全世界株をおすすめしない人がいるってほんと?その理由が知りたい!
そもそも「全世界株(オールカントリー)」ってどんな商品なの?
この記事は、こんな人向けの記事です。
▼本記事の内容
・全世界株(オールカントリー)とは?
・全世界株(オールカントリー)をおすすめしない理由
・全世界株(オールカントリー)に投資する場合の注意点
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インデックス投資と言えば、世界が丸ごと買える「全世界株(オールカントリー)」が定番です。
でも、定番であるがゆえに、深く考えずに購入してしまいがち。
でも…ほんとに、全世界株で大丈夫?
実は、株式投資歴15年のわたくし枝豆は、2023年現在、全世界株(オールカントリー)を持っていません。
なぜわたしは全世界株(オールカントリー)を買わないのか、この記事でまるっとまとめてみたいと思います。
全世界株式(オールカントリー)とは
全世界株式(オールカントリー)とは、世界を丸ごと購入できる投資信託のこと。
全世界株式(オールカントリー)
=米国、日本、イギリス、中国、ブラジル、インドなど、先進国から新興国まで、世界を丸ごと購入できるタイプの投資信託のこと
略して「オルカン」と呼びます。
その特徴は以下のとおり。
・世界中の株に投資したのと同じような分散効果が得られる
・短期投資には向かないが、長期的なリターンが狙える
・インデックス投資の定番であり、投資初心者にもおすすめされることが多い
個別銘柄を買う場合は、意識していろんな国の株を買わないと地域や国への分散投資ができません。
しかし、全世界株式(オールカントリー)なら、約3000社、約50か国への投資(※銘柄による)が1銘柄だけで可能です。
地域や国への分散効果が高く、長期的に安定したリターンが狙えるので、初心者におすすめされることが多いみたい。
注意したいのは、全世界株式(オールカントリー)といってもいろんな種類があること。
・eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)
・eMAXIS Slim全世界株式(除く日本)
・全世界株式インデックス・ファンド
・楽天・全世界株式インデックス・ファンド(愛称:楽天・VT)
・SBI・全世界株式インデックス・ファンド(愛称:雪だるま(全世界株式))
・たわらノーロード 全世界株式
特に日本を含むタイプと日本を除くタイプの2つのタイプがあることは、知っておきましょう。
日本株が含まれた投資信託や個別株をすでに持っている人や、日本への投資をしたくない人は、日本を除くタイプを購入するのがおすすめです。
ここからは特に人気の「eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)」を例に、全世界株式(オールカントリー)の年間収益率・構成銘柄・過去のチャートを確認していきます。
運用実績(年間収益率)
eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)の年間収益率は、以下のとおり。
日本株だけが含まれた、日経225ノーロードオープンと比較してみました!
eMAXIS Slim全世界株式 (オール・カントリー) | 日経225 ノーロードオープン | |
---|---|---|
2018年 | ー7.5% | ー11.0% |
2019年 | 26.8% | 19.8% |
2020年 | 9% | 17.2% |
2021年 | 32.7% | 5.4% |
2022年 | ー5.6% | ー8.2% |
引用:投資信託説明書(目論見書)|日経225ノーロードオープン
元本割れしてマイナスになる年もないわけではありませんが、安定的に着実に増えている印象があります。
日経平均株価(日経225)に連動する投資信託の「日経225ノーロードオープン」と比べると、減少幅がきちんと押さえられているのに、上昇幅が大きいことがわかります。
2021年の上昇幅がすごい…!この時期にeMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)に投資をしていた人は、かなり儲かったはず!
構成銘柄
「eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)」の構成銘柄の上位10社は、以下のとおりです。(2023年3月末時点)
銘柄 | 国・地域 | 比率 |
---|---|---|
アップル | アメリカ | 4.2% |
マイクロソフト | アメリカ | 3.4% |
アマゾン | アメリカ | 1.6% |
エヌビディア | アメリカ | 1.1% |
アルファベットA | アメリカ | 1.0% |
アルファベットC | アメリカ | 0.9% |
メタ・プラットフォームズ | アメリカ | 0.8% |
エクソンモービル | アメリカ | 0.8% |
ユナイテッドヘルス グループ | アメリカ | 0.7% |
テスラ | アメリカ | 0.7% |
あれ?全世界株式(オール・カントリー)なのに、全部アメリカ?
そうなの。今は米国株が絶好調な時代。時価総額加重平均型の投資信託であることもあって、上位銘柄はアメリカの比率が多くなるよ。
時価総額加重平均
=株式会社ごとの市場価値を表す時価総額(株価×発行済株式数)の大きさに比例して、銘柄が指数の中で占める割合(以下、ウエイト)を決定すること
でも、あくまで「eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)」は、全世界へ投資をする投資信託です。
上位銘柄を見ると、米国株だけの投資信託と変わらないように見えるかもしれませんが、きちんと対象国は分散されています。
引用:投資信託説明書(目論見書)|eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)
とはいえ、アメリカが6割も入っている…というのは、抑えておきたいポイントのひとつです。
全世界株式の代表指数
全世界の株式に連動して動く指数として代表的なものに、「MSCIオール・カントリー・ワールド・インデックス(ACWI)」があります。
MSCIオール・カントリー・ワールド・インデックス(ACWI)
=代表的な全世界株式に連動する投資指数
「MSCI」は、モルガン・スタンレー・キャピタル・インターナショナル社のことを指しています。
モルガン・スタンレー・キャピタル・インターナショナル社は、金融だけでなく、経済や社会の指数を多く発表しています。
MSCIオール・カントリー・ワールド・インデックス(ACWI)のほか、先進国の大型株と中型株から構成されるMSCI ワールド・インデックスも有名です。
「MSCIオール・カントリー・ワールド・インデックス(ACWI)」には、日本を含む先進国23か国、新興国27か国の計50か国の株式が含まれていて、全体で2,900を超える銘柄をカバーしています。
国数:50か国 (先進国23か国+新興国27か国)
銘柄数:約2900
世界の国の数が196か国(2022年1月現在)ですので、全世界の25%の国は、この「MSCIオール・カントリー・ワールド・インデックス(ACWI)」に含まれているということになります。
全世界っていうわりには、1/4は少なくない?
いやぁ…世界にはそもそも証券取引所がない国もいっぱいあるから、一般的には「時価総額が一定数程度ある国はほぼすべて入っている」って考えられているよ。
【証券取引所が存在しない国の例】
北朝鮮
ブルネイ
アンドラ
コモロ連合
チャド
アンゴラ
キューバ
マーシャル諸島
ナウル
ニウエ
\オルカンとS&P500の両方が気になる人はこの記事も読んでみてね(*´▽`*)/
過去のチャート
過去3年間のeMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)のチャートは、以下のとおり。
引用:投資信託説明書(目論見書)|eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)
引用:投資信託説明書(目論見書)|日経225ノーロードオープン
ちゃんと右肩上がりで成長中!
2022年はヨコヨコしたレンジ相場でしたが、2023年前半は絶好調でした。
世界的に見れば、人口はこれからも増え続け、新興国の成長も期待されています。
そういう意味では、全世界株式(オール・カントリー)は、これからも継続的な成長が期待されている投資信託のひとつです。
スピードはゆっくりかもしれないけどね!
全世界株式をおすすめしない理由
なんかよさそうだけど、全世界株式をおすすめしない人がいるってほんと?
うん。理解してオルカンを買っているならいいんだけど、そうじゃない場合も多いみたいなんだよね。わたしも人によってはおすすめできない気がしてる。
まずは、全世界株式反対派の理由・デメリットをまとめてみましょう。
元本保証がされていない
為替の影響を受けやすい
米国市場(S&P500)よりリターンが少ない
その割にはリスクヘッジにならない
米国株式と比較して手数料が高い
組み込み銘柄数が多すぎて爆発力は期待できない
一つずつ見ていきましょう。
元本保証がされていない
全世界株式をおすすめしない理由のひとつめは、元本保証がされていない点です。
元本保証がされていないのは、オルカンだけではありません。
投資は元本保証されないのが普通だよ。そもそもここを誤解している人は要注意!
全世界株式(オール・カントリー)は、投資経験がない人にもおすすめされることが多い投資信託なので、投資の基本である「元本保証なし」にびっくりしてしまう人が多いようです。
銀行にお金を預けているだけだった人が、はじめて投資をする時に選ばれやすいので、勝った途端に元本割れして、え??って思うみたい…
投資には、必ず元本割れのリスクが伴います。
これは、全世界株式(オール・カントリー)であろうが、日本株であろうが、米国株であろうが、全部おなじ。
投資をするタイミングが悪かったり、市場が成長しなかったり、暴落局面に出くわしてしまうと、大きな損失をこうむるのは普通のことです。
元本割れのリスクへの覚悟がない人は、全世界株式(オール・カントリー)に関係なく、投資はしちゃだめだよ。
逆に言えば、全世界株式(オール・カントリー)は地域分散がされているという意味で、カントリーリスクを回避しやすい投資方法でもあります。
日本株や米国株への集中投資よりは、カントリーリスクの回避ができます。
資産減少の可能性がある投資は一切やりたくない…という人には、全世界株式(オール・カントリー)はもちろん、投資全般をおすすめすることはできません。
為替の影響を受けやすい
もう一つ、日本株以外が入っている全世界株式(オール・カントリー)のデメリットとして、為替の影響を受けやすいという点が挙げられます。
為替の影響を受けやすいのは、全世界株式(オール・カントリー)だけではありません。
外国株式が入っている投資信託すべてに関係がある問題です。
日本株しか買ったことがない人は、ええ??ってなるみたい。笑
為替の変動を受ける外国株の比率が大きい全世界株式(オール・カントリー)は、どうしてもボラティリティが大きくなります。
ボラティリティ
=一般的に価格変動の度合いを示す言葉
※ボラティリティが大きい=価格変動が大きい
たとえ利益が出たとしても、為替で想定よりも含み益が減少するのはよくあること。
ただし、逆に為替で想定よりも含み損が減少することもあるので、為替の影響を受けるのが必ずしも悪いということではありません。
為替の影響があるのは、オルカンだけじゃなく、米国株(S&P500)への投資でも同じだしね…
為替の影響を絶対に受けたくない…という人には、全世界株式(オール・カントリー)はもちろん、外国株式全般をおすすめすることはできません。
米国市場(S&P500)よりリターンが少ない
さぁ、ここからが本番!やっと、全世界株式(オール・カントリー)だけの理由になるよ。
全世界株式(オール・カントリー)をおすすめしない派の投資家が口をそろえて言う理由のひとつは、米国市場(S&P500)よりリターンが少ないことです。
もちろんリターンが少ないのは過去のはなしね。これから先のことは誰にもわかりません。
特にここ数年の株式市場は、米国株市場が好調で、米国株の割合が大きいファンドのリターンが高くなりがちです。
例えば、eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)とeMAXIS Slim米国株式(S&P500)のリターンを比べてみると、以下のとおり。
推移はそっくりなのに、米国株式(S&P500)のほうが増加率が大きいことがわかります…!
これは、成長性の高い米国株の割合の違いが主な理由です。
eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)の米国株の割合が約60%なのに対し、eMAXIS Slim米国株式(S&P500)は100%。
eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)の残りの40%の中には、米国株よりも成長性が低い国(例えば日本とか)も含まれるため、全体的に増加割合が相殺されてしまい、上昇率を押し下げてしまっています。
分散すればいいってもんじゃないんですよね…
しかし、これは近年たまたま米国株の上昇が絶好調なだけで、今後はどうなるかわかりません。
万が一、米国株市場が全く伸びなくなったり、新興国のうちのインドやブラジルが短期で爆上げすると、eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)のほうがeMAXIS Slim米国株式(S&P500)よりもリターンが高くなることが予想できます。
要は、自分がどんな未来を想像するかによって、投資したほうがいい銘柄が変わってしまうってことなんです。
米国市場はまだまだ伸びると思う人にとっては、eMAXIS Slim米国株式(S&P500)のほうがおすすめですが、米国市場は鈍化して他の国が伸びると思う人にとっては、eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)がおすすめ。
私はまだ、少なくとも10年は米国市場が伸びると思っているので、オルカンよりもS&P500派です。笑
\S&P500が気になる人はこの記事も読んでみてね(*´▽`*)/
その割にはリスクヘッジにならない
2023年時点では、どうしても米国株が強そう。
でも、オルカンのほうが分散されているのでリスクヘッジになるでしょ?
それが…そうでもなさそうなの。
分散されているわりにはリスクヘッジにならないのが、
オルカンをおすすめしない人達がいちばん気にしている点なんだよね。
全世界株式(オール・カントリー)は、組み入れ銘柄数は約3000銘柄と、かなり分散されています。
しかし、分散されているにも関わらず、あまりリスクが抑えられていないというのが、オルカンをおすすめできないと考える人たちの最大の理由です。
例えば、2020年の大きな下落相場「コロナショック」での、「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」と「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」の値動きは、以下のとおり。
オルカンは分散されているハズなのに、暴落時はほとんど米国株式(S&P500)と同じように暴落しています…。むしろ、前の価格に戻るまでの時間が長いし…。
どっちにしろ暴落するなら、平常時にリターンが高い「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」のほうを買いたいと思う人が多いのもうなずけます。
オルカンって3000銘柄も入っているから、リスクが高い新興国株や中型株の割合が意外と多くて、暴落に強いとはいいがたいんだよね。
全世界株式(オール・カントリー)は、「全世界」とはいえ、その約60%が米国株。
そして、残りの40%には米国株よりさらにリスクが高い、新興国株が含まれていて、さらに含まれている銘柄が多いことから、大型株だけでなく中小株の割合も多め。
一般的には、中小株のほうが大型株よりリスクが高いですから。考え方によっては、「分散してリスクを増やしている」…と言えなくもないわけです。
全世界株式(オール・カントリー)は、全世界を時価総額加重平均で買いたいという人にはおすすめですが、株式投資のリスクヘッジのために買いたい人にはおすすめできません。
おすすめの人
→全世界を時価総額加重平均で買いたい人
おすすめでない人
→株式投資のリスクヘッジがしたい人、暴落に強いポートフォリオを作りたい人
守りに強いポートフォリオを作りたい場合は、地域分散(=カントリーリスク)以外にアセットクラスの分散が必要です。
例えば、株式とは異なる動きをする投資商品である、債券や不動産を買うことは、アセットクラスの分散につながります。
【株式とは異なる動きをする投資商品】
債券
不動産
金
原油 など
わたしも不動産を現物資産で持っています!確かにぜんぜん違う動きをするのでおもしろいよ。
米国株式と比較して手数料が高い ※改善済
インデックス投資をする時に重要なのが、手数料が低い投資信託を選ぶこと。
わずかな違いではありますが、長期的に投資するインデックス投資の場合は、手数料が高いと儲かりにくくなるため注意が必要です。
全世界株式(オール・カントリー)は、テーマ株と比べたら手数料が低い投資信託が多いですが、最安ではありません。 ※今は最安に近い手数料に改善されています。
信託報酬率 | |
---|---|
eMAXIS Slim 全世界株式(オールカントリー) | 0.05775% |
eMAXIS Slim 米国株式(S&P500) | 0.09372% |
米国株式(S&P500)が安すぎて、全世界株式(オール・カントリー)を変えざるを得なくなったみたい!これはうれしい変更です。
組み込み銘柄数が多すぎて爆発力は期待できない
全世界株式(オール・カントリー)は新興国が入っているので、爆発力にちょっと期待する人がいても不思議ではありません。
しかし、たとえ新興国が一気に爆上がりしたとしても、全世界株式(オール・カントリー)の分散効果が悪いほうに働き、爆発を弱めてしまいます。
組み込み銘柄数が多ければ守りが強くなるわけではない…いう良い例です。
爆発力に期待するなら、新興国のファンドを別途買うほうが分散しない分、効果を高めることができます。
もちろん、その分新興国が伸びなかった場合、むしろ暴落した場合などの被害は大きくなるので、どちらが良いかは難しいところ。
私の場合は、オルカンは買わずに新興国に焦点を当てた投資信託を買ってます。
何がいいかは、実際に時間が経ってみないとわかんないけど、自分が納得できる方法を選ぶことが大事です。
中国やインドをはじめとする新興国株の特徴は、成長が期待される一方、政治的な不安定さや価格の変動幅が大きくなりがちで、リスクが大きいことが挙げられます。
全世界株式(オール・カントリー)の場合は、新興国株や中小企業株が最初から混ざっているので、パフォーマンスの把握が難しく、リスク管理しにくいという一面もあります。
別で持っていたほうが、売ったり買ったりが簡単というメリットはあるかも…。
この新興国株や中小企業株独特のリスクを避けたい場合は、全世界株式(オール・カントリー)は向かないかもしれません。
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全世界株式(オール・カントリー)のメリット
デメリットばかりをお話ししちゃったけど、もちろん全世界株式(オール・カントリー)にはメリットがたくさんあります。
投資の知識がなくても始められる
日本円で少額から購入できる
カントリーリスクが回避できる
管理コストが低い
米国1強時代が終わっても安心
自動リバランスで手がかからない
一つずつ見ていきましょう。
投資の知識がなくても始められる
全世界株式(オール・カントリー)が初心者におすすめされやすいのは、投資の知識がなくても買いやすいことです。
全世界株式(オール・カントリー)は、世界をまるごと買うようなイメージ!
自分の投資方針がしっかり構築できていない人が、株式投資をはじめるとなると、何を買ったらよいのかわからずに躊躇してしまうことでしょう。
そんな時、おすすめなのが全世界株式(オール・カントリー)です。
「全世界をまるっと全部買う」がコンセプトの投資信託なので、自分で銘柄をひとつひとつ分析したり、投資方針を決めたり、判断力を養う必要はありません。
全世界株式(オール・カントリー)の積立設定をしてから、投資の勉強を始める…というのもぜんぜんありかも…笑
日本円で少額から購入できる
全世界株式(オール・カントリー)関連の投資信託は、個別株とは異なり、日本円で100円から購入できます。
米国株をはじめようとしたら、外国株用の口座を開いて、円をドルに替えて…と結構準備が大変なんです。
積立も自分にとって無理のない金額で設定できるので、投資初心者でも気軽に始めることができます。
個別株の場合は、1株単位で買わないといけないので、数十万からスタートするのが普通です。
カントリーリスクが回避できる
全世界株式(オール・カントリー)へのインデックス投資は、約50か国に一度に投資できるので、カントリーリスクの回避ができます。
米国、日本、イギリス、中国、ブラジル、インド、ロシアなど、先進国から新興国までいろんな国に投資できるので、国独自の政治的・地域的リスクを回避することが可能です。
ただし、注意が必要なのは、地域分散は効いているけど、アセットクラスへの分散では効いていないこと。
決して、全世界株式(オール・カントリー)なら暴落しない…ということではないので、その点は注意が必要です。
管理コストが低い
全世界株式(オール・カントリー)は、世界をまるごと買うことがコンセプトなので、さくっと1本だけ買っておく…というのもありです。
そのため、ポートフォリオの管理やリバランスも必要なく、シンプルなポートフォリオができ、管理コストが低いというメリットがあります。
だから投資初心者におすすめされやすいんですよね。
もちろん、投資をはじめると、「全世界株式(オール・カントリー)だけではつまらない」と思う方も増えるでしょう。
その時になってから、個別株や他の投資信託・ETFを少しずつ買うのでも、まったく遅くはありません。
シンプルなポートフォリオから始めたほうが、ずさんな管理にならなくてオススメかも…!私は最初、テーマ株から買ってしまったのもあって、整理するのが大変でした…笑
米国1強時代が終わっても安心
全世界株式(オール・カントリー)の安心材料として大きいのは、米国1強時代が終わっても大丈夫ということです。
今、米国株が強すぎてついつい米国株に頼ってしまうけど、この時代がいつ終わるかは誰にもわかりません。
以下の図は、1899年末から2023年初までの株式市場の経年変化です。
引用:Credit Suisse
Credit Suisse Global Investment Returns Yearbook 2023 Summary Edition
世界経済は、年代ごとに変化していきます。
日本だって1980年代は経済が絶好調でした。この時代に日本株を買っていた人たちはものすごい恩恵を受けたはず…!
今後、現在の新興国の中から、過去の日本のような急成長を遂げる国が出てきても不思議ではありません。
インドや中国、ブラジルなどの新興国に期待する人は、米国のみのS&P500よりもオルカンの方がおすすめです。
自動リバランスで手がかからない
全世界株式(オール・カントリー)がすごいのは、組み入れ銘柄を自動でリバランスしてくれることです。
自分で個別株を買う場合は、ポートフォリオを定期的に見直して、リバランスしないといつの間にか超高リスクのポートフォリオになってしまう可能性があります。
しかし、全世界株式(オール・カントリー)を持ち続けるなら、勝手に銘柄を入れ替えてくれるため、リバランスをする必要がありません。
成長している国があったら割合を増やしてくれたり、逆に戦争や政治的なリスクが増えそうな国があったら割合を減らしてくれたりします。なんて便利なの!笑
例えば、2022年にはロシア株が「投資不可能」とされ、指数から除外されました。
ウクライナ侵攻に対する制裁の動きが顕著になり、株式市場閉鎖などで国が大きく揺れていたからです。
指数算出会社のMSCIとFTSEラッセルは2日、主要指数からロシア株を除外すると発表した。ロシアによるウクライナ侵攻に対する制裁の動きが広がる中、ロシア株は投資ファンド業界の大部分から切り離される。
今後世界情勢が急変することがあっても、全世界株式(オール・カントリー)なら、勝手にリバランスしてくれるという安心感があります。個別株にはないメリットですよね。だからわたしは、投資信託が好き!
実際にMSCIが発表した時価総額加重平均方式の組み入れ割合を2015年分と2021年分を比較してみると、たった6年の間に大きく変わったことがわかります。
【時価総額加重平均方式の組み入れ割合:国別 トップ5】
順位 | 2015年 | 2021年 |
1位 | アメリカ(米国):51.58% | アメリカ(米国):61.31% |
2位 | 日本:7.72% | 日本:5.54% |
3位 | イギリス:6.86% | 中国:3.62% |
4位 | フランス:3.38% | イギリス:3.6% |
5位 | ドイツ:3.3% | カナダ:2.9% |
アメリカ(米国)の割合が10%も増え、日本、イギリス、フランス、ドイツの割合が減った代わりに、中国とカナダがランキングに入ってくるようになりました。
これからどうなるかはわかりませんが、5年後にはまた大きく割合が変わっている可能性があります。
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全世界株式(オール・カントリー)に投資をする時のポイント
全世界株式(オール・カントリー)は、投資初心者が投資しやすい投資信託で、ほったらかしがしやすい反面、米国株の投資信託に比べるとリターンが低く、暴落リスクも低いわけではないことがわかりました。
そんな全世界株式(オール・カントリー)に投資をすることを決めたら、注意すべきポイントがあります。
投資は必ず余剰資金で
長期運用が前提
ベンチマーク指数は「MSCI」か「FTSE」か?
一つずつ見ていきましょう。
投資は必ず余剰資金で
全世界株式(オール・カントリー)は、全世界にまるごと投資するわけだから、大暴落はしないだろう…と考えるのは間違いです。
全世界株式(オール・カントリー)だって、大暴落の危険はありますし、元本割れしないわけではありません。
そのため、投資は必ず余剰資金で行いましょう。
オルカンを甘く見ている人、ダメですよ。投資は投資!
長期運用が前提
全世界株式(オール・カントリー)は、長期運用が前提のインデックスファンドです。
短期間で爆上がりすることを期待するタイプのファンドではありません。
少なくとも数年単位の投資が可能な人でないとあまり意味がなく、むしろ短期投資で購入すると、元本割れによって損をしてしまう可能性も否めません。
特に投資初心者は、少し値下がりした段階で怖くなって狼狽売りをしてしまうことがあるので、投資メンタルが育っていないと感じる人は、あえてチャートを見ないという選択もありです。
最初の1年は見ないと決めるのもありかも?笑
ほったらかしスキルも、重要な投資スキルのひとつです。
ベンチマーク指数は「MSCI」か「FTSE」か?
全世界株式(オール・カントリー)には、代表的なベンチマーク指数が2つあります。
MSCI オール・カントリー・ワールド・インデックス
=先進国23カ国+新興国26カ国の大型株・中型株約3000銘柄で構成
=「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」で採用
FTSE Global All Cap Index
=全世界の小型~大型株約9000銘柄で構成
=「楽天・全世界株式インデックス・ファンド」で採用
どちらもいわゆる「全世界株」と呼ばれる投資信託で指標にされています。
「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」が採用している「MSCI オール・カントリー・ワールド・インデックス」は、約3000銘柄が対象になっていますが、「楽天・全世界株式インデックス・ファンド」が採用している「FTSE Global All Cap Index」は約9000銘柄。
さらに、「FTSE Global All Cap Index」は、小型株が含まれている点が大きく異なります。
トータルリターンはどちらも大きな差がありませんが、今後はどうなるかわかりません。
どっちを選ぶかで、未来がかわるかも?笑
自分の投資方針にあったほうを選べるのがベストです。
分散性を重視したい人や小型株の成長に期待する人は、「FTSE Global All Cap Index」を採用している「楽天・全世界株式インデックス・ファンド」や「SBI・全世界株式インデックス・ファンド雪だるま(全世界株式)」がおすすめです。
逆に、分散しすぎることへの懸念がある方や、ボラティリティが大きいことが予想される小型株を除いた投資をしたい人は、「MSCI オール・カントリー・ワールド・インデックス」を採用している「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」がおすすめです。
全世界株式(オール・カントリー)への投資がおすすめな人
全世界株式(オール・カントリー)への投資がおすすめな人は、こんな人です。
長期的な資産形成を目指す人
新興国投資によるリターンを得たい人
ひとつずつ説明してみましょう。
長期的な資産形成を目指す人
長期的な資産形成を目指すなら、全世界株式(オール・カントリー)はおすすめです。
長期的な資産形成をするためには、分散性の高い投資信託がベストだからです。
全世界株式(オール・カントリー)は、約50か国への投資を同時に行い、世界の経済市場に大きな変更や、地域テロ・災害などがあっても、勝手にリバランスしてくれます。
ほったらかしにしていても自動リバランスのおかげで、平均的なリターンが狙える点は大きなメリットです。
長期的に安定した資産形成を目指すなら、全世界株式(オール・カントリー)はおすすめです。
新NISAも利用できるので、大きく負けないためのつみたてコツコツ投資の投資先に向いています。
新興国投資によるリターンを得たい人
全世界株式(オール・カントリー)への投資が米国株(S&P500)と異なるのは、ブラジルや中国といった新興国の割合が大きいことです。
今後、新興国の成長が大きいことを予想する人は、米国株(S&P500)よりも全世界株式(オール・カントリー)に投資をするのがおすすめです。
投資初心者は、全世界株式(オール・カントリー)か米国株(S&P500)で迷うと思うので、その時は新興国の今後はどうなるかを自分なりに予想して選ぶのがいいと思うよ。
全世界株式(オール・カントリー)への投資をおすすめしない人
一方、全世界株式(オール・カントリー)への投資をおすすめしない人は、こんな人です。
短期的に利益を得たい人
特定の地域に投資したい人
新興国への投資は避けたい人
一つずつ見ていきましょう。
短期的に利益を得たい人
全世界株式(オール・カントリー)への投資で、短期的に利益を得るのはほぼ不可能です。
もし、短期的に利益を得ることを目指すなら、絶対に全世界株式(オール・カントリー)はおすすめしません。
投資で短期的に利益を得る=ギャンブルになってしまうので、そもそも短期投資はあまりお勧めではありません。
これってもう、投資じゃなくて投機なのよ…。その場合は潔くギャンブルをしたほうが良いかも…笑 わたしはしないけどね。
特定の地域に投資したい人
全世界株式(オール・カントリー)は、全世界をまるっと買う商品なので、もしすでに注目している特定の地域があるのであれば、あまりおすすめではありません。
全世界株式(オール・カントリー)は分散性が高い反面、自分が注目していない地域などもまるっと含まれてしまいます。
例えば、自分の中で「インドが成長しそう」「中国が成長しそう」などといった感覚を持っている場合は、それらの個別の国に限った投資信託を別途購入するほうがおすすめです。
全世界株式(オール・カントリー)を買っちゃうと、自分が投資したくない国(=成長しないと思っている国)にも投資することになりますからね…。
新興国への投資は避けたい人
そもそも新興国への投資はリスクが大きいので避けたいという人もいるでしょう。
その場合は、全世界株式(オール・カントリー)はおすすめではありません。
例えば、「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」の場合、約10%が新興国だよ。
新興国は、東南アジアや中東、中南米などのこれからの成長が期待できる国です。
これから…ということは、今は政治が不安定だったり、本当に成長するかどうか未確定な要素が多いということになります。
ハイリスク・ハイリターンっていうやつです。
わざわざそのリスクをとるなら、成長しきった先進国への投資比率を上げたい人がいてもおかしくありません。
そんな考えをお持ちの方には、全世界株式(オール・カントリー)はおすすめできません。
全世界株式インデックスファンドならこの銘柄がおすすめ
「全世界株式インデックスファンド」のうち、信託報酬が低くて運用コストが節約できるおすすめ銘柄は、以下の3銘柄です。
eMaXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)
楽天・全世界株式インデックス・ファンド
SBI・全世界株式インデックス・ファンド雪だるま(全世界株式)
一つずつ見ていきましょう。
eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)
運用会社 | 三菱UFJ国際投信 |
連動対象 | MSCIオール・カントリー・ワールド・インデックス |
ファンド設定日 | 2018年10月31日 |
分類 | 外国株式型インデックス |
販売手数料 | 無料 |
信託報酬 | 0.05775%以内 |
信託財産留保額 | 無料 |
分配金 | なし |
モーニングスターが発表している2021年12月の投資信託への資金流出入速報ランキングでは、なんと6位になっています。根強い人気がある「全世界株式インデックスファンド」のトップ銘柄です。
NISA口座で選んでいる人も多く、評判のよい投資信託です。とにかく運用コストが世界最安レベルなのがすごいところ!
楽天・全世界株式インデックス・ファンド
運用会社 | 楽天投信投資顧問 |
連動対象 | FTSEグローバル・オールキャップ・インデックス(円換算ベース) |
ファンド設定日 | 2017年9月29日 |
分類 | 外国株式型インデックス |
販売手数料 | 無料 |
信託報酬 | 0.192%程度 |
信託財産留保額 | 無料 |
分配金 | なし |
楽天証券を開設している人には人気の「全世界株式インデックスファンド」と言えば、楽天・全世界株式インデックス・ファンドです。
eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)に比べると信託報酬は高めですが、FTSE Global All Cap Indexをベンチマークしているため、小型株が含まれたり、投資対象が9000社とかなり幅広い分散投資が可能です。
わたしも昔少し買って、ほったらかしていたら、ちゃんと増えていました。
基準価額:19,810円
平均取得単価:16,343円
評価損益:91,221円
楽天経済圏のみなさんにはとても人気があるみたい!NISAでも買うことができます。
SBI・全世界株式インデックス・ファンド雪だるま(全世界株式)
運用会社 | SBIアセットマネジメント |
連動対象 | FTSEグローバル・オールキャップ・インデックス(円換算ベース) |
ファンド設定日 | 2017年12月06日 |
分類 | 外国株式型インデックス |
販売手数料 | 無料 |
信託報酬 | 0.1102% |
信託財産留保額 | 無料 |
分配金 | なし |
楽天・全世界株式インデックス・ファンドと同じ指数、FTSE Global All Cap Indexをベンチマークしているファンドの中ではかなり歴史が浅い、SBI・全世界株式インデックス・ファンド雪だるま(全世界株式)。
でも、新しいのもあって、信託報酬がさらに値下がり、購入しやすくなっています。
同じ全世界ファンドでも、それぞれ特徴があります。自分が納得いく投資信託を選びましょう!
新しいファンドができると、信託報酬などのコストの基準が変わって、業界全体が安くなるからありがたい…雪だるまシリーズは、最安値を目指してがんばってくれています!
まとめ:全世界株式はおすすめしない理由!新NISA積立の注意点
インデックス投資と言えば、世界が丸ごと買える「全世界株(オールカントリー)」が定番です。
でも、定番であるがゆえに、深く考えずに購入してしまいがち。それを心配して、全世界株式をおすすめしない派の人もたくさんいます。
全世界株式はおすすめしない人の理由は、以下のとおり。
元本保証がされていない
為替の影響を受けやすい
米国市場(S&P500)よりリターンが少ない
その割にはリスクヘッジにならない
米国株式と比較して手数料が高い
組み込み銘柄数が多すぎて爆発力は期待できない
一方で、全世界株式にはメリットもたくさんあります。
投資の知識がなくても始められる
日本円で少額から購入できる
カントリーリスクが回避できる
管理コストが低い
米国1強時代が終わっても安心
自動リバランスで手がかからない
要は、今後どんな世界になることを予想するかによって購入する銘柄が変わり、その銘柄を集めたポートフォリオ次第でオルカンを組み入れる必要があるかどうか、選ぶ答えが変わってくるはずなのです。
この記事をきっかけに、自分が考える世界未来予想図を見える化し、投資戦略を考え直す機会になればうれしいです。
それでは今日もまめまめたのしい一日を。
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