。
しかし、そもそも財形貯蓄制度とはなんなのか、あいまいになっている方も多いと思います。
そんな方に向けて、 財形貯蓄制度の定義や特徴、そして財形貯蓄制度が生まれた経緯や歴史を整理してみましょう。
財形貯蓄制度の定義
財形貯蓄は、厚生労働省が行う「勤労者財産形成促進制度」に含まれる制度のひとつ。
国と企業が一緒に、従業員の資産形成を支援する制度です。

国が資産形成を手伝ってくれるという意味で、今のNISA(二―サ)とかiDeCo(イデコ)に似てますね。でも今よりもかなーり終身雇用バリバリの時代だから、企業が一緒に取り組んでいるのがちょっとおもしろい!時代の流れを感じます。
財形貯蓄制度の特徴
財形貯蓄制度には、3つの特徴があります。
特徴① 国と企業が連携して行う制度である
大きな特徴は、国と企業が連携して、サラリーマン(従業員)の資産形成をサポートするところ。
サラリーマン(従業員)と直接接点のある企業が、給与から天引きという形で強制的に貯蓄させます。そのため、貯蓄がニガテな人でも継続的に貯蓄ができます。
財形貯蓄制度は、継続的かつ強制的に、資産形成はもちろん、マイホームの頭金づくりや老後の資金づくりにを貯めることができました。
特徴② 「一般財形」「住宅財形」「年金財形」の3種類がある
財形貯蓄制度は、貯蓄する目的別に3種類があります。3つの資産形成の目的は以下のとおり。
①一般財形
=用途・目的は自由
=契約時の年齢制限なし、複数契約も可能。
=従業員が金融機関などと3年以上の期間契約し、事業主を通じて定期的に賃金からの控除(天引)されるかたちで貯蓄する制度。
②住宅財形
=用途・目的は、住宅の購入やリフォームなどの住宅にともなう資金づくり。
=55歳未満まで、1人1契約まで可能。
=従業員が金融機関などと5年以上の期間契約し、事業主を通じて定期的に賃金からの控除(天引)されるかたちで貯蓄する制度。60歳以降の契約所定の時期から5年以上の期間にわたって年金として支払いを受ける。
=利子等に対する非課税措置がある。
③年金財形
=用途・目的は、年金の追加分などの老後の生活にともなう資金づくり
=55歳未満まで、1人1契約まで可能。
=従業員が金融機関などと5年以上の期間契約し、事業主を通じて定期的に賃金からの控除(天引)されるかたちで貯蓄する制度。60歳以降の契約所定の時期から5年以上の期間にわたって年金として支払いを受ける。
=利子等に対する非課税措置がある。
特徴③ 最高550万円までの税制優遇措置がある
財形貯蓄制度(住宅財形および年金財形)の最大のメリットは、税制優遇措置があることです。
給与から天引きされた資金にかかる利子は、最高550万円まで非課税となります。
非課税限度額は、財形年金貯蓄のみなら385万円まで、財形住宅貯蓄と併せて550万円まで、財形住宅貯蓄のみなら550万円までです。
特徴④ 実は目的外でも引き出すことが可能である
財形貯蓄制度には、目的別に3つの種類がありますが、この目的は厳密なものではありません。給与減や病気、介護などの暮らしの中で起こるアクシデントに合わせて、目的以外の場合でも引き出しが可能です。
引き出し手続きは面倒ではありますが、なにかアクシデントが起きたときには頼りになる財源です。しかし、目的外の利用をした場合は、5年間にさかのぼって利子が課税されることになります。(逆に言うと、5年以上たった分については、課税されません)
財形貯蓄制度の歴史
財形貯蓄制度は、大きく分けて3つの制度がありますが、すべて同時にはじまったわけではありません。
財形貯蓄制度の3つの導入ステップ
最初は、昭和47年(西暦1972年)。会社員の財産形成を助けるための制度として、財形貯蓄(現在の一般財形貯蓄)のみがスタートしました。
その後、昭和57年(西暦1982年)年に会社員が豊かな老後を送るサポートのための「財形年金貯蓄」、そして昭和63年(西暦1988年)には持ち家を買う人をサポートするための「財形住宅貯蓄」ができました。
昭和47年(1972年):一般財形貯蓄スタート
昭和57年(1982年):財形年金貯蓄スタート
昭和63年(1988年):財形住宅貯蓄スタート
減っていく財形貯蓄制度の導入率
1970年代から必要に応じて、制度は拡大していきますが、年々財形貯蓄制度の導入率は減っています。
【創業年別 財形貯蓄制度の導入率】
1980年以前:47.3%
1999年以前:28.0%
2000年以降:14.2%
参考:企業における退職金等の状況や財形貯蓄の活用状況に関する実態調査
独立行政法人労働政策研究・研修機構
https://www.jil.go.jp/institute/research/2020/documents/0195.pdf
1980年以前は、画期的な制度として重宝されていたであろう財形貯蓄制度。大きな会社ほど導入率が多く、従業員数が300人以上の会社では73.3%が導入していました。

おそらく…当時はやめたほうがいいなんて言われなかったんだろうなぁ…。こういう制度がしっかりしている会社はすばらしい!という流れもあったと思うので、大企業の普及率が高いのもわかる気がしますね。
しかし、状況は変わります。
現在もそのまま財形貯蓄制度を利用している方もいらっしゃいますが、「財形貯蓄制度はやめたほうがいい」とおっしゃるファイナンシャルプランナーなどの専門家も増え、現在では解約される方も多くなりました。
かつてはサラリーマンの資産形成を支えた制度である「財形貯蓄制度」。なぜオワコンと言われるほど、解約する人が増え、導入する会社も減っているのでしょうか?
その理由をみていきましょう。
財形貯蓄制度よりおすすめの方法3選
さまざまな理由であまり利用されなくなってしまった財形貯蓄制度。今となってはメリットが少なく、やめたほうがいいと言われてしまうようになりました。
時代の変化によって、もっと資産形成しやすいいろんなしくみが生まれています。
ここでは財形貯蓄制度をやめて他のことをするならおすすめの方法を3つご紹介したいと思います。
おすすめ① iDeCo(イデコ)
財形貯蓄制度の年金財形の代わりになると言われているのが、iDeCo(イデコ)と呼ばれる「個人型確定拠出年金」です。
財形貯蓄制度は最大550万円までしか非課税枠がありませんが、一方iDeCo(イデコ)には上限金額がありません。またiDeCo(イデコ)は、基本的に価格の変動がある投資信託で運用しますが、財形貯蓄制度の預金より大きな運用益が期待でき、節税できる箇所も大きくなる可能性が高くなります。
財形貯蓄制度は、企業に依存した制度なので転職先が制度を利用していなければ解約になりますが、iDeCo(イデコ)は個人で行うものなので、転職しても関係なく利用できます。原則60歳になるまで掛金の引き出しはできませんが、年金として使うことが確定していれば、逆に積立金を崩せないのはメリットでもあります。
財形貯蓄制度 | iDeCo(イデコ) | |
利用可能な人 | 勤務先企業に財形貯蓄制度がある人 | 20歳~60歳までの国内居住者 |
運用方法 | 預貯金 | 預貯金・投資信託など |
非課税枠の制限 | 550万円 | なし |
手数料 | なし | 加入手数料(2777円) 口座管理手数料(金融機関による) |
引き出しタイミング | いつでも可能 | 60歳まで不可 |
おすすめ② 積立NISA
財形貯蓄制度の一般財形や財形住宅の代わりになると言われているのが、積立NISAです。一定額を積立て運用していく方法が財形貯蓄制度と似ているので、財形貯蓄制度を辞めて積立NISAに切り替える方も多いようです。
積立NISA
=投資の売却利益にかかる税金(約20%)が、年間40万円×20年分まで非課税になる制度
いつでも引き出せるという点で、iDeCo(イデコ)とは異なりますが、多く増やしたいのであればそのまま放置するほうがお得です。
利回りはどの投資信託を購入するかによって大きく異なりますが、財形貯蓄制度の預金の1%以下と比べると、投資信託はかなり利回りが良くなります。将来的にどうなるかはわかりませんが、現状はやめたほうがいいと言われやすい財形貯蓄制度より、資産を増やしやすいと考えられています。
おすすめ③ 投資
積立NISAやiDeCo(イデコ)を検討した上で、まだ余裕資金がある場合は、やっぱり自分で投資してみることをおすすめします。
財形貯蓄制度は、圧倒的に利回りが低いのが難点です。もちろん保守的に考えるなら資産が減りにくいというのもメリットではありますが、機会損失が心配です。わたしもNISAなどの非課税枠を利用しつつ、特定口座で自主的な投資をすることが将来の資産づくりに有効です。

勉強する機会は、本を読むだけ、話を聴くだけだと作りにくいですよね。実際にやってみないとピンとこないことはたくさんあるし。やっぱりとりあえず小額からでいいので、投資をスタートしてみることが、いちばん大事だと思うなー。
\財形貯蓄制度の罠に気がつける自分になる!と思ったらお金の勉強をはじめよう(*´▽`*)/
まとめ ~財形貯蓄制度やめたほうがいい理由~
財形貯蓄制度とは、昭和47年(1972年)にスタートした「勤労者財産形成促進制度」に含まれる制度のひとつで、国と企業が一緒に、従業員の資産形成を支援することを目的にしたものでした。
当初はとても人気があった制度ですが、金融市場の変化(金利の変化)や、終身雇用制度の衰退などによって、メリットが小さい制度になってしまい、今では新規導入企業はかなり減っています。
導入企業が減ると衰退せざるを得ないしくみ(企業が財形貯蓄制度を利用していないと自動解約)になっているので、これからまた制度が盛り上がる可能性は少ないことが予想できます。
それでもメリットが大きいなら続けるのもありですが、ここ数十年でもっと時代にあった利用しやすい制度である積立NISAやiDeCo(イデコ)が生まれたり、一般人がかんたんに投資できる環境も整ってきました。
新しい制度を勉強し、自分には何がいいのがちゃんと調べるタイミングかもしれません。
参考にしてみてね。
\財形貯蓄制度の罠に気がつける自分になる!と思ったらお金の勉強をはじめよう(*´▽`*)/
「解説動画(オンライン)」+「旬の厳選10銘柄リスト(PDF)」
・プロの投資家の解説が、株式投資初心者の勉強になると大評判!
・年4回販売される人気のシリーズ。旬の銘柄を厳選しているのでリアル!
・「500万ほど負けていたのが取り返すことができました」など嬉しい声多数!
▼購入はこちらから▼
株歴40年超のプロが今、買うべきと考える銘柄
※最短3分でお申込み完了します