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2021年末、業績相場が来たぞー
2022年、難しい相場になるぞー
とよく聞くようになりました。
株式相場は、毎回同じ順番で4つの相場が循環しています。そして、今はちょうど変化の時。金融相場から業績相場に切り替わる時期なんです。
この波を無視したら、上がるセクターや株がわからなくて、株式市場で迷子になってしまうかもしれません。
みんなドキドキしてますね… カタカタ(((´・Д・`)))プルプル
好景気も後半戦…株式市場、変革の時です。
今回は
・4つの相場サイクルとは?
・金融相場、業績相場、逆金融相場、逆業績相場とは?
・それぞれの相場で上がる株やセクターはどれ?
についてまとめてみたいと思います。
4つの相場サイクルとは?
株式相場は、4つの相場が順番に回ってくるといわれています。
その4つの相場のことを、「4つの株式相場サイクル」といいます。
4つの株式相場サイクル
=毎回同じ順番で繰り返される「金融相場」「業績相場」「逆金融相場」「逆業績相場」のこと
どんなにベテランの投資家でも、株式相場を100%予想をするのは難しいことです。しかし、ざっくりとした相場の傾向を知りたいだけなら、「相場サイクル」だけ覚えておけばOK。
まずは、この相場サイクルを理解しましょう。
株式相場のサイクルを動かす要因
株式相場はいろんな原因で変動します。
いちばん記憶に新しいのは、新型コロナウイルスの影響です。コロナウイルスが人の流れを止めてしまったことで、世界の景気は落ち込みました。
もうしばらくは不景気が続くだろうと思っていた矢先、すぐに景気は回復。
米国のスタンダード・アンド・プアーズ500種指数に連動した指数「S&P500」の株価の推移を見ると、なんと、6か月ほどでコロナ以前の水準に回復したことがわかります。
一体、なぜこんなことが起こったのか…。
それはかんたん。世界の金融当局が、景気が早く回復するように金融緩和を行ったからです。
要因① 金融緩和
市場は「金利」にコントロールされています。
金融緩和
=金利を下げて市場にお金を増やすこと
金利を下げると、企業はお金を借りやすくなります。そのお金を使って、各企業はビジネスを発展させることができます。
お金がないとなんにもできないもんね。お金があれば、豪華な材料を買って、おいしいご飯を作って、みんなにふるまうことで、新たな笑顔がうめるんです。…関係ない話しちゃった。
要因② 投資家の期待値の変化
お金が借りやすくなり、市場にお金があふれだすと、投資家は「これから好景気が来るぞ」と期待します。
投資家の期待は、株価収益率に現れます。
PER
=株価収益率
=株価が1株ごとの当期純利益の何倍まで買われているかを表す指標
期待がどんどん膨らんで、株を買いたい人がどんどん増えていきます。そして、株価はどんどん割高になっていきます。
要因③ 企業利益の変化
変わるのは投資家の期待だけではありません。投資家の期待に沿うかたちで、企業は金融当局が配ったお金を使って、実際に利益を増やします。
株式市場を動かす株価は、企業の利益が大きく関係しています。
正確に言うと、1株当たりの利益=EPSです。
EPS
=1株当たりの利益
=会社に残る利益を発行済みの株式数でわったもの
たくさんの利益を生む会社が増えれば、株式相場は上向きます。そしてやがて企業の業績アップが原因の本当の好景気がきます。
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相場の種類と概要
この金利のコントロールを合図にして、相場は4つのサイクルを回っていきます。ここからは、相場の4つの種類について、ひとつずつ詳しく見ていきましょう。
ひとつひとつの相場には特徴があります。
相場① 金融相場
まずひとつ目は、「金融相場」です。今回のコロナ後の金融緩和のタイミングを想像してみてください。まさにコロナ後の金融緩和政策が、金融相場のはじまりでした。
市場の金融政策:緩和↑ (量的緩和・ゼロ金利)
投資家の期待値(株価収益率PER):上昇↑
企業の利益(1株当たり利益EPS):ヨコヨコ→
景気が悪いと、企業にはお金がないので、新しい施策も打てず、どんどん企業の業績は低迷します。
この時に不景気から脱するために金融緩和政策がとられます。
企業の業績が悪くても、金融緩和政策によって、ムリヤリ市場をコントロールします。不景気の中でも投資家の期待値が上がる、ある意味ウソの「好景気」を作り出します。
金融相場では、PERやPBRが割高になることが多く、割高でも株を買う人が多くなります。
相場② 業績相場
金融相場の次にくるのが、「業績相場」です。まさにコロナ後の今、2021年秋は、業績相場に変化しつつあるといわれています。
市場の金融政策:緩和↑(景気回復・業績改善)
投資家の期待値(株価収益率PER):ヨコヨコ→
企業の利益(1株当たり利益EPS):上昇→
金融緩和政策によって、好景気を作り出すことができたので、ここから金融緩和政策を緩めていきます。
緩めてもすでに好景気が作られているので、企業の業績は良好なままです。
しかし、金融相場と違うのは、投資家の期待はこれ以上は上がらないということ。投資家は市場よりも一歩早く動くので、次の不景気を感じ取って、派手に株を買う動きは緩みます。
ここからは、本当に業績をあげられる良好な企業のみ、株価が上がる相場に変化していきます。どんな企業でも好景気の波を受けられた時代はおわりです。
企業の株価が上がる要因は、「業績」のみになるのが、業績相場の特徴です。
「業績相場」では、金利などのマクロ経済の要因よりも、個別の銘柄の業績などミクロな要因を背景に株価が上昇します。これと同時に投資家も現実的な投資をするようになるので、割高だった株価も平常運転に戻ります。
金融相場がお祭り的な好景気だとしたら、業績相場は現実的な好景気です。残念ながら、お祭りは終わりなんですよね。あーやだよう。笑
相場③ 逆金融相場
そして3番目にくるのが「逆金融相場」です。これから先、しばらくしてくるであろう、ちょっとコワイ相場。
市場の金融政策:引き締め↓(テーパリング・利上げ)
投資家の期待値(株価収益率PER):下降↓
企業の利益(1株当たり利益EPS):ヨコヨコ→
好景気が続いていた、「金融相場」→「業績相場」。
景気が加熱してくると、当然ですが市場を保つために金融引き締め政策が必要になります。なぜなら、景気が拡大しすぎるとインフレになり、物価が不安定になるからです。
インフレ
=モノの価値が上がり、お金の価値が下がること
ちょっとインフレになるだけならまだイイのですが、インフレが続くとハイパーインフレと呼ばれる状態になります。
ハイパーインフレ
=インフレがすすみすぎた状態のこと
=国際会計基準によると、3年間で累積100%以上の物価上昇が起こること
過去には、戦後のドイツ、2000年代に入ってからはジンバブエ、イラン、北朝鮮、ベネズエラなどで起きています。
例えば2015年に起きたベネズエラでは、原油価格の急落がハイパーインフレの引き金となりました。主な産業が石油の輸出であるベネズエラは、経済が成り立たなくなり、インフレは進み続けています。
インフレやハイパーインフレを避けるために、市場をコントロールすることはとても大切で、そのためには金融引き締めが必要になります。
金利が上がると、投資家たちは株式を買うのをやめて、債権などの金利の影響が少ない商品を選びはじめ、株価はますます上がりにくくなり、不景気に突入します。
相場④ 逆業績相場
最後、4番目にくるのが、「逆業績相場」です。
市場の金融政策:引き締め↓(景気悪化・業績悪化)
投資家の期待値(株価収益率PER):ヨコヨコ→
企業の利益(1株当たり利益EPS):下降↓
金融引き締め政策を受けて、本格的な不景気がやってきます。市場のお金が少ないので、企業も大きな施策が打てず、業績も悪化しやすくなります。
業績が悪化しやすくなることを受けて、「逆業績相場」と呼びます。
冬の時代ですなー・・・つ・・・つらい・・・泣
相場を見分けるポイントは「金利」
このように相場は、4つの相場のサイクルを順番に回っていきます。
この相場のサイクルの考え方の軸になる重要なマクロ指標は、「金利(の変化)」です。
中央銀行は金利を調整することで、経済の悪化や加熱を防いでいます。
4つの相場サイクル別 上がる株・セクターはどれ?
ここからは、これまでに説明した4つの相場サイクル、「金融相場」「業績相場」「逆金融相場」「逆業績相場」に上がる株やセクターを整理してみましょう。
相場① 金融相場に上がる株やセクター
同じ好景気でも、「金融相場」と「業績相場」で、上がる株や活躍するセクターは違うといわれています。
景気が回復してきた時に上昇しやすいのは、金利の上昇に影響を受けやすい株です。借入金が大きい不動産や金融は、金利低下に敏感で、すぐに好景気の影響を受けることができます。
【金利の上昇に影響を受けやすい株】
・不動産関連株/セクター
・金融関連株/セクター
・公共事業株/セクター
・電気ガス関連株/セクター
また、「金融相場」は投資家の期待が急に高まる相場ですから、「理想買い」と呼ばれる傾向が多くなります。業績は上がっていなくても、これから上がるだろうと、未来を期待する投資家が多くなるのです。
理想買い
=業績が実際に上がっていなくても、将来の期待で株を買うこと
【理想買いされやすい株】
・バイオ関連株/セクター
・ハイテク関連株/セクター
・通信関連株/セクター
・消費材関連株/セクター
・ヘルスケア関連株/セクター
相場② 業績相場に上がる株やセクター
「業績相場」になると、金融緩和の影響でどの企業も株価が割高になり、少しずつ株の実際の業績が見られるようになります。
そうなると、不動産や金融関連株は買われにくくなる代わりに、素材関連株と呼ばれる繊維、紙パルプ、化学、ガラスセメント、鉄鋼、非鉄などが買われやすくなります。
これらは一般的に「景気敏感株」と呼ばれます。景気の上昇に合わせて買われやすくなる株です。「景気敏感株」は景気が良くなると、業績の変化率が大きくなるので、株価が大きく変動しやすくなります。
【景気敏感株】
・素材セクター
鉄鋼株、化学株、紙パルプ株など
相場③ 逆金融相場・逆業績相場に上がる株やセクター
不景気に突入すると、全体的に株価は上がりにくくなります。景気が低迷した時に比較的注目されやすいのは、景気と業績の連動性が低い株やセクターです。
【景気非敏感株】
・インフラ株/セクター
・医薬品株/セクター
・生活必需品株/セクター
2021年末からの業績相場予想
2021年の「金融相場」が終わり、2021年末から2022年は「業績相場」に変わっていくといわれています。
多くの投資家の予想をここでまとめてみましょう。
「業績相場」への移り変わりに伴い、「グロース株よりバリュー株が優位」になっていくとといわれているよね。
予想① 「業績相場」に緩やかに移行する
多くの投資家の予想は、「金融相場」から「業績相場」への移行です。実質金利が下がり、小型グロース株が優位になる局面もありますが、サイクルのとおり徐々に「業績相場」に移行中と言えそうです。
予想② 「景気敏感株」に注意?
これまでの「金融相場」で人気だった理想買いされやすいバイオ関連株やハイテク株は、今後はちょっと伸びにくくなるのではという懸念があります。もちろん今まで成長しすぎたというのもありますが、今後は景気に敏感に反応する株が伸びやすくなる可能性があります。
予想③ テーパリング開始はすぐそこ?!
かなり前から「そろそろテーパリングなのでは?」といわれ続けていますが、米連邦準備制度理事会(FRB)はテーパリング開始を11月中旬から行うことを決めました。
具体的にはこれらのことが行われます。
①毎月1200億ドルのペースで増加させている国債と住宅ローン債券の買い入れを毎月150億ドルずつに減速させる
②すべての買い入れを来年には終了させる
テーパリング開始はもちろんインフレを防ぐために絶対にやらねばならないことだけど、急激な不景気が来ないように願いたいですね…
まとめ ~金融相場、業績相場、逆金融相場、逆業績相場~
4つの相場サイクルとは、毎回同じ順番で繰り返される「金融相場」「業績相場」「逆金融相場」「逆業績相場」のことでした。
不景気から脱出するべく、金利を下げて市場にお金を増やすことで好景気の波に乗る「金融相場」からはじまり、投資家の期待が少しずつ冷えてきて、本当に業績がよい企業の株が買われ始める「業績相場」。
テーパリング開始などの金融引き締めが行われることでインフレを防ぐ「逆金融相場」になると、景気は下火です。そして、各企業の冷え込みが激しくなり、不景気真っ只中の「逆業績相場」・・・。
相場にはこのようなサイクルがあります。そしてそれぞれの相場で上がりやすい株やセクターもあります。
【金融相場に上がる株・セクター】
・不動産関連株/セクター
・金融関連株/セクター
・公共事業株/セクター
・電気ガス関連株/セクター
・バイオ関連株/セクター
・ハイテク関連株/セクター
・通信関連株/セクター
・消費材関連株/セクター
・ヘルスケア関連株/セクター
【業績相場に上がる株・セクター】
・素材関連株( 鉄鋼株、化学株、紙パルプ株など )/セクター
【逆金融相場&逆業績相場に上がる株・セクター】
・インフラ株/セクター
・医薬品株/セクター
・生活必需品株/セクター
市場の大まかな流れを把握して、その上で株式相場を観察すると、また新しいものが見えてくるかもしれません。
参考にしてみてね。