ポートフォリオに米国債を組み入れることを検討したい!
米国債を買ってはいけないといわれるのはなぜ?
米国債は、世界最大規模の売買数を誇る、金融資産です。
世界で最も安全な金融資産と言われることも多く、大きなリスクをとることに疲れた投資家の心を癒しています。
でも、その一方で「いうほど安全ではない」「リスクも多い」「買ってはいけない」などと警戒されることも多く、特に初心者投資家の混乱の種になっているのだとか。
そこで今回は、米国債が買ってはいけないと言われる理由を徹底解説!米国債のメリット・デメリット・利回りなどの基本から整理してみました。
▼本記事の内容
ポートフォリオに米国債を組み入れることを検討したい!
米国債を買ってはいけないといわれるのはなぜ?
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そもそも米国債とは?
米国債は、米国の財務省が市場から資金を調達するために発行する債券のこと。
米国債=米国の財務省が市場から資金を調達するために発行する債券のこと
世界で最も安全な金融資産と言われることも多く、とても人気があり、その発行残高は右肩上がりです。
米証券業金融市場協会(SIFMA)によると、2023年4月時点での発行残高は24兆ドル(約3400兆円)。
特に日本人は米国債が好きなようで…なんと米国債の保有額ランキングでは1位の1兆870億ドル(約150兆円)なのだとか。ちなみに、世界2位は中国の8690億ドルです。
米国債の仕組み
米国債は、政府が資金を調達するために発行するもの。
いわば、債券は国の借金のようなものです。
投資家が債券を購入すると、将来的に元本と利息の支払いを受ける権利が得られます。
利息は通常、半年ごとに支払われ、債券の満期時には元本が返済されます。
この仕組みにより、政府は必要な資金を得ることができ、投資家は安定した収益源を持つことができるのです。
この利息の支払い方法によって、債券は大きく2つの種類に分けられるよ。
米国債の種類1:利付債とゼロクーポン債
米国債は利息の支払われ方の違いによって、大きく2つの種類に分けることができます。
利付債=定期的に利息が支払われる債券
ゼロクーポン債=利息が支払われない債券
利付債は、定期的に利息が支払われる債券です。
そのため、投資家は利払い期間中に定期的な収入を得ることができます。
一方、ゼロクーポン債は、利息の支払いがない債券です。
発行時に額面価格よりも低い価格で購入し、満期時に額面価格で償還されるため、その差額が利益となります。
ゼロクーポン債は、満期まで保有することで確実な収益を得られるため、長期的な投資計画に適しています。
利付債 | ゼロクーポン債 | |
---|---|---|
発行価格 | 額面価格 | 額面価格より低い |
定期的な利息 | ある | ない |
償還価格 | 額面価格 | 額面価格 |
満期の利益 | ある場合とない場合がある | ある |
利益の予想がしやすいのはゼロクーポン債で、定期的にお小遣いがもらえるのは利付債です。利益はその国債が新発債なのかどうかにも変わってくるよ。
米国債の種類2:新発債と既発債
米国債は発行タイミングの違いによって、大きく2つの種類に分けることができます。
新発債=新たに発行市場で発行される債券のこと
既発債=既に発行され、流通市場(セカンダリーマーケット)で取引されている債券のこと
新発債は、政府が新たに資金調達のために市場に発行する債券を指します。
あらかじめ決められた一定期間に募集が行われるのが一般的です。
一方の既発債は発行されて、その後二次市場で取引される債券のことを言います。
既発債は流動性が高く、価格は日々変化しています。種類も多く、ライフプランに合ったものを選ぶことが可能です。
お洋服で言うと、新発債は普通のお店で買う新しいお洋服、既発債は古着みたいなものかな…。古着の値段は人気があればかなり高額になるし、人気がなければほぼ無料で譲り受けることもある…既発債もそんな感じです。
他にも米国債にはいろんな種類が…!
トレジャリービル(T-Bills)=償還期間が1年以内の短期の割引債
トレジャリーノート(T-Notes)=償還期間が2・3・5・7・10年物の利付債
トレジャリーボンド(T-Bonds)=償還期間が10年を超える利付債
インフレ連動債=元本および利子が物価に連動する債券
ストリップス債=利付債の元本部分と利子部分が分離。それぞれ割引債として販売される債券
いろんな種類の米国債があるなぁ…。
米国債の利回りの推移
米国債の長期金利は、2022年以降大幅に上昇しています。
三菱UFJリサーチ&コンサルティングの資料によると、その推移は以下のとおり。
引用:米国の財政リスクと長期金利高止まりの可能性|三菱UFJリサーチ&コンサルティング
大きな原因はインフレと政策金利の引き上げですが…にしてもすごい上がり方…
2024年2月11日現在の米国債10年利回りは、4.177%で数か月前よりは少し落ち着いています。
引用:2024年2月11日現在の米国債10年利回り|SBI証券
とはいえ、債券で4%以上というのはなかなかすごいぞ…。人気があるはずです。
米国債の利回りは、世界経済の動向、アメリカの金融政策、そして市場の需給バランスによって変動します。
過去数十年を振り返ると、米国債の利回りは様々な経済状況下で変化してきました。特に、経済危機や金融政策の変更期には、その変動が顕著に現れます。
近年では、新型コロナウイルスのパンデミックが世界経済に大きな影響を与え、米国債の利回りにも変動をもたらしました。
パンデミック初期には、不確実性の高まりとリスク回避の動きから、安全資産とされる米国債への需要が増加し、利回りが低下しました。
しかし、アメリカ政府と米連邦準備制度理事会(FRB)の積極的な経済対策と、経済活動の再開に伴い、利回りは徐々に上昇傾向に転じました。
金融政策の面では、FRBが行う金利の調整も米国債の利回りに大きな影響を与えます。
例えば、金利が引き上げられると、新たに発行される債券の利回りは上昇し、既存の低利回りの債券は価値が下がるため、市場の利回り全体が上昇することになります。
逆に、金利が引き下げられると、新たに発行される債券の利回りは低下し、市場の利回りも下がります。
実際に金利調整の結果、かなり上がりましたよね…
米国債の利回りの変動原因
FRBのパウエル議長は2023年10月9日の講演の中で、米国債の長期金利の急激な上昇の要因を以下の4つであると指摘しました。
① 相次ぐ強い経済指標による 金融政策予想の混乱
② 財政の悪化懸念
③ FRBの量的引締め
④ 株式と債券の相関低下 (債券へのヘッジ需要の減少)
全部気になるけど…個人投資家にとって、今後の長期的な資産運用に直結しそうなのって「株式と債券の相関低下」かも…。
株式と債券は反対の動きをするので、ポートフォリオは株式6割、米国債4割で組むことが基本だとされてきました。
反対の動きをすると、ヘッジ機能が働いて、より安定的に資産が維持できるっていう考え方です。
しかし、コロナ禍以降、この伝統的なポートフォリオの有効性が疑問視されています。
ブルームバーグがまとめたデータによると、iシェアーズ米国債20年超ETFとS&P500ETFの相関係数は、2005年以来の高水準に達しているとのこと。
株式と債券の相関関係がマイナス0.35からプラス0.50に変化すると仮定すれば、標準的な60/40の組み合わせの予想ボラティリティーは約8.5%から11.5%に上昇する。
ボラティリティーが増える=リスクが高まると考えると、ちょっと心配です。
米国株式と米国債は反対の動きをするとは限らなくなってきたってことかぁ…。わたしたちは時代の変革期にいるのかもしれません。
将来の利回りの動向を予測することは非常に難しいですが、投資家はこれらの要因を考慮しながら、自分自身の投資戦略を慎重に練る必要があります。
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米国債を買ってはいけないと言われる理由
米国債は、世界中の投資家から安全資産と見なされています。
しかし、これまでの原則が当てはまらなくなってきたケースもちょこちょこでてきており、最近は「米国債を買ってはいけない」と言われることもあります。
ここでは、その理由を深掘りしてみましょう。
信用リスクはゼロではないから(安全資産ではない)
株式よりも利回りが低いから
金利上昇リスクがあるから
インフレリスクがあるから
為替リスクがあるから
一つずつ見ていきましょう。
信用リスクはゼロではないから(安全資産ではない)
米国債は非常に安全な投資先と見なされています。
なぜなら米国政府と、その基軸通貨であるドルがとても信用されているから。
だって、米国債の利回りは、世界のいろんな金融商品の基準として参照されるぐらいですから!笑
しかし、この世に「絶対安全」なものなんてありません。
過去にはアメリカ政府の信用格付けが一時的に引き下げられたこともあります。
S&P(スタンダード・アンド・プアーズ社)は、米国債の格付けを最上級であるAAA
から1段階下のAA+への格下げを発表しました。 欧州のみならず米国においても政府債務問題が一段と深刻化し、米国経済の先行き不透明感が増幅したことに加え、ドルの基軸通貨としての信認が揺らいでいることを象徴的に示す結果となりました。
これは、政府の財政状況や政治的な混乱が、国債の信用リスクに影響を及ぼす可能性があることを示しています。
また、将来的には予期せぬ経済危機が発生する可能性も否定できません。
したがって、米国債を完全にリスクフリーな投資と見なすことはできず、投資家はこの点を理解しておく必要があります。
何が起こるかわからないことをちゃんと理解しておくことが大事です。
株式よりも利回りが低いから
米国債の利回りはこのところかなりの高水準で推移していますが、それでも一般的な株式には劣ります。
米国株式の人気指標であるS&P500は、1957年に導入されて以来、年平均で約10.7%の上昇率を記録しています。
さらに言うと、過去10年ではなんと年率約14.7%です。すごすぎる。
年 | S&P500の年間平均リターン |
---|---|
2012 | 16.0 |
2013 | 32.4 |
2014 | 13.7 |
2015 | 1.4 |
2016 | 12.0 |
2017 | 21.8 |
2018 | -4.4 |
2019 | 31.5 |
2020 | 18.4 |
2021 | 28.7 |
一方、米国債10年利回りは、かなり高いと言われる今でも4%です。
10%と4%の違いは大きいです。早く資産を増やしたい投資家にとっては…、債券を選んだことで、株式を選ばなかったことによる機会損失になる可能性もあるよね…。
金利上昇リスクがあるから
米国債を保有する際のリスクの一つに、金利上昇リスクがあります。
金利と債券価格は反対の関係にあるため、金利が上昇すると既存の債券価格は下落します。
これは、新しく発行される債券がより高い利率で提供されるため、市場における既存債券の魅力が低下するからです。
特に長期債を保有している場合、金利の小さな変動でも価格への影響が大きくなるよ。
金融政策の正常化や経済成長の加速により、金利が上昇する可能性が常に存在します。
ただ、今後もしさらに米国株式と米国債券の相関関係がプラスになってしまったら、米国債に投資をする目的が変わってしまう可能性があります。
米国債利回りと株価の推移を見てみると、以下のとおり。
そっくりとは言えないけど、反対の動きをするとも言えないような…。
資産をなるべく早く成長させていきたい資産拡大期にある投資家にとって、米国債は米国株式ほど魅力的な選択肢ではないかもしれません。
そして、資産を守りたい投資家にとっても、米国債よりも他のコモディティ資産でリスクヘッジをするほうがよいと考えても不思議ではありません。
米国債券の立ち位置がちょっと難しくなってきているのかも…。
しかし、伝統的な米国株式6割、米国債4割のポートフォリオは、これから先も有効だと考えるプロの投資家もたくさんいます。
JPモルガンのストラテジストが発表したレポート「2024年資本市場状況展望」では、今後も米国株式6割、米国債4割のポートフォリオは長期的には有望だとしています。
しかし、その一方で、株式と債券の相関がもはや必ずしもマイナスではなくなっているため、リターンを高めるために米国債券以外のオルタナティブ投資も検討が必要です。
・60/40 の資産配分 (株式 60%、債券 40%) は、依然として優れたポートフォリオである
・株式と債券の相関関係がマイナスではなくなった場合には、ポートフォリオの多様化も必要
・米国債券のリターンは高い、米国株式のリターンは低い
インフレリスクがあるから
インフレとは、モノの価値が上がってお金の価値が下がる状態のことを言います。
これは、国民の購買力の低下を意味し、固定利回りの米国債にとっては大きなリスクです。
インフレ率が債券の利回りを上回ると、実質的な収益は減少し、最悪の場合、購買力の観点から元本を割ることもあり得ます。
特に、低利回りの環境下で長期間にわたりインフレが持続する場合、米国債の実質リターンは大きく損なわれる可能性があります。
米国債は一般的にインフレに弱いと言われています。
一方、インフレに強いのは、金や不動産などの現物資産です。
金投資
=世界中どこでも公正な価格で取引される
=戦争や経済危機が起こると価格が上昇する傾向がある
=利息はないが、価値がゼロにならない
=投資方法は、純金積立・金ETFなど多数あり、少額からの投資が可能
不動産投資
=インフレによる物価高騰で不動産の価格も上昇しやすい
=不動産を取得して第三者に貸し付け、賃料を得るインカムゲインと、値上がりした不動産を売って、売却益を得るキャピタルゲインの2種類の儲けが得られる
インフレ対策資産もポートフォリオに組み入れるかどうか、検討が必要かもしれません。
為替リスクがあるから
日本人の投資家にとって、米国債投資は為替リスクを伴います。
米国債の取引はドルで行われるため、自国通貨とドルの為替レートの変動が収益に影響を及ぼします。
ドルが自国通貨に対して強くなると、投資収益は増加しますが、ドルが弱くなると収益は減少します。
為替レートの変動は、プロの投資家だって予測不可能…。これは債券に関わらず、米国株式への投資でも検討が必要なリスクです。
投資家は、為替変動のリスクをヘッジする方法を模索する必要があります。
米国債を買う5つのメリット
それでも米国債投資は、多くの投資家にとって魅力的な投資先です。
ここでは、米国債を買うことのメリットを整理してみましょう。
信用力が高い(格付けが高い)
金利が高い状況にある
購入したタイミングで満期までの利回りを固定できる
株式と持てば分散投資になる
流動性が高い
一つずつ見ていきましょう。
信用力が高い(格付けが高い)
米国債は、世界最大の経済大国であるアメリカ合衆国政府によって発行されているため、信用力が高くとても人気があります。
この人気は個人投資家だけでなく、多くの格付け機関からも高い評価を得ているよ。
格付け機関から高い評価を得ていることは、投資家が元本と利息の支払いを確実に受け取れることを意味しています。
実際、金融危機の際にも米国債は「安全な避難先」と見なされ、その価値は今も高まる傾向にあります。
2023年11月に12年ぶりの米国債の格下げが話題になりましたが、逆に言えば12年も格付けが維持されていたということ。
これは信用力が高いことの裏付けとなると言えそうです。
格付大手のフィッチは、米国債の格付けを最上位の「AAA」から「AA+」へと1ランク引き下げた。米国債の格下げは、2011年8月にS&P社が実施して以来12年ぶりのこととなる。
金利が高い状況にある
近年、米国の金利は他の先進国に比べて比較的高い水準を維持しています。
これは、米国経済の強さと連邦準備制度(FRB)の政策によるものです。
特に、インフレ率の上昇や経済成長を背景に、FRBが金利を引き上げる可能性がある場合、新しく発行される米国債の利回りはさらに高まることが予想されます。
これにより、米国債は他の低利回りの債券に比べて魅力的な投資先となり得ます。
ただし、金利の動向は常に変動します。投資判断にあたっては最新の経済指標や政策発表に注意を払う必要がありますよ。
購入したタイミングで満期までの利回りを固定できる
米国債の大きな魅力の一つに、購入時点での利回りを満期まで固定できる点があります。
これは、特に将来の収入を計画的に管理したい投資家にとって大きなメリットです。
例えば、ある特定の利回りで米国債を購入した場合、その債券が満期に達するまでの間、市場の変動に関わらず同じ利率で利息収入を得ることができます。これにより、投資家は将来のキャッシュフローを予測しやすくなり、長期的な資産計画を立てやすくなります。
米国債の予測しやすい点は、米国株式にはないメリットです。
株式と持てば分散投資になる
米国債をポートフォリオに加えることは、資産の分散を図る上でとても効果的です。
株式と債券は一般に相関関係が低いため、市場の変動があった際にリスクを分散し、ポートフォリオの安定性を高めることができます。
特に、株式市場が下落した時、債券は価値を保持する傾向にあるため、全体の資産価値の保護に役立ちます。
このように、米国債を含む分散投資戦略は、長期的な資産成長とリスク管理の両方を目指す投資家にとって理想的な選択と言えるでしょう。
このところ相関関係が低いとは言えなくなってきたことが話題になってはいますが、「60/40 の資産配分 (株式 60%、債券 40%) は、依然として優れたポートフォリオである」とJPモルガンも述べてますね…!
流動性が高い
米国債は世界最大の債券市場の一つであり、非常に高い流動性を誇ります。
これは、投資家が必要に応じて迅速に資金を動かすことができることを意味します。
市場での取引量が多いため、大量の債券を売買しても価格への影響が限定的であり、投資家は比較的容易にポジションを調整することが可能です。
また、米国債市場は世界中の投資家によって活用されており、その信頼性とアクセスの容易さは、投資家が流動性の高い資産を求める際の重要な要素となっています。
米国債市場がなんだかんだで人気なのは、この流動性の高さも大きいかもしれません…!
投資初心者は米国債を買うべき?
投資初心者が米国債をポートフォリオに加えるべきかどうかは、その投資目的やリスク許容度に関係します。
投資初心者であるかどうかはあんまり関係ないかもしれません。それよりも大事なのは投資目的とリスク許容度です。
投資目的次第ではよい選択肢のひとつ
米国債は魅力的な選択肢になりやすい人は、こんな投資目的がある投資家です。
・資産を長期安定的に運用したい投資家(退職資金の準備や教育資金の確保など)
・予測できる資産を増やしたい投資家
・定期的な収入を得たい投資家
上記の投資目的があるなら、米国債は魅力的な選択肢となり得ます。
米国債の安定した利回りと高い信用度は、投資家にとって大きなメリットです。
また、市場の不確実性が高まる時期には、米国債はポートフォリオのリスクを低減する効果もあります。
リスクが多く複雑ではあるので十分な理解が必要
ただし、株式市場だけ見ればよかった投資家は、さらに債券市場の動きをチェックする必要が出てきます。
米国債投資には金利リスク、インフレリスク、為替リスクなど、複数のリスクが伴います。
特に、金利が上昇する環境では、保有する債券の市場価値が下落する可能性があります。
また、長期的なインフレ期待が高まると、実質的な収益率が低下するリスクも考慮する必要があります。
これらのリスクを適切に管理するためには、市場の動向を理解し、定期的にポートフォリオを見直すことが重要です。
それができるぐらい債券市場に注目している投資家であれば、初心者であっても投資するメリットは大きいと思います。
必要であれば、金融アドバイザーや専門家の意見を求めることも一つの手。
また、金融庁や厚生労働省、金融広報中央委員会などの公的機関が提供する情報も、投資判断の参考になるので、定期的にチェックするようにしましょう。
投資初心者が米国債を買うべきかどうかは、その個人の財務目標、リスク許容度、そして市場に対する理解度や興味に依存し、それらに深く関係します。
米国債への投資方法
米国債を購入する方法は、ひとつではありません。
その投資家のニーズや投資スタイルに応じて、最適な方法を選択することが可能です。
証券会社や銀行から個別債券で買う
証券会社や銀行から投資信託で買う
米国財務省から直接購入する
一つずつ見ていきましょう。
証券会社や銀行から既発債券を買う
最も一般的なのは、証券会社や銀行などの金融機関を通じて、既発債券を購入するものです。
通常は、既発債券の中から銘柄を選択して「申込」ボタンを押すと、銘柄概要を確認できるよ。
2022年9月13日時点で購入可能な米国債一覧
米国国債 2024年3月31日満期
米国国債 2025年9月30日満期
米国国債 2023年3月23日満期 米ドル建ゼロクーポン
JPモルガン・チェース 2023年5月1日満期 米ドル建劣後債
米国国債(ストリップス債) 2023年11月15日満期
引用:マネックス証券
投資家は、利回りや満期日を自分で選択し、ポートフォリオに合わせた債券を購入することができます。
この方法の利点は、投資家が自身の投資目標に合わせて具体的な債券を選べることにあります。
また、満期まで保有することで、購入時点で確定した利回りを継続的に得ることができます。
自分の資産が管理しやすいというメリットがあります。一般的な購入方法です。
証券会社や銀行から投資信託で買う
米国債に投資するもう一つの方法は、債券市場に連動するインデックスファンドを購入する方法です。
です。米国債を含む債券投資信託は、多くの証券会社や金融機関で取り扱われています。
投資信託を利用することで、個別の債券を直接選ぶ必要がなく、プロのファンドマネージャーが選定した債券ポートフォリオに分散投資することができます。
これにより、投資リスクの分散や専門的な運用戦略を活用することが可能になります。
米国財務省から直接購入する
米国債を購入するもう一つの方法は、米国財務省のウェブサイト「トレジャリー・ダイレクト・ドット・ガブ(TreasuryDirect.gov.)」を通じて購入する方法です。
トレジャリー・ダイレクト・ドット・ガブ(TreasuryDirect.gov.)
https://treasurydirect.gov/
この方法では、証券会社を介さずに、米国政府から直接債券を購入することができますし、手数料を節約し、自分でポートフォリオを管理することが可能です。
ただし、この方法は投資家自身が市場動向や債券の選定についてより深い理解を持つ必要があり、初心者投資家にはおすすめしません。
米国債に関するよくある質問
米国債に関するよくある質問をまとめました!
米国債は安全?
米国債を買うおすすめのタイミングはいつ?
新NISAで米国債は買える?
一つずつ見ていきましょう。
米国債は安全?
米国債は、世界で最も安全とされる金融商品のひとつではありますが、どんなに安全と言われてもリスクがゼロの投資はありません。
特に最近は市場環境が変化してきていて、これまでの債券市場ではあまりない現象が起きていて、将来の予想がしずらくなっています。
これまでのように60/40 の資産配分 (株式 60%、債券 40%)が安全…とも言い切れないため、自分のリスク許容度や資産運用の目的を考慮しながら、自分で納得できる投資をしましょう。
特に米国債に投資をするなら気を付けないといけないリスクは以下のとおりです。
信用リスクはゼロではないから(安全資産ではない)
株式よりも利回りが低いから
金利上昇リスクがあるから
インフレリスクがあるから
為替リスクがあるから
米国債を買うおすすめのタイミングはいつ?
米国債を購入する最適なタイミングは、市場の状況、金利の動向、および個々の投資目標によって異なります。
一般的に、金利が低下すると予想される時期は、債券価格が上昇するため、購入に適したタイミングとされます。逆に、金利が上昇すると予想される場合は、債券価格が下落する可能性があるため、購入を見送るか慎重に検討する必要があります。
チェック! 米国債の売買タイミングとは?
債券価格が上がったタイミング(=金利下落)で売却、利益確定
債券価格が下がったタイミング(=金利上昇)でより安く購入する
債券価格が下がっている状況(=金利上昇)で売却、早めに損切り
為替レートが円安になったタイミングで債券を売却、日本円に戻して利益確定
新NISAで米国債は買える?
新NISA(少額投資非課税制度)は、日本の投資家が特定の金融商品を非課税で投資できる制度です。
この制度の対象となる金融商品は、株式や投資信託などが主ですが、外国債券を含む投資信託の中にも対象商品が存在します。
したがって、新NISA口座を通じて米国債に投資することは可能ですが、取り扱いのある証券会社を選ぶ必要があります。
NISA成長投資枠で投資可能なインデックスファンド例
eMAXIS Slim 先進国債券インデックス
<購入・換金手数料なし>ニッセイ外国債券インデックスファンド
たわらノーロード 先進国債券 ほか
いろんな種類の投資信託があるので、ぜひ自分で調べてみてね。
まとめ:米国債は買ってはいけない?その理由を徹底解説!
米国債投資には、安定した収益性、高い信用度、そして満期保有による元本返済の保証など、多くのメリットがあります。
しかし、金利上昇リスク、インフレリスク、為替リスクといった潜在的なリスクも存在します。
また、投資タイミングや市場の変動によっては、期待した収益を得られない可能性もあります。
投資初心者や長期的な資産形成を目指す投資家にとって、米国債はポートフォリオの一部として検討する価値があります。
しかし、投資判断を下す前には、自身の投資目的、リスク許容度、そして市場の状況を総合的に考慮することが重要です。
それでは今日もまめまめたのしい一日を。
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