株式投資で損したら、躊躇しないで損切りしないとダメっていうけど
コワくて損切りできないよ~。
そんな人いませんか?
損切りは、確かに気分が暗くなります。損切りラインを明確に定めている人は多くないかもしれません。
しかし、株式投資をする上で損切りをしないで、上手に資産を増やしている人はひとりもいません。
株式投資をするなら、いちばん最初に勉強しないといけないのが、「損切り」であり、「損切りラインの決め方」です。
今回は
・損切りとは?
・かんたん損切りラインの決め方
についてまとめてみたいと思います。
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損切りとは?
損切りとは、保有している株のうち購入価格より値下がりして損が出ているものを売却して損失を確定させることを言います。
損切り(ロスカット)
=保有している株のうち購入価格より値下がりして損が出ている株を売却して損失を確定させること
損切りは、別名:ロスカットとも呼ばれます。
反対語は、「利確」や「利食い」です。
利確(利食い)
=保有している株のうち購入価格より値上がりして利益が出ている株を売却して利益を確定させること
損切りも利確も、損切りと同じ株式投資の出口戦略のひとつです。
一定の損切りライン、利確ラインを設けてから株式投資する必要があります。
損切りは、株式投資の出口戦略のひとつ
プロの投資家でも、損切りラインの設定は難しいと言います。
「いつ売ったらいいか」は「いつ買ったらいいか」より、格段に難しい…その理由はかんたんです。
「いつ買ったらいいか?」は、株を買う前に考えます。
考える必要があるので、慣れてくると、誰もが勉強します。
しかし、「いつ売ったらいいか?」を株を買う前に考える人は多くありません。
出口戦略を考える前に株式投資をはじめてしまうケースがほとんどだからです。
ほとんどの初心者投資家は、売り方がわからないまま株を買ってしまい、売れないまま損失が出て、その損が膨れ上がってもそのまま握りしめてしまう…という悪循環を繰り返します。
長期的に株式投資をして、効率的に資産を増やすためには、自分なりの損切りラインを決める必要があります。
「勉強代だと思っているからいいの」って言いながら、ポートフォリオがほとんど含み損だらけになっている人って多いんです。初心者投資家仲間で、損切りを1回もしたことないという、強者に会ったことがあります。笑
プロの投資家は損失の考え方が違う
株式投資は、必ず損失がでます。
損失が全くでない人は、ひとりもいません。これはプロの投資家でも同じです。
プロの投資家とアマチュアの投資家の違いは、損が出る出ないではなく、損切りできるかできないかでもなく、損失自体への考え方が違います。
プロの投資家
=損失がでるのはあたりまえだと思っている
=損失が小さくなるようにコントロールできる
アマチュアの投資家
=なるべく損失を出したくないと思っている
=損失が小さくなるようにコントロールできない
投資のプロは、損失が出ることが前提の人です。
その上で、損失がなるべく小さくなるようにコントロールすることが大切だということも知っています。
逆にこれさえ、心の底から理解できたら、もうあなたもプロです!…っていうのは言い過ぎか。笑
人間は損切りできない? BY行動経済学
「損小利大」を知っていますか?
株式投資やFXなど投資の世界でよく使われる格言です。
損小利大
=損を小さく、利益を大きく
だれもが、「損失は小さく抑えたいし、利益は大きく伸ばしたい。」
そう思っています。
しかし、人間はついつい「損小利大」と逆の行動をとりやすいことが行動経済学の世界で証明されています。
ここで2つ質問をしてみます!AとBどっちかを選んでみてください。
質問① もらえるならどっち?
A:必ず100万円がもらえる
B:サイコロで偶数が出たら200万円もらえるが、奇数が出たら1円ももらえない
質問② 支払うならどっち?
A:必ず100万円を支払う
B:サイコロで偶数が出たら200万円を支払うが、奇数が出たら支払いはゼロ
選びましたか?
選んだ人だけ、この下を読んでください。
ほんとに選んだ??いくよ?
質問① もらえる場合の経済行動学
質問①の「利益があるならどっち?」の場合、行動経済学では多くの人が「A」を選びます。
なぜなら、「A」は確実だから。利益に関しては、人間は確実にもらえるほうを選択しやすくなります。
期待値を選択してみると・・・両方100万円で同じです。
A:100万円×100%=100万円
B:(200万×50%)+(0円×50%)=100万円
期待値は同じでも人間は、確実にもらえるほうを選びます。
質問② 支払う場合の経済行動学
質問②の「支払いがあるならどっち?」の場合、行動経済学では多くの人が「B」を選びます。
なぜなら、「B」は不確実だから。利益に関しては、人間は確実にもらえるほうを選択しやすくなりますが、支払いに関しては確実じゃないほうを選びます。笑
期待値を選択してみると・・・こちらも-100万円で同じです。
A:-100万円×100%=-100万円
B:(-200万×50%)+(0円×50%)=-100万円
期待値は同じでも人間は、少しでも払いたくないという心の声が聞こえます。
このように人間の本能として、
利益→確実に手に入れたい
損失→いちかばちかに賭けたい
という選択をしがちなのです。
自分も気がつかないうちに、利確は早くしたい、損切りは後回しにしたい…みたいな思考になっている可能性があります。こわっ。
損切りが行動経済学上難しい理由
行動経済学による損切りが難しい理由、そして損切りラインを明確にするのが難しい理由は、以下のとおりです。
理由① 損切りして、損失を確定させたくない
行動経済学によると、人間は損失の確定をなるべく後回しにしようとする傾向があります。
損切り自体に抵抗感があるのは、人間として普通のことです。
それも株式投資はお金を増やすためにやろうとする行動なので、ますます損切りしにくいメンタルの人が多いハズ…笑
行動経済学を知っていると、あえて逆の行動をとることで損切りしやすくなるかも?!ぜひ、本能と逆の行動を選んでみてください。
理由② いちかばちかに賭けて、損失をゼロにしたい
行動経済学によると、人間は損失の確定をなるべく後回しにしようとするあまり、いちかばちかに賭けて、損失をゼロにしようとする傾向にあります。
株価は戻る
待てば絶対に戻る
そう考えてしまうのです。
株価はたしかに戻ることもありますが、戻らないこともあります。株価が戻るまでに1年以上かかって機会損失があったとしても、戻ればそれでチャラになると考えます。
塩漬けにしている間に、他の儲かる投資に乗り換えていたらもっともっと資産が増えていたかもしれないのに…機会損失は大きいですよ。
損切りが大事な理由
損切りが初心者投資家にとって大事な理由は2つあります。
理由① 機会損失が増えるから
損切りが大事な理由の1つ目は、機会損失が増えるからです。
損切りをするということは、一度現金に戻して資産を確定させることと同じ意味になります。
現金にすれば、次はまた新しい投資ができます。別の株を買ったり、不動産を買ったり、ビットコインなどの仮想通貨を買ったり、なんにでも投資できます。
しかし、損切りをせず、もう生き返る可能性が低い銘柄を握りしめていたところで、なんのチャンスも得られません。
投資すべきなのはこれから成長する株です。投資すべき銘柄でないのであれば、わざわざその企業の株を保有し続ける意味はありません。
理由② ポートフォリオが悪化し、メンタルが弱るから
損切りが大事な理由の2つ目は、ポートフォリオが悪化し、メンタルが弱るからです。
損切りができない投資家のポートフォリオは、塩漬け株だらけでこれから成長する可能性が低い株が多くなります。
損切りが必要な塩漬け株が1つや2つ混ざっているだけならまだしも、ポートフォリオのほとんどが塩漬け株が資産運用がうまくいくわけがありません。
どんどん減っていく資産にメンタルがやられてしまい、何のために資産運用をしているのかよくわからなくなってきます。
焦って利益をだそうとして、短期的なリスクが高い投資をせざるを得なくなると最悪です。
そうならないために、適切な損切りラインルールを作りましょう。
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損切りラインの決め方
ここからは具体的な損切りラインの決め方についてみていきましょう。
おすすめの方法は以下の3つです。
決め方① ウィリアム・オニール流で決める損切りライン
決め方② 回復に必要な利益で決める損切りライン
決め方③ 買った理由で決める損切りライン
ひとつずつみていきましょう。
決め方① ウィリアム・オニール流で決める損切りライン
アメリカを代表する投資家の一人、ウィリアム・オニール。
まずは、ウィリアム・オニールの投資法から考える損切りラインをみてみましょう。
ウィリアム・オニールの投資法は、値下がりしていてお買い得な株を買うのではなく、すでに上昇している利益成長が大きい小型株に投資します。
そしてウィリアム・オニールが提唱するCAM-SLIM投資法では、明確な損切りラインを設けています。
損切りライン:買った時の値段から7~8%下がったら売る
かなりわかりやすい損切りラインですよね。7~8%って損切りラインを数字で出してくれると真似しやすいかも!
7~8%下がったら、なにがなんでも損切りするのがウィリアム・オニール流です。例外は認められません。
【ウィリアム・オニール流損切りラインルール】
買った時の値段から7~8%下がったら必ず売る
様子見はせずに、必ず売る
株価は回復するという思考は捨てる
今日の市場の引けまで待つ必要もない
ウィリアム・オニールの損切りラインルールは、即売るのが鉄則です。
株式市場の流れを見たり、様子見をしたり、その日の引けまで待つのもNGです。数字だけをみて、7~8%下がったら必ず売ることに意味があります。
ウィリアム・オニールは、株式市場で間違った判断をしたときに身を守るたったひとつの方法は、損切りであると述べています。
決め方② 回復に必要な利益で決める損切りライン
損切りラインの決め方の2つ目は、回復に必要な利益で決める方法です。
まずは、株式投資で損失を被った時、同じ資産まで回復するには、どのくらいの利益を上げればいいのか確認してみましょう。
損失 | 回復に必要な利益 |
-5% | 5.3% |
-10% | 11.1% |
-15% | 17.5% |
-20% | 25.0% |
-30% | 42.9% |
-50% | 100% |
-60% | 150% |
これをみると、最初の-5%であれば、5.3%の利益を出せば回復できます。5.3%なら、取り戻すのは難しいことではありません。
-10%の損失が出れば、回復に必要な利益は11.1%です。これもどうにか回復できそうです。
しかし、順番に見ていくと、少しずつ回復に必要な利益が損失よりも大きくなっていくことがわかるでしょう。最後の-60%をみてください。150%です。何をしたらこんなに利益を増やせるのか、なかなか方法が思いつきません。
仮想通貨かな…笑 もちろん、リスクも高いので、さらに資産が減ってしまうことも予想できるけど。
この回復に必要な利益で決めるなら、損切りラインは以下がおすすめです。
損切りライン:買った時の値段から5%下がったら売る
オニール流の7~8%より、さらに厳しくなってしまいましたが、5%の損失なら回復は比較的かんたんです。
株式投資の初心者であれば、5%の損失を目安にするのもよいかもしれません。
決め方③ 買った理由で決める損切りライン
損切りラインの決め方の3つ目は、買った理由で決める方法です。
これは明確な数字としての損切りラインではありません。
どの株を買うか決めるとき、なんらかの理由があります。
その理由があるうちは売らない、そして理由がなくなったら売るという損切りラインの考え方です。
理由がある(残っている)→売らない
理由がない(残っていない)→売る
例を挙げてみます。
「コロナが収束したら、みんなが旅行をするようになるだろう」
↓
旅行株を買う
コロナが収束したら、旅行をする人が増え、旅行に関連がある株が値上がりすると考えた場合、コロナが収束したらその旅行株を売ります。
その際、予想が当たっていれば値上がりしているでしょうし、予想が外れていれば同じか値下がりしているかもしれません。
しかし、その結果に関係なく、株を買った理由がなくなったらその株を手放します。
「5%で損切り」「7~8%で損切り」などのように数字としての定量的な損切りラインはありませんが、「理由がなくなったら損切り」という定性的な損切りラインをもっておく方法です。
この定性的な損切りラインは、株式市場や経済などを勉強する必要があり、自分なりの市場予測を立てる必要があるので、テクニカルな定量的な損切りラインより、自分を納得させやすいかもしれません。
しかし、数字として表れない分、きちんと管理しないとずるずる持ち続けてしまうリスクがあります。
損切りラインを決めたあとの3つの注意点
損切りラインの決め方はわかりましたが、そのとおりに実行するのは難しいと言われます。
たしかに、厳密に損切りラインを決めていても、市場の空気に飲まれて、結局損切りできなかったという人も少なくありません。
自分なりの損切りラインを設けたら、注意することがあります。
注意点① 損切りラインは株式投資前に決める
損切りラインは、株式投資をする前に必ず決めておきましょう。
投資をしてしまってから決めようとしても、もう後の祭りです。決めたところで、損切りルールどおりにふるまうのは至難の業です。
最初に決めて、そのあとに投資をするという順番を徹底しましょう。
注意点② 決めた損切りラインは必ず守る
損切りラインは、あいまいにせずに必ず守りましょう。
例えば、そろそろ損切りルールに近づいてきたと思った時に、「もともとの決め方が厳しすぎた」とか、「今の市場に合っていないかも?」とか、「今回だけは例外で待ってみよう」とか、いろんな不安・期待が入り乱れ、損切りルールを変更したくなることがあります。
しかし、一度決めたルールは必ず守るようにしましょう。損切りルール自体を緩めてしまったら、それこそルールを決めた意味がありません。
損切りルールは絶対に緩めないという強い意識を持つようにしましょう。
注意点③ 損切りラインに慣れるまでは逆指値注文を活用する
損切りラインは、絶対に守ると決めても、最初のうちはなかなか守れないという場合は、慣れるまで逆指値注文を活用することをおすすめします。
逆指値注文
=「〇〇円以上になったら買う」「〇〇円以下になったら売る」といった、指定の価格以上で買いたい場合や、指定の価格以下で売りたい場合の注文方法
損切りラインに触れる株価まで下がったら、自動的に売却できるように指値注文を入れておくことで、自分の感情とは関係なく確実に損切りラインを守ることができます。
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まとめ ~損切りラインの決め方3選~
損切りとは、保有している株のうち購入価格より値下がりして損が出ているものを売却して損失を確定させることを言います。
損切り(ロスカット)
=保有している株のうち購入価格より値下がりして損が出ている株を売却して損失を確定させること
行動経済学上、人間は損切りできないようになっています。
しかし、プロの株式投資家は、そのしくみを知った上で逆の動きをし、継続的に負けない投資を続けることができる人たちです。
プロの投資家を見習って、損切りラインをあらかじめ決めておくことが健康的なポートフォリオを作る近道になります。
おすすめの損切りラインの決め方はこちらの3つ。
決め方① ウィリアム・オニール流で決める損切りライン
→7~8%下落したら問答無用で売る
決め方② 回復に必要な利益で決める損切りライン
→5%下落したら問答無用で売る
決め方③ 買った理由で決める損切りライン
→買った理由がなくなったら問答無用で売る
参考にしてみてね。