アマゾンの株価、10年後はどうなる?
これからの将来性は期待できる?
ネット通販やプライムビデオ、AWSなど、私たち生活に溶け込む、身近なサービス展開をしているアマゾン。
2022年にインフレ率の上昇や決算の失敗により、最高値から40%近くの下落を記録しましたが、2023年からは大幅な人件費の削減などによって、復活。
上がったり、下がったりを繰り返し、このところ不安定に見えるアマゾンの株価ですが、10年後も変わらず成長できるポテンシャルはあるのでしょうか?
そこで今回は、マイクロソフトの株価が10年後にどうなるのか、徹底予測!
投資歴15年のOL投資家が、今後の見通しや注目の事業などの関連情報についてわかりやすく整理してお伝えします。
▼本記事の内容
アマゾンの株価の10年後は、果たしてどうなるのか?(独自考察含む)
アマゾンが手掛けるEC事業の懸念と見通し
ご紹介内容はあくまで個人の見解と運用実績であり、正確性や安全性を保障するものではありません。また情報提供のみを目的としており、投資、法務、税務その他のアドバイスを意図しているわけでもありません。当サイトに掲載された内容によって生じた損害等の一切の責任を負いかねますのでご了承ください。詳細はこちら
アマゾンの株価の今は?
アマゾンはアメリカに本社を置く、世界最大級のオンライン小売業者です。
1994年にジェフ・ベゾス氏によりオンライン書店として設立されましたが、2021年2月に退任。
当時、クラウド部門トップにいたアンディ・ジャシー氏がCEOに昇格しました。
引用:アマゾン公式サイト
企業名 | アマゾン(AMAZON.COM INC) |
設立 | 1994年 |
代表者 | アンディ・ジャシー |
事業概要 | 卸売業&小売業 |
上場市場 | NASDAQ(ナスダック) |
従業員数 | 1,541,000人 |
アマゾンのミッションステートメントは、「地球上で最もお客様を大切にする企業であること」。
以下の4つの理念を持ち、日々サービスの拡大を目指しているのは有名です。
1:お客様を起点にすること
2:創造への情熱
3:優れた運営へのこだわり
4:長期的な発想
確かにアマゾンが提供するサービスは、ECショッピングサイトによる単純な商品販売ではありません。
カスタマーレビュー、1-Click注文、パーソナライズされたおすすめ商品機能、運送の最適化など、顧客体験を最適化するための工夫を日々続けています。
そして、近年はクラウドサービス「AWS」や配送代行サービス「フルフィルメント by Amazon(FBA)」など、顧客体験の最適化のためのサービスを次々と生み出し、注目されています。
【アマゾンの主要事業】
Amazon.com:Eコマースサイト
AWS:クラウドサービス
kindle:電子書籍
Amazon プライム:会員制定額サービス
FBA:配送代行サービスなど
それでは詳しく見ていきましょう。
アマゾンの株価は過去10年で11倍
ここ10年間のアマゾンの株価推移は、以下の通り。
引用:Yahooファイナンス
2014年(10年前)の株価は15ドルで、2024年(現在)の株価は186ドル。
上がったり、下がったりが多くて、ボラティリティが高い側面はありますが、長期で見ると右肩上がりです。
特に2023年に入ってからの急な巻き返しはスゴイなぁ…。
これまでの10年と同じ割合で、これからの10年も伸びると仮定すると、なんと10年後には2306ドルになります。
年 | アマゾンの株価 | 増加率 |
---|---|---|
2014年4月 | 15ドル | ー |
2024年4月 | 186ドル | 1140%増加 |
2034年4月(10年後予想) | 2306ドル | 1140%増加 |
米国ハイテク企業のここ10年の伸びは本当にスゴイですが、中でもアマゾンの成長率はマイクロソフトやアップル以上…!
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アマゾンを支える優良クラウドサービス「AWS」
アマゾンが手掛ける事業の中では、クラウドサービス「AWS」の営業利益率がダントツで高く、アマゾンは今やクラウドサービスの会社だと言っても過言ではありません。
AWS(Amazon Web Services)
=アマゾンが提供するクラウドサービスの総称
=初期費用ゼロ・無料利用枠ありの従量課金制で使いやすい
調査会社Canalysの2023年末の発表によると、クラウドサービスの世界シェア1位はアマゾンのAWSで31%、そしてマイクロソフトのMicrosoft Azureが25%と続きます。
引用:AWS re:Invent 2023 – The partner perspective
気になるのは他社もアマゾンのAWSに追従し、高い成長率で後を追っていること。
アマゾン一強というわけではなさそうです。
さらに言えば、アマゾンのサービスの中でもAWSは売上が高いわけではありません。
2024年1月に発表されたアマゾンの決算資料によると、AWSの売上よりもECの売上の方が7倍もあるにも関わらず、営業利益はAWSのほうが多くなっているのがわかります。
営業利益 | 売上 | 売上高/営業利益率 | |
---|---|---|---|
EC | 69億ドル | 1,457億ドル | 4.7% |
AWS | 72 億ドル | 242億ドル | 29.8% |
AWSは効率よく利益を出してくれるアマゾンにとって、金のなる木ではありますが、他社もあきらめずに追従している点を見ると…油断は禁物であることがわかります。
Eコマース「Amazon.com」の低い営業利益率
クラウドサービス「AWS」が好調である一方で、売上があるにも関わらず利益になりにくい事業であることが露呈したEコマース「Amazon.com」。
売上が好調アマゾンの売上高は毎年大きく伸び、2023年Q4も13%成長していますが、同じようにインフラ設備への投資額が伸びていて、あまり利益が上がっていません。
この原因は複数ありますが、特に近年深刻化しているのがインフレです。
商品を輸送するために、時には太平洋を横断する輸送用コンテナなどを利用することもあり、その運輸コストはかなり大きな額に。
インフレによって、このコストがさらに膨れ上がり、アマゾンの利益を圧迫しているのです。
さらにECコマースの懸念は続きます…
アマゾンは2023年に、米連邦取引委員会(FTC)から独占禁止法違反の疑いで提訴されています。
米連邦取引委員会(FTC)は26日、米アマゾン・ドット・コム(AMZN.O), opens new tabを反トラスト法(独占禁止法)違反の疑いで提訴した。アマゾンが独占的な力を利用して消費者に損害を与えているとして、資産売却も含めた措置を検討するよう裁判所に求めた。
引用:ロイター
米連邦取引委員会(FTC)の声明によると、疑われている理由は以下のとおり。
・ネット通販事業で出店者(小規模事業者)に対し多額の手数料を請求している
・競合サイトで出店者(小規模事業者)が商品を安く販売した場合にアマゾンでは検索しづらくした
独占禁止法違反に関する問題は、アマゾンだけでなく、グーグルやアップルなどにも起こっている、近年よくある問題のひとつ。
でも、アマゾンは米連邦取引委員会(FTC)の声明どおりになると、顧客が選択できる商品が減り、価格は上がり、配達は遅れるとコメントしており、今後の売上高や営業利益への影響が心配されています。
いざとなれば数万人の人員削減&コスト削減も実施
2022年の株価低迷を受け、アマゾンは2万7000人以上の大きな人員削減を実施しています。
・2023年3月、AWSやTwitch部門で9000人の人員削減
・2023年7月、食料品部門で数百人規模の人員削減
・2023年11月、アマゾンミュージック部門で大規模な人員削減
・2024年1月、Twitch部門で500人の人員削減
・2024年1月、アレクサ部門で数百人規模の人員削減
・2024年1月、プライム・ビデオ部門とスタジオ部門で数百人規模の人員削減
・2024年2月、ヘルスケア部門で数百人規模の人員削減
・2024年4月、AWS部門で数百人規模の人員削減
一部を挙げただけでもこんなに…すごいことになってます…
人員削減による費用の抑制は功を奏し、2023年第4四半期(10月~12月)の営業利益は39%増。
引用:Q4 2023 Financial Results Conference Call Slides
・売上高:1699.6億ドル(予想:1662.1億ドル)
オンラインストア:705.4億ドル(予想:689.1億ドル)
実店舗:51.5億ドル(予想:52.3億ドル)
サード・パーティ:435.6億ドル(予想:419.6億ドル)
AWS:242.0億ドル(予想:242.2億ドル)
・営業利益:132.1億ドル(予想:104.9億ドル)
・営業利益率:7.8%(予想:6.2%)
これだけ思い切った人員削減を実行できる企業であるということは、10年後の株価が心配な株主から見ると、逆に好材料なのかもしれません。
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アマゾンの10年後の株価を支える注目投資事業
アマゾンの10年後の株価を予測する上では外せない、注目の投資事業は以下の5つです。
低遅延ブロードバンドネットワーク「Project Kuiper」
無人トラック&自動運転による物流効率化
長期的成長のためのESG・脱炭素投資
中国市場の撤退とインド市場への投資
生成人工知能(AI)の活用
ひとつずつ見ていきましょう。
低遅延ブロードバンドネットワーク「Project Kuiper」
アマゾンは、2023年から低遅延ブロードバンドネットワーク「Project Kuiper」に力を入れています。
Project Kuiperとは、アマゾンが設計、構築、運営するLEO(低軌道)衛星によるブロードバンド・ネットワークのこと。
宇宙から発信することで、まだネットワークが行き届いていない地域にも低遅延のブロードバンド・ネットワークを提供することができます。
2023年からロケットの打ち上げ実験を繰り返しており、宇宙で安全に操縦できることを実証済みなだけでなく、すでにネットワーク上でビデオ通話が可能であることも確認できています。
Project Kuiperは、それ自体で利益が上がるプロジェクトと言うよりも、市場拡大を狙ったビジネスのひとつ。
すでにインターネットインフラの一部をアマゾンが握っているため、アマゾンはProject Kuiperによって、自らインターネットの普及率を上げ、自社のEC事業やAWSなどの収益規模を拡大しようとしているのです。
規模の大きな話だ…!笑
Project Kuiperが実現すれば、アマゾンは2つの大きな収益源を得られることになります。
・インターネット普及率の向上による、既存サービスの収益規模の拡大
・インターネット提供によるインターネットプロバイダーとしての新たな利用料収益
アマゾンがインターネットプロバイダーとして活躍する未来が来るかもしれません。
無人トラック&自動運転による物流効率化
アマゾンのEC事業の発展のためには、物流の効率化とコストカットは欠かせない課題のひとつ。
EC事業の低い営業利益を高めるためには、「無人トラック&自動運転による物流効率化」ができるかどうかが10年後のアマゾンの株価に大きく直結する可能性があります。
ひとことに物流効率化と言っても、物流には3つのプロセスがあります。
1:長距離輸送(倉庫→物流拠点)
2:中距離輸送(物流拠点→宅配拠点)
3:ラストワンマイル(宅配拠点→家庭)
アマゾンはこの全行程において、自動運転技術の適用を進めるべく、スタートアップ企業との提携や買収を進めています。
長距離輸送に関しては、自動運転トラックの中国系スタートアップ企業であるPlus社と業務提携をし、長距離輸送の効率化に取り組んでいます。
引用:Plus
企業名 | Plus |
設立 | 2016年 |
代表者 | David Liu |
事業概要 | 長距離トラック輸送の 自動運転技術の開発・実用化 脱炭素輸送ソリューションの開発 |
また、2020年には自動運転タクシー向けの技術を開発するアメリカのスタートアップ企業「Zoox(ズークス)」を買収。
Zooxはアメリカではすでに公道での走行実験を開始しており、無人のロボタクシーの誕生も遠い未来ではないことが報告されています。
さらにフォーブスの記事によると、今後、アマゾンの配送も視野に入れた実験が進む可能性も。
Zooxはまずラスベガスで最初のロボタクシーの試験サービスを開始し、その後はサンフランシスコと親会社であるAmazon(アマゾン)が本社を置くシアトルに広げていく予定という。Zooxは、将来的にアマゾンの配送向けにロッカーを搭載した車両を展開する可能性もあるという。
Zooxとの事業で中距離輸送の改善を図っているように見えますね。
最後のラストワンマイルについては、アマゾンはなんと自社で小型の自動配送ロボット「Amazon Scout」を開発することを試みました。
しかし、2022年に開発は中止。
プロジェクトは完全に終了というわけではないようですが、その後、続報はありません。
アマゾンの広報担当者アリサ・キャロル氏は、同社は現在プログラムを縮小または「方向転換」しており、関係する従業員と協力して組織内の他の空いている役職に就かせるつもりだと述べ、プロジェクトを完全に放棄するわけではないと付け加えた。
The company is now scaling back or “reorienting” the program, and it will work with the involved employees to match them to other open roles within the organization, Amazon spokesperson Alisa Carroll said, adding that it was not abandoning the project altogether.
物流効率化の進捗次第では、アマゾンの10年後の株価が跳ね上がる可能性も無きにしも非ずです。
物流効率化を助けるロボット開発も期待したいですね…!
長期的成長のためのESG・脱炭素投資
ESG投資とは、環境(Environment)・社会(Social)・ガバナンス(Governance)の3つに配慮した企業への投資のことで、近年注目されています。
ESG投資
=環境(Environment)・社会(Social)・ガバナンス(Governance)の3つに配慮した企業への投資のこと
もともとは2015年11月に開かれた「パリ協定」で定められた気候変動問題に関する国際的な取り組みの推進の一環で、「ESGに配慮がされていない企業は、積極的に支援すべきでない」という考え方によるものです。
アマゾンはこの取り組みの中で、特に脱炭素化を進めていくことを約束し、2040年までに全ての事業を再生可能エネルギーで行うという制約を掲げています。
パリ気候協定より10年早い2040年までに脱炭素を達成したいと考えており、脱炭素達成という目標の一環として、2025年までに100%再生可能エネルギーで事業を推進する方向に進んでいます。
We want to reach net-zero carbon emissions by 2040, a decade ahead of the Paris Climate Agreement, and we are on a path to powering our operations with 100% renewable energy by 2025 as part of our goal to reach net-zero carbon.
アマゾンの脱炭素化への制約は、口先だけの約束ではありません。
その証拠に、2023年9月に初のゼロエミッション対応貨物船で商品を発送したことを公式サイトで報告しました。(参考:Amazon sends products on board the first zero-emission capable cargo ship)
ESG投資を推進する投資家は、アマゾンの脱炭素への取り組みを評価しています。
この継続的な取り組みは、アマゾンの10年後の株価にどんな影響を与えるか、注目です。
中国市場の撤退とインド市場への投資
アメリカ企業でありながら、日本でもネットショッピング大手のアマゾン。
しかし、アマゾンはECサイトの黒船号としてすべての国で成功しているわけではありません。
中でも大きな痛手を負ったのは、中国からの通販事業撤退です。
アマゾンは中国の消費者向けに、国内第三者の商品をネット通販する「マーケットプレイス」事業を展開してきた。7月18日にサービスを停止し、この事業から撤退する。国をまたぐネット通販の越境電子商取引(EC)サービスと、クラウド事業は中国で継続する。
中国は、世界のEC市場シェアの半分以上を占める大きな市場です。
引用:令和3年度電子商取引に関する市場調査|経済産業省 商務情報政策局 情報経済課
さらに年々市場は拡大していますが、中国内のECサービスである天猫(Tmall)や網易考拉、京東の人気は根強く、なかなかアマゾンは食い込むことができません。
引用:令和3年度電子商取引に関する市場調査|経済産業省 商務情報政策局 情報経済課
そして、アマゾンはこの中国市場の失敗を踏まえ、次はインド市場へ乗り出すべく多額の投資を行っています。
どんなにがんばっても難しい中国はいったん保留!次の目標はインドです。
CEOのアンディ・ジェシー氏のXによると、インド事業への30年までの投資額は計260億ドル(約3兆7300億円)になるとのこと。
2030年までにインドに260億ドルを投資するというAmazonの取り組みについて説明した。私たちは協力してスタートアップを支援し、雇用を創出し、輸出を可能にし、個人や中小企業が世界で競争できるように支援します。
Amazon’s commitment to invest $26B in India by 2030; working together we will support startups, create jobs, enable exports, and empower individuals and small businesses to compete globally.
インドのEC市場規模は、今後人口とともに増え、2026年には2,000億ドル規模に成長し、2034年までに米国を超え、世界2位になると予測されています。
今からインドへの投資を始めることで、アマゾンは将来のインド市場の成長とともに株価を大きく上げることを狙っているのです。
インド投資が上手くいけば、10年後のアマゾンの株価もすごいことになりそうです…。
生成人工知能(AI)の活用
アメリカの巨大テック企業であるマグニフィセントセブンのうち、どの企業が頭一つ抜けるか検討する際に重要視されるのが、生成人工知能(AI)の活用です。
アマゾンは他の企業に比べるとあまり目立ちませんが、他の企業と積極的に提携を結びながら、既存ECサービスやクラウドサービス「AWS」での生成人工知能(AI)の活用を模索しています。
2024年3月には半導体企業大手のNVIDIAとタッグを組み、クラウドサービス「AWS」の実行のパフォーマンスを高速化をすることを報告しました。
AWS、NVIDIA Grace Blackwell GPU ベースの Amazon EC2 インスタンスと NVIDIA DGX Cloud を提供し、数兆パラメータ LLM での推論の構築と実行のパフォーマンスを高速化
AWS to offer NVIDIA Grace Blackwell GPU-based Amazon EC2 instances and NVIDIA DGX Cloud to accelerate performance of building and running inference on multi-trillion parameter LLMs
引用:AWS and NVIDIA Extend Collaboration to Advance Generative AI Innovation
さらに、ECサイト事業では生成人工知能(AI)を搭載したショッピングアシスタント「ルーファス」をモバイルアプリに導入することも発表し、生成人工知能(AI)の活用をしていることを示しました。
買い物アシスタント「ルーファス」は、アマゾンが持つ商品情報やカスタマーレビューなどの情報を元に学習した買い物支援のためのAIチャットボットです。
ルーファス
=買い物支援のためのAIチャットボット
=既存の商品情報やカスタマーレビューなどの情報から知識を学習する
今後もアマゾンには生成人工知能(AI)を使った、より先進的な買い物体験をさせてくれることを期待したいですね。
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アマゾンの株価、10年後はどうなる?成長鈍化への懸念点
アマゾンの10年後の株価に期待したい反面、伸び悩みリスクも正直かなり大きいと思います。
10年後の株価が伸び悩むとしたら、特に大きな懸念点は以下の2つ。
参入障壁が低いAmazonプライムの10年後への懸念
クラウドサービスの世界シェア首位陥落への懸念
ひとつずつ見ていきましょう。
参入障壁が低いAmazonプライムの10年後への懸念
アマゾンが提供する「Amazonプライム」は、年間5,900円を支払うだけで、配送特典や会員限定セールが受けられるアマゾンの会員制プログラムのこと。
Prime Video、Amazon Music Primeなどの特別サービスも受けられるので、とてもお得です。
Amazonプライム
=アマゾンの会員制プログラム(年会費は5,900円)
=配送特典や会員限定セール、Prime Video、Amazon Music Primeなどを利用可能
私も利用しています。笑
利用できるサービスも多くお得感があるためか、会員数は右肩上がり。
2020年の株主向けのレターの中で、プライムの会員数が2億円を超えたことが発表されました。
世界のプライム会員の人数は2億人を超えました。
We have more than 200 million Prime members worldwide.
2023年10~12月期には、プライム会員のサブスクリプションの売上高は同14%増の104億8800万ドルとなり、一見好調にも見えます…。
引用:アマゾンニュースリリース
でも、この成長率はアマゾンが手掛けるサービスの中では大きいわけではありません。
特にアメリカでは、プライム会員は伸び悩んでおり、今後の動向が心配されています。(参考:Why Amazon Prime memberships might be ‘flattening out’)
特に大きかったのが、2022年に行われたアメリカの年会費の値上げです。
年会費 | 月会費 | |
---|---|---|
値上げ前 | 119ドル | 12.99ドル |
値上げ後 | 139ドル | 14.99ドル |
調査会社Consumer Intelligence Research Partners(CIRP)の調べによると、2022年6月30日時点での米Amazonプライム会員数は約1億7,200万人で、6カ月前の数字から変わっていないのだとか。
約1億7,200万人って…2020年にジェフベゾスCEOが株主宛に出したレターの2億人より減ってる?
減ったのか、大体の数字を言ったのかわかりませんが、成長が鈍化しているのは事実であるようです。
Amazonプライムはとても便利でお得なサブスクリプションサービスではありますが、それはあくまで「安い割には便利」というもの。
高額で同じサービスを提供しようとするのであれば、他にもっとよいコンテンツを提供している競合企業がうじゃうじゃいます。
そうなのよ…安いから入っているけど、値上がりしたらわたしも続けるか悩むなぁ…。
音楽配信サービスならSpotifyやGoogleなど、使いやすさなどで劣る部分はありますし、動画配信サービスならやっぱり話題になりやすいのはNetflixかもしれません。
アマゾンはこれから10年間でこれらの競合他社とどんな戦い方をするか、今一度戦略を練り直さないといけない段階にきていると言えそうです。
クラウドサービスの世界シェア首位陥落への懸念
世界シェア31%にして第1位を爆走中のクラウドサービスと言えば、アマゾンの「AWS」。
しかし、アマゾンの「AWS」が10年後も首位でいられるかどうかはわかりません。
AWSが世界シェア1位なのは、サービスの質が良いからというわけではなく、先行者利益を得ているだけ…と辛らつなことを言われることもw
最大のライバルとして君臨する、世界シェア第2位のマイクロソフトの「Azure」は年々シェア割合を縮めており、2023年には25%まで追い上げてきました。
もともとアマゾンの「AWS」は、ECサービスで活用していたサーバーを有効活用すべく始まったクラウドサービスです。
マイクロソフトの方が、既存のOfficeやWindowsと連携させることでより体感的に便利なサービスを提供しやすく、さらに言えばWindowsやインターネットの普及率を上げることで、Azureのサービスに誘導することもできてしまうため、シェア拡大がしやすいという現状があります。
マイクロソフトが必死でインドやアフリカ地域のインターネット普及率を高める施策をしているのは、将来の自社サービスの普及を確実に進めるためと言えます。
また、2019年には米国防総省の新プロジェクト「JEDI」で使用するクラウドサービスとして、アマゾンが有力候補だったにも関わらず、選ばれたのはマイクロソフト。
アマゾンが受注に失敗した背景について、ジェフ・ベゾス最高経営責任者(CEO)がオーナーを務める米紙ワシントン・ポストがトランプ氏に批判的な論調を展開しているためとの見方もある。
厳密な理由はわかりませんが、政治的な立ち回りもアマゾンよりもマイクロソフトのほうが何枚か上手の可能性もありそうです。
実力はともかく、立ち回りが上手な人って、サラリーマンの世界にもいるもんね。笑
クラウド関連事業については、今後マイクロソフトだけでなく、GoogleやIBMなどのIT企業の参入も考えられる大きな事業です。
アマゾンも先行利益にあぐらをかいていると、競合他社に一気に抜かされてしまうかもしれません。
まとめ:アマゾンの株価、10年後はどうなる?暴落懸念の理由や将来性
アマゾンの株価は、これまでの10年でなんと11倍に爆増しています。
これは、インターネットの普及に伴い、人々が必要とするサービスを堅実に推し進めてきたことによるもの。
ECサービスはもちろん、より使いやすくするためのサブスクリプションサービスや広告事業など、既存サービスに合わせたアップデートを実直に行ってきたからです。
しかし、ここからの10年は多少戦略を変える必要があります。
完全に新しいAIについてどう迎合していくか、そしてインフレなどの新しい問題によるコスト増とどう向き合うかは、今後の10年を占う上で無視できない課題です。
その課題解決のためにアマゾンが今投資している事業は、以下の通り。
低遅延ブロードバンドネットワーク「Project Kuiper」
無人トラック&自動運転による物流効率化
長期的成長のためのESG・脱炭素投資
中国市場の撤退とインド市場への投資
生成人工知能(AI)の活用
これまでの失敗を反省し、新しい事業や課題解決を目指して戦っています。
個人的にこれからどんどん課題が深刻化する可能性があるのは、既存のEC事業の動向だと思います。
特に物流効率化とそれに伴うコスト削減は、インフレの兼ね合いもあり、10年後のアマゾンの株価に大きく影響するでしょう。
…というのは、あくまでわたしの個人的な見解です。笑
それでは今日もまめまめたのしい一日を。
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