
2022年4月4日から日本の株式市場がかわるってほんと?!プライム市場ってなに?私たち個人投資家にも影響あるの?
と、気になっている方、いませんか?
1949年会員制法人として戦後の出発を果たした東京証券取引所は、1963年のジャスダック創設や1999年の東証マザーズ創設など、さまざまな変化を経てきました。
そして、2022年4月4日。
今の東証1部、2部、マザーズ、ジャスダックの4つの市場区分を「プライム」「スタンダード」「グロース」の3市場に再編することを決定し、東京証券取引所は大きく変わろうとしています。
ここまで大きな整理を行うのは初めてと言っても過言ではありません。
さぁ、一体どうなる?!
今回は
・プライム市場ってなに?
・プライム市場になった時のメリット・デメリット
についてまとめてみました。
東京証券取引所の市場再編の内容
2022年4月4日から東京証券取引所は、大きく形を変えます。
その前段階として、先日2022年1月11日、東京証券取引所は現在の上場企業3777社の移行先を公表しました。
市場再編後の全体像
現在は「東証一部」「東証二部」「ジャスダック」「マザーズ」という4つの市場に分かれている銘柄を、2022年4月4日からは「プライム」「スタンダード」「グロース」の3つ分けることになりました。
【これまで】
東証一部:2185社
東証二部:474社
ジャスダック:694社
マザーズ:424社
【これから】
プライム:1841社
スタンダード:1477社
グロース:459社
この市場の分け方に伴い今後は、「東証一部上場」「マザーズ上場」という言葉はなくなり、「プライム市場上場」「スタンダード市場上場」「グロース市場上場」という言葉を使うようになります。
言葉の違いだけなら大した違いではありませんが、選定基準や条件などの中身も異なるようなので注意が必要です。

4市場から3市場へ。東証が作られてから少しずつ複雑化してきた市場を新しい市場区分で分けることによって、各市場のコンセプトが明確化し、市場維持のための持続的成長と企業価値向上に積極的に取り組む仕組みをすることが狙いです。
【今後のスケジュール】
2022年1月11日 選択結果の公表
2022年4月4日 新市場一斉移行
それではひとつひとつの市場の定義と上場維持基準を確認してみましょう。
プライム市場とは?
プライム市場は、流通株式時価総額が100億円以上で、流通株式比率が35%という条件がある大規模な企業が対象となる市場です。
より多くの機関投資家の目に触れることが大事だと考えられていて、特にプライム市場がこれまでの東証一部と違うのは「海外」も視野に入れているところです。
今回の市場変更のルール変更にもこんな記述がされるようになりました。
補充原則3−1②
上場会社は、自社の株主における海外投資家等の比率も踏まえ、合理的な範囲において、英語での情報の開示・提供を進めるべきである。
特に、プライム市場上場会社は、開示書類のうち必要とされる情報について、 英語での開示・提供を行うべきである。

特にプライム市場に上場するような大きな企業は、海外投資家とより深いコミュニケーションをとっていかないとなかなかお金が集まらないっていう危機感の現れのようにも感じますよね。プライム市場の会社は、英語での開示・提供を行うことが求められます。
実際に株式会社東京証券取引所が公開した「新市場区分の概要等について」という資料による、プライム市場の定義は以下の通りです。
プライム市場の定義
多くの機関投資家の投資対象になりうる規模の時価総額(流動性)を持ち、より高いガバナンス水準を備え、投資者との建設的な対話を中心に据えて持続的な成長と中長期的な企業価値の向上にコミットする企業向けの市場
引用:東京証券取引所「新市場区分の概要等について」
https://www.jpx.co.jp/corporate/news/news-releases/0060/nlsgeu000004ke6p-att/J_kouhyou.pdf
プライム市場の上場基準
プライム市場の上場基準も「流動性」「ガバナンス」「経営成績」の3点から明確に決まっています。
①流動性
項目 | 新規上場基準 | 上場維持基準 |
株主数 | 800人以上 | 800人以上 |
流通株式数 | 20,000単位以上 | 20,000単位以上 |
流通株式時価総額 | 100億円以上 | 100億円以上 |
売買代金 | 時価総額250億円以上 | 1日平均売買代金0.2億円以上 |
引用:東京証券取引所「新市場区分の概要等について」
https://www.jpx.co.jp/corporate/news/news-releases/0060/nlsgeu000004ke6p-att/J_kouhyou.pdf
②ガバナンス
項目 | 新規上場基準 | 上場維持基準 |
流通株式比率 | 35%以上 | 35%以上 |
引用:東京証券取引所「新市場区分の概要等について」
https://www.jpx.co.jp/corporate/news/news-releases/0060/nlsgeu000004ke6p-att/J_kouhyou.pdf
③経営成績
項目 | A(利益実績) | B(売上実績) |
収益基盤 | 最近2年間の利益合計が 25億円以上 | 売上高100億円以上 かつ、時価総額1,000億円以上 |
財政状態 | 純資産50億円以上 | 純資産50億円以上 |
引用:東京証券取引所「新市場区分の概要等について」
https://www.jpx.co.jp/corporate/news/news-releases/0060/nlsgeu000004ke6p-att/J_kouhyou.pdf
なんと7割がアメリカと中国で、日本は全くランクインできません。
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スタンダード市場とは?
スタンダード市場は、流通株式時価総額が10億円以上で、流通株式比率が25%という条件がある中規模な企業が対象となる市場です。
スタンダード市場は、これまでの流通性が高い企業向けだった東証一部と実績がある企業向けの東証二部、そして多様なジャスダック市場などのあいまいな基準による分け方を撤廃して、プライム市場と同じく、「流動性」「ガバナンス」「経営成績」の3点から評価した市場になっています。
実際に株式会社東京証券取引所が公開した「新市場区分の概要等について」という資料による、スタンダード市場の定義は以下の通りです。
スタンダード市場の定義
公開された市場における投資対象として一定の時価総額(流動性)を持ち、上場企業としての基本的なガバナンス水準を備えつつ、持続的な成長と中長期的な企業価値の向上にコミットする企業向けの市場
引用:東京証券取引所「新市場区分の概要等について」
https://www.jpx.co.jp/corporate/news/news-releases/0060/nlsgeu000004ke6p-att/J_kouhyou.pdf
スタンダード市場の上場基準
スタンダード市場の上場基準も「流動性」「ガバナンス」「経営成績」の3点から明確に決まっています。
①流動性
項目 | 新規上場基準 | 上場維持基準 |
株主数 | 400人以上 | 400人以上 |
流通株式数 | 2,000単位以上 | 2,000単位以上 |
流通株式時価総額 | 10億円以上 | 10億円以上 |
引用:東京証券取引所「新市場区分の概要等について」
https://www.jpx.co.jp/corporate/news/news-releases/0060/nlsgeu000004ke6p-att/J_kouhyou.pdf
②ガバナンス
項目 | 新規上場基準 | 上場維持基準 |
流通株式比率 | 25%以上 | 25%以上 |
引用:東京証券取引所「新市場区分の概要等について」
https://www.jpx.co.jp/corporate/news/news-releases/0060/nlsgeu000004ke6p-att/J_kouhyou.pdf
③経営成績
項目 | 不受理基準 |
収益基盤 | 最近1年間の利益が1億円以上 |
財政状態 | 純資産額が正であること |
引用:東京証券取引所「新市場区分の概要等について」
https://www.jpx.co.jp/corporate/news/news-releases/0060/nlsgeu000004ke6p-att/J_kouhyou.pdf

基本的な評価項目がプライム市場と同じというのはこれまでになかった考え方ですよね。流動性やガバナンスは、会社が大きかろうが小さかろうが大事ですもんね。でも経営成績に関しては、プライム市場より将来性大事にしている感じです。
グロース市場とは?
グロース市場は、流通株式時価総額が5億円以上で、流通株式比率が25%という条件がある小規模な企業が対象となる市場です。
グロース市場は、プライム市場やスタンダード市場と大きく違う点があります。上場基準として経営成績よりも事業計画を重視されている点です。
実際に株式会社東京証券取引所が公開した「新市場区分の概要等について」という資料による、グロース市場の定義は以下の通りです。
グロース市場の定義
高い成長可能性を実現するための事業計画及びその進捗の適時・適切な開示が行われ一定の市場評価が得られる一方、事業実績の観点から相対的にリスクが高い企業向けの市場
引用:東京証券取引所「新市場区分の概要等について」
https://www.jpx.co.jp/corporate/news/news-releases/0060/nlsgeu000004ke6p-att/J_kouhyou.pdf
グロース市場の上場基準
グロース市場の上場基準は「事業計画」「流動性」「ガバナンス」の3点から明確に決まっています。
①事業計画
項目 | 新規上場基準 | 上場維持基準 |
時価総額 | – | 上場から10年経過後 40億円以上 |
引用:東京証券取引所「新市場区分の概要等について」
https://www.jpx.co.jp/corporate/news/news-releases/0060/nlsgeu000004ke6p-att/J_kouhyou.pdf
②ガバナンス
項目 | 新規上場基準 | 上場維持基準 |
流通株式比率 | 25%以上 | 25%以上 |
引用:東京証券取引所「新市場区分の概要等について」
https://www.jpx.co.jp/corporate/news/news-releases/0060/nlsgeu000004ke6p-att/J_kouhyou.pdf
③経営成績
項目 | 不受理基準 |
収益基盤 | 最近1年間の利益が1億円以上 |
財政状態 | 純資産額が正であること |
引用:東京証券取引所「新市場区分の概要等について」
https://www.jpx.co.jp/corporate/news/news-releases/0060/nlsgeu000004ke6p-att/J_kouhyou.pdf

グロース市場は、流動性よりも将来性ですね!名前もグロースだし、これまでよりわかりやすいなー。
東証が市場再編をする理由
そもそも東京証券取引所が今回市場再編をする理由は2つあります。
理由① コンセプトが曖昧
これまでの東証一部、二部、マザーズ、JASDAQは位置づけが重複していて、分類方法やコンセプトがあいまいでした。
これは投資家の視点からみてもわかりにくく、複雑で伝わりにくいものでした。
もちろん分類方法やコンセプトがないわけではありません。明確な分類方法やコンセプトはあるのですが、それぞれが全く違う視点と基準で作られていたので、複数の市場に該当する企業も少なくなく、混ざってしまっていたのです。
実際に日本取引所グループのページには、それぞれの企業の説明が書かれているので、その内容を簡単に整理してみましょう。
①東証市場第一部・市場第二部(合わせて「本則市場」)
=国内外を代表する大企業・中堅企業が上場する日本の中心的な株式市場
=特に、市場第一部は海外投資家が売買の太宗を占める国際的な市場で市場の規模や流動性も重視される
②東証マザーズ
=市場第一部へのステップアップを目的にした成長企業向けの市場
=主幹事証券会社がビジネスモデルや事業環境などを基に「成長性」を評価する
=成長性重視のため、規模や業種などによる制限はない
=実際に市場第一部へのステップアップ事例が多い
③JASDAQ
=コンセプトは「信頼性」「革新性」「地域・国際性」
=一定の事業規模と実績をもつ成長企業対象の「スタンダード」と特色ある技術やビジネスモデルをもつ企業群を対象とした「グロース」という2つの区分がある
参考:日本取引所グループ
https://www.jpx.co.jp/equities/products/stocks/outline/index.html

今回の東証の市場再編では、「流動性」「ガバナンス」「経営成績(計画)」の3点はすべての市場について共通の重要項目として考えつつ、すべての市場において「国際的であること」が求められるようになった印象があります。シンプルになったよね。
理由② 企業価値向上の動機付けが十分にできていない
新規上場基準よりも上場廃止基準が大幅に低いという問題点がありました。これは、一度上場してしまえばその後の入れ替えが少なく、流動性が低いことを指しています。
そのため、上場後も新規上場時の水準を維持しなければならないと必死になる企業が増えにくい傾向にありました。

やる気にならない企業が増えがちってことだよね。目標って大事だなぁ…。
また、もっと問題だったのが、市場第一部に他の市場区分から移る際の基準が、市場第一部への新規上場基準よりも緩和されている点です。
公平かつ一定の基準を設けられているかというのは疑問が残る上場基準だったこともあり、上場後に積極的な企業価値向上を促す仕組みになっていませんでした。

受験勉強が得意な人が本当に成功できる人かどうかはわからないように、上場できる企業が本当に企業価値を上げ続けられるか微妙な基準だったわけです。
そこで今回の東証の市場再編を行い、どんな企業でも積極的に企業価値を上げることを目指せる仕組みを作ることになりました。
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プライム市場のメリットとデメリット
東証一部・二部・マザーズ・JASDAQから、プライム・スタンダード・グロースに生まれ変わったことでどんなメリットとデメリットがあるか、まとめてみましょう。
メリット① プライム市場ではより情報開示がすすみ信頼性が高まる
上場や上場維持の条件が厳しくなったプライム市場では、上場するために、もしくは上場を維持するために、ますますの情報開示がすすみ、市場全体や企業の信頼性が高まることが予想されます。
再編によって基準が強化されたガバナンスコードなどの影響もあり、評価もしやすくなりました。
これは、投資家の資金が適正なところに集まりやすくなることを意味しています。
メリット② プライム市場ではよりグローバル化が進む
プライム市場はもちろん、スタンダード市場やグロース市場でさえ、海外投資家を意識した電子取引や英語化の流れが進みます。
特に、プライム市場の上場会社は、開示書類のうち必要とされる情報について、 英語での開示・提供を行うべきという注意書きも追加され、グローバルな対応をしないと上場を維持できなくなる可能性もあります。
デメリット① プライム市場では各企業の開示書類の準備コストがかかる
従来の市場では必要がなかったガバナンスの書類やグローバルに対応するためのシステムの準備が必要になるため、上場準備・上場維持準備作業がこれまでよりも多くなります。
例えば、これまでは任意だった「議決権電子行使プラットフォーム」の準備が必要となりました。
2021年度版からは「準備すべき」という表現が追加されています。
補充原則1−2④
上場会社は、自社の株主における機関投資家や海外投資家の比率等も踏まえ、 議決権の電子行使を可能とするための環境作り(議決権電子行使プラットフォームの利用等)や招集通知の英訳を進めるべきである。
特に、プライム市場上場会社は、少なくとも機関投資家向けに議決権電子行使プラットフォームを利用可能とすべきである。
東京証券取引所「2021年3月期決算会社の定時株主総会の動向について」という資料によると、この「議決権電子行使プラットフォーム」を利用している企業の割合は、東証一部でもたった62.5%です。
約40%の企業がこれから準備することを求められています。
デメリット② プライム市場では株主優待の楽しみが減る可能性がある
株主優待を楽しみのひとつとして考えていた個人投資家は、もしかしたら楽しみが減ってしまうかもしれません。
市場再編でプライム市場の株主数は、2,200人以上から800人以上に変更されました。そのため、とにかく多くの個人投資家を集める必要がある企業は、頭を悩ませて個人投資家の目を引くサービスを充実させる必要がありました。
その一つが株主優待です。
個人投資家の目を引くサービスが必要なくなった企業は多く、株主優待を維持する必要性が低くなる企業が増える可能性もあり得ます。

わたしはそこまで重視した株式投資をしたことはないのだけど、株主優待大好きな人も多いですよね!そういう人はかなり残念かも…。
注意点① プライム市場ではTOPIXが変わる可能性がある?
メリット・デメリットではありませんが、プライム市場ではTOPIXが変わる可能性があります。
これまで東証一部の全銘柄がTOPIXに組み込まれていましたが、市場再編に伴いいくつかの企業が外れました。今後、株価の変化がある可能性があるので注意が必要です。
投資信託やETFの投資対象から外れることで下落する恐れもありますので、引き続き注意して観察することが必要です。
まとめ~プライム市場とは?メリット&デメリット~
現在は「東証一部」「東証二部」「ジャスダック」「マザーズ」という4つの市場に分かれている銘柄を、2022年4月4日からは「プライム」「スタンダード」「グロース」の3つ分けることになりました。
【これまで】
東証一部:2185社
東証二部:474社
ジャスダック:694社
マザーズ:424社
【これから】
プライム:1841社
スタンダード:1477社
グロース:459社
プライム市場の定義は以下の通りです。
プライム市場の定義
=多くの機関投資家の投資対象になりうる規模の時価総額(流動性)を持ち、より高いガバナンス水準を備え、投資者との建設的な対話を中心に据えて持続的な成長と中長期的な企業価値の向上にコミットする企業向けの市場
市場再編によって、透明性や信頼性が高い株式市場となり、成長性がある注目の企業に資金が集まりやすくなることが予想できます。
しかし、その一方で企業側は早急な準備が求められていて、また一部の投資家にとっては株主優待などの楽しみが減ってしまったり、市場変化が大きく注意が必要な時期が続くことになると思われます。
メリット① プライム市場ではより情報開示がすすみ信頼性が高まる
メリット② プライム市場ではよりグローバル化が進む
デメリット① プライム市場では各企業の開示書類の準備コストがかかる
デメリット② プライム市場では株主優待の楽しみが減る可能性がある
参考にしてみてね。
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